『日刊ゲンダイ』の連載コラム「テレビとはナンだ!」。
今週は、テレビ朝日のドラマ「ハガネの女」について書いた。
クール・ビューティー(でいいのかな?)吉瀬美智子、初の主演作である。
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吉瀬美智子「ハガネの女」で気になるのは影の薄さ
コラム本文:
それまで脇役だった役者がついに主演を務める。晴れ舞台であると同時に試金石でもある1本。
女優・吉瀬美智子にとって、テレビ朝日「ハガネの女」はそんなドラマだ。
役柄は小学校の臨時教師、「ハガネ」こと芳賀稲子。
勉強が苦手な生徒には根気強く教える。いじめも見過ごさず、子どもたちに正邪を分からせる。
そんなプチ熱血教師。
しかし、涙と笑いの単純な学園ドラマではない。ハガネはシンプルだが、子どもたちが複雑なのだ。
彼らは自分を守るために、また誰かを守るために嘘をつく。
優等生の女の子が心に闇を抱えている。いじめっ子と思われた少年が、いじめられっ子を庇っていたりする。
親たちのモンスターぶりもまた千差万別だ。
良妻賢母が子どもの本当の姿を見ていない。妻と子どもを陰で暴力的に支配する父親がいる。
ハガネはそんな親たちとも正面から向き合う。
そう、これって、堂々の「社会派ドラマ」なのだ。
そして、主演の吉瀬。
確かに頑張ってはいる。
当初、吉瀬と教師がミスマッチに見えたが、回を重ねるうちにハガネは成長し、吉瀬もまた成長してきた。
だが、どうしても影が薄い。「ライアーゲーム」の時のような強烈な存在感がないのだ。
もしかしたら吉瀬は、“気になって仕方ない女優”として、脇で輝き続けたほうがいいのではないか。
そんな気がする。
(日刊ゲンダイ 2010.06.29付)