碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

週末はルパンな気分?

2010年06月19日 | 本・新聞・雑誌・活字

つい買ってしまった。

文庫版の「怪盗ルパン全集」を見かけて、3冊。

小学生の頃、学校の図書室にはポプラ社の全集がずらりと並んでいた。

1冊ずつ読んでいくのが楽しみだった。

現在、当時の単行本全集を、まんま文庫サイズに縮小したものを刊行中。

もちろん、中の挿絵もそのままだ。

巻末には、現代の作家たちによる解説も付いている。「奇巌城」はモンキー・パンチ、「怪盗紳士」が貫井徳郎といった具合。

小学校の図書室から「ルパン」を借り出すのは土曜日が多かった。

自分が書棚から抜いた(借りた)本の代わりに、自分の名前を記した“直角三角形の木型”を置いてきたものだ。

そういえば、あの三角木型、なんていうんだっけ?(笑)

とにかく、週末はルパンな気分(?)なのである。

“有り得ない”事件が<連鎖>するとしたら・・・

2010年06月19日 | 日々雑感

15日に横浜の女子高で起きた刺傷事件。

そして、17日には山口県の高校で、男子生徒が女子生徒を、やはり包丁で刺すという事件が発生した。

どちらの被害者も加害者も、皆同じ15歳の高校1年生だ。

詳しい事情はまだ明らかではないが、頭の中に「連鎖」という言葉が浮かんでしまう。

ある事件が起きると、そのことがメディアを通じて報道される。

その報道で、別の誰かがそれを知る。

知ったことで、 今度は、その誰かが自分の内部に“押し殺していた情念”に、リアルな“出口”を与えてしまう。

現実の“行動”へと向かわせてしまう。

結果的に“引き鉄”となる。

今回の件がそれに該当するかどうかは分からないが、どうしても、そんなふうに感じてしまうのだ。

そして、高校1年生による2つの刺傷事件を知って、あらためて、湊かなえさんの小説『告白』とその一節を思い出した。

自分の4歳になる娘を、教え子である中学生に殺された教師・森口悠子の“告白”部分に出てくる言葉だ。


そもそも、私たち教員は生徒の制服のポケットにナイフが入っていることがわかっても、それを取り上げることができません。たとえその生徒が誰かを傷つけるために持っていたとしても、登下校中の不審者からの護身用と言われてしまえばそれまでです。上に報告すれば「厳重に注意するように」と言われるだけです。
そのナイフで事故または事件が起きて、ようやく、取り上げることができるのです。当然そのときはもう手遅れです。そして今度は「ナイフを持っていたことを知りながら、どうして未然に事故、事件を防げなかったのか」と責められるのです。本当に悪いのは誰ですか?やはり、厳重に注意できなかった教師が悪いのですか?
では、私はどうすればよかったのでしょう。
――湊かなえ『告白』