奄美のお盆

2017-09-09 21:18:45 | 故郷 奄美大島
9月1日より一週間 母の初盆で帰省した。

実はその一週間前に ご先祖様たちをお迎えする七夕の準備で妹の一人が先乗りした。
島の七夕は 大変重要な行事である。
ご先祖は七夕を目印に返ってくるとされ、旧の7月7日早朝に先を争って立てるのである。

島のお盆はお供え物というか 仏様への食事作りが大変だ。
特に、私は 昨年まで20年以上、
お盆の時期に帰省することが出来なかったのでその仕来りの知識は皆無。
母方の祖母のお盆の支度を手伝ったものだが、すっかり忘れてしまった。

お盆の少し前に、わが故郷では『型菓子』という落雁を自宅で作った。
しかし今はお店で買ってくるのが主流になった。
この季節の子どものおやつになった。
型菓子は
米の粉などに黒砂糖の粉や水飴などを混ぜ、お湯で練り合わせ
松竹梅の型を掘った 木型に詰め、大きなテーブルに ポンと打ち出し
ざるの駕籠などに詰めて保存し
仏様のおやつやお茶請けとして供する。

さて、9月3日(8/13)初日は 午前中の早い時間に墓にご先祖様をお迎えに行く。
そして、仏壇からお位牌を出し、テーブルに並べ、供物を並べ、提灯を灯す。


2日目からは、
手前にご飯と呉汁(落花生、青物)、
真ん中に漬物(梅干し)、
奥に煮物(結び昆布、生揚げ、手綱こんにゃく、干しシイタケ)とさしみ(冬瓜のワタの部分を薄切り)
の5種類を足つきの膳に乗せて供える。

これがとても大変だ。
というのは、先祖用の食事は小さなままごとのような塗りのお椀に入るよう
小さく小さく作らなければならないからだ。


お供えの食物は 基本的に精進料理である。

これを繰返し、3日目の送りの膳を作り、夕方送りの墓参りに行く。
この送りの時は、子どもたちは新しい浴衣を着て出かけるのが常であった。
わが兄弟姉妹も、祖母の縫ってくれた浴衣を着せてもらったものである。

三日間本当に忙しい。でもその中心になったのは
毎年夏と冬 母の支度を手伝うために寄生していた妹であった。
母亡き初めての盆の支度は、彼女が撮ってあった写真を参考にした。

伝統は 毎年実行してこそ受け継がれていくものだと痛感した。