被災地の子どもに向き合う体育実践より~その2~

2014-09-16 16:12:39 | 災害について
その1で述べたとおり
震災の2年目、鳴瀬第二中学校の廃校が決まった。

その年の運動会
地域に根差した学校の良さを前面に押し出せば押し出すほど
悲しく、悔しく、憤りを禁じえなくなる
運動会を成功させることは
逆に統合への後悔を増幅させることになる
との想いが強くいい案が浮かばなかった
と制野先生は回想している。

しかし、運動会は
創立以来の卒業生でつなぐ聖火リレー
津波で流されず残った神輿を引く引き綱づくり
地域の人々の“勝手な”応援による大天狗入場
学校伝統のエジプトダンスなど
生徒たちと保護者、地域の人々の想いを込めて行われた。

復興の決意を述べた生徒は
学校を失う悔しや
ただ希望だけを語ることはできないと悩みぬいた末
以下の決意を述べるのである。

鳴瀬第二中学校の運動会もいよいよ終わりが近づいてきました。
今年の運動会のテーマ「5347人の軌跡」の通り、
昭和33年の開校以来54年間、
鳴瀬二中はこんなにたくさんの生徒の学び舎として
エジプトダンスや民謡踊りなどの伝統を築きあげてきました。

しかし、残り7カ月で55年の歴史に幕を閉じなければなりません。
私たち1・2年生は鳴瀬二中生として、
あの松林に囲まれた校舎に
一度も足を踏み入れることなく閉校してしまうことにショックを受けました。
先輩方が慣れ親しんだ校歌や
鳴瀬二中の象徴である松葉と波を表した校章が
私たちで途切れてしまうことに寂しさと悔しさがこみ上げてきます。

私は生まれ育ったあの野蒜の町や宮古の風景が大好きです。
いつの日かまたあの思い出の風景を取り戻し、
さらに美しい町がつくれるよう精一杯がんばろうと思います。
私は
まずあの松林を元に戻すために
松の苗を植える運動を新しい中学校でも呼びかけていきたいです。
これが私の復興への決意です。
(以上改行は福田の責任で行いました)

制野先生は、悩む生徒に
思ったことをなんでも書いて良いと励ます
そして、
中学生が悩んで紡ぎあげた言葉を非難する者がいたら
毅然と立ち向かう覚悟であったと述懐している。

そして
「松の苗を植える」と宣言した言葉が計り知れない悔しさを象徴している
とその生徒の想いを受け止める。

実践報告で制野先生は
すべてを失った子どもたちから学校まで奪うこの日本という国は
何なのだろうと告発している。

私は、この報告を聞きながら何度怒りを覚えただろう。
子どもたちの心に寄り添う
制野先生はじめ学校長を含めた教職員の努力があるからまだしも
日本という国の非道さを今さらながら痛感した。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。