きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

読み解き新ガイドライン③ 何が狙いなの? 「防衛」と無縁 米戦略へ奉仕

2015-05-10 14:41:51 | 平和・憲法・歴史問題について
読み解き新ガイドライン③ 何が狙いなの? 「防衛」と無縁 米戦略へ奉仕

新ガイドラインには、過去のガイドラインの一貫した建前だった「日本防衛」と全く異質の章が、新たに設けられました。「地域およびグローバルな平和と安全のための協力」をうたう5章です。
4章は、集団的自衛権行使による他国防衛まで含まれていますが、「日本防衛」や「日本の平和と安全」が建前にはなっています。
これに対し5章は冒頭で、「日米両国は、アジア太平洋地域およびこれを越えた地域の平和、安全、安定および経済的な繁栄の基盤を提供するため、主導的役割を果たす」と宣言。焦点はすでに日本にはなく、世界全体です。
また、「平和、安全」に「経済的な繁栄」などの記述が加わることから明らかなように、海外戦争時の自衛隊派兵に限定されない、米国の世界戦略へのきわめて広範な協力が約束されています。




分野は無限定に
「国際的な活動における協力」の節では、▽平和維持活動▽海洋安全保障▽情報収集・警戒監視・偵察▽後方支援iなど8分野を例示。「この指針に含まれない広範な事項について協力」とも明記しており、分野は無限定です。
平和維持活動の範囲は、「国連により権限を与えられた」との記述からも、国連PKOに限られず、アフガニスタンでの治安維持活動で参加国に多数の戦死者を出した国際治安支援部隊(ISAF)のような活動も含まれます。
後方支援にはアフガニスタン戦争やイラク戦争時に自衛隊が参加したような多国籍軍での補給・輸送活動が、海洋安全保障には機雷掃海や海賊対処などの軍事作戦が含まれます。

何の根拠もない
前ガイドラインは日米安保条約の大改悪でしたが、依然として日本有事への対処を建前とした同心円の体裁をとっていました。(図)しかし、新ガイドラインの5章は「安保条約の目的達成とは違う世界の話だ」(防衛省幹部)とされるように、政府の立場からしても、条約上何の根拠も持たない協力分野です。
そのため新ガイドラインは「日米同盟のグローバルな性質」を強調することで、こじつけています。要は、海外派兵特措法などで2000年代に例外的に広げてきた同盟協力を、この際、両国の共同方針にまでしてしまうということです。
宇宙・サイバー空問(6章)、武器開発など軍事基盤面での協力(7章)まで加わり、新ガイドラインはもはや「日本防衛」とは無縁の構造になっています。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年5月5日付掲載


新ガイドラインの5章は「安保条約の目的達成とは違う世界の話だ」。日本有事の同心円状の話しではなく、宇宙・サイバー空問、武器開発など、「日本防衛」とは無縁の構造。
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読み解き新ガイドライン② 新指針の特徴は? 「切れ目ない」戦争態勢

2015-05-10 10:58:29 | 平和・憲法・歴史問題について
読み解き新ガイドライン② 新指針の特徴は? 「切れ目ない」戦争態勢

新ガイドラインの最大の特徴は、対処範囲が「日本周辺」から全世界まで拡大された点にあります。
新ガイドラインは全8章で構成され、その冒頭で①平時から戦争時までのあらゆる状況下で日本の安全を確保する②アジア太平洋およびこれを越えた地域の安定1の二つの目的をあげています。
二つの目的にそれぞれ相当するのが4章(日本の安全の切れ目のない確保)と、5章(地域・グローバルな協力)の記述です。
どちらの章にも地理的制約がなく、地球規模(グローバル)の派兵に二つの道が確保されています。


日米の協力項目例
 後方支援戦闘捜索・救難ミサイル防衛・迎撃海洋安保警戒監視(ISR)武器防護民間空港・港湾、自治体利用
平時 
日本の平和・安全への脅威(重要影響事態)   
日本に対する武力攻撃(武力攻撃事態等)  
日本以外に対する武力攻撃(存立危機事態)△(機雷掃海・臨検) 
国際的な活動  ○(機雷掃海)  
※全ての項目に「これに限らない」とのただし書きを付記。
△は海上での戦闘作戦▲自治体、民間の能力を活用


平時の対処盛る
4章の眼目は、「日本の安全確保」を名目にした、平時から戦時までの「切れ目のない」戦争態勢の構築です。①平時②日本の平和・安全に重要な影響を与える事態(重要影響事態)③他国有事(存立危機事態)④日本有事―の4段階で日米の行動を定めています。
他国有事(米国または第三国に対する武力攻撃への対処)は、日本の集団的自衛権行使容認を受けて、初めて盛り込まれました。
前ガイドラインには、平時からの対処行動は含まれていませんでした。それは、そもそも戦争を放棄した憲法9条の下で、当時の政府ですら事態が何も発生していない時点からの軍事行動に踏み込めなかったことを意味しています。
しかし新ガイドラインでは、平時からの対処として▽米軍の装備品等(アセット)防護▽防空・ミサイル防衛―など7項目を例示。自衛隊の日常任務が無限に拡大されています。
前ガイドラインは、日本周辺で米軍が武力介入した場合(周辺事態)に、自衛隊が自動参戦する仕掛けでした。これに対し新ガイドラインは、平時からの日米一体の対処作戦が、戦争まで自動的に切り替わる仕組みです。
そのことは、▽後方支援▽海上作戦(海洋安全保障)▽アセット防護▽ミサイル防衛iが平時から戦時の全段階で明記されていることに示されています。

米軍巻き込めず
日本が新ガイドラインでもくろんだのは、中国との尖閣諸島をめぐる領有権争いに米軍を巻き込むことでした。しかし、平時からの協力に「島嶼(とうしょ)防衛」の記述はなく、日本有事でようやく自衛隊の作戦を「支援し補完する」だけ。自衛隊の役割が日米安保条約すら超えて地球規模まで拡大する一方、米軍の役割は条約上の「義務」から一歩も出ていません。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年5月4日付掲載


「なんとか事態」とかいろんな理由をつけて、自衛隊を米軍の起こす戦争に参加できるような策略です。
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