先日、『産経新聞』からBS放送に関する取材を受けたが、その記事が掲載された。
記事の中心は、BSフジの「小山薫堂 東京会議」。
番組の熊本ロケにも同行して書かれている。
見出し:
台本・スポンサーなし BSフジ「小山薫堂 東京会議」 自由全開、テレビ像に一石
記事本文:
人気放送作家、小山薫堂さんによるトークバラエティー番組、BSフジの「小山薫堂 東京会議」(土曜午後11時)が面白い。スポンサーなし、台本も真っ白で、企画は収録中に編み出すというぶっつけ本番の展開が、BSならではの斬新な試みとして注目を集めている。ついに“会議”は東京を飛び出し、小山さんの故郷、熊本まで出張した。(村上智博)
●「想定外の事態」連続
熊本でのロケが行われたのは今月16日から2日間。熊本市内で隣り合う新町地区と古町地区は、「自分の街の方がいい」と張り合ってきた歴史があり、その仲を番組が取り持つという企画だった。
小山さんと、レギュラー出演者の漫画家、辛酸なめ子さん、音楽家の小宮山雄飛さんの3人は、両地区に向かう前に小山さんの母校にアポなし訪問。おまけに食堂で昼食まで取るなど、想定外の事態が続く。さすが台本のない番組のことはある。
やっと両地区に到着した一行は、熊本城の宇土櫓(うとやぐら)でそれぞれの代表者を交えながら、1時間にわたって白熱した話し合いを展開。小山さんらは「サイダーのような商品を一緒に作り、両地区にかかる橋に来れば仲の悪いカップルも元の鞘(さや)に収まるといった縁結びの街にする伝説を作ってみては…」といったアイデアを次々と披露して、両地区の代表者をうならせていた。
●無駄から生まれる真実
今年1月に始まったこの番組は、小山さんらがいろんな会議に顔を出し、問題解決に一役買うというもので、その様子をそのまま放送する。こうした会議そのものを前面に打ち出した番組はほとんど例がない。小山さんは「会議は無駄も多い。無駄なことは極力避けようという風潮があるが、無駄なものの中にこそ『真実』は生まれる。丸まった番組ばかりだと面白くはないと考え、台本なしで挑んだ」と狙いを明かす。
さらにスポンサーもないことでのびのびとできる、と言うのはプロデューサーの関谷真史さん。「地上波と違ってBSは、数字(視聴率)ではなく企画で勝負できるのがいい。この番組は、将来に向けたテレビの実験場なんです」
ほかにもBSにはこうした“とがった”番組が少なくない。上智大の碓井広義教授(メディア論)は「BSはコンセプトがシンプルで、大人向けの番組が目立つ。地上波のゴールデンタイム(午後7~10時)の放送では無理だが、BSだと限られた視聴者に向けて独特のダラダラ感がある企画が受け入れられる」と分析する。
「今後、アナログからデジタルに放送が完全移行すると、BSも多チャンネルの一つとして地上波と横並びになる。そこでコンテンツ勝負になれば、BSのとがった番組の人気がより高まる可能性は大きい」と予想している。
「東京会議」の出演者の辛酸さんはこれまでの半年間を振り返り、「何も決まっていないように見えて、じつは番組には流れができている。それを作り出す小山さんのプロデュース力はすごいと思います」と舌を巻いていた。熊本での会議の模様は、前編が26日と7月3日、後編が同10日と17日に放送される。
(産経新聞 2010.06.25)