令和の今、そんな人がいるかどうかはわかりませんが、僕の学生時代は大変なツワモノがおりました。
いろんな事がツワモノなのですが、こんな事を言われた事がありました。
「男は喫茶店でコーヒー以外のモノを飲んじゃならないんだ。」
スターバックスのなんちゃらフラペチノなんて絶対に許してもらえません。
甘味屋なんて行ったら破門ですね。
でも、もしかしたら案外、甘味屋さんの存在も知らないかもしれません。
その先輩は全くなしのつぶてですが、その教えは程よく守っています。
「程よく」と言うのは是々非々と言うことです。
暑い夏の午後はかき氷に限ります。
神楽坂の紀の善のかき氷は僕の夏の風物です。ここの杏氷がたまらなくよいです。
ドラマの中で抹茶ババロアがお土産に使われてたとか、乃木坂46の歌に登場とか色々あるようですが、僕にとって紀の善は杏氷です。
おっさんなので手ぬぐいで顔を拭き拭き、席に着いて杏氷をオーダーします。
ふわふわの氷に杏のシロップ漬けが載ります。
氷が溢れないようにペタペタと周りを叩いてからいただきます。
あの杏の甘酸っぱさがたまりません。
氷の核心部にも杏と杏シロップが待っています。
最初に出てくる温かいお茶で調節をしながら氷を口の中に放り込みます。
後半は溶けた氷で程よく薄まったシロップをキレイにスプンですくいます。
この夏の至福は先輩の教えを破ってでも得たい味です。