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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

2013年度予算案の焦点⑨ 軍事費 F35・水陸両用車も

2013-02-26 20:10:00 | 政治・社会問題について
2013年度予算案の焦点⑨ 軍事費 F35・水陸両用車も

2013年度の軍事費(防衛関係費、SACO・米軍再編経費含む)予算案は4兆7538億円で、12年度比400億円(0・8%)の増額になります。ただ、これは一般会計のみの数字で、復興特別会計の1252億円を含めると、総額は4兆8789億円。また、13年度予算と一体の「15カ月予算」として組まれた12年度補正予算案には過去最大の2124億円を計上し、政権交代を受け、軍事費は当初予算の見かけ以上に大きく伸びています。
特徴の一つは、13年度に契約し、支払う装備品等購入費の大幅増で、12年度比163億円(65・3%)増の411億円を計上。自衛官実員も8年ぶりに287人の増員を図ります。



国内企業製造の予算が初計上されたF35Aステルス戦闘機(米空軍HPから)

中国対抗根拠に
予算案は、軍事力の長期的な整備指針となる防衛大綱を年内に見直すことを受け、13年度限りの方針で編成。軍拡路線への転換の最大の根拠になっているのが、「南西地域における能力向上」「島嶼(とうしょ)防衛」を掲げての中国への対抗です。
日本最西端の与那国島への陸上自衛隊の国境監視部隊配置に向けて、駐屯地建設のための敷地造成工事費などに62億円を計上。先島諸島における航空自衛隊の展開基盤確保に関する調査研究費などに5000万円も盛り込み、下地島空港(宮古島市、沖縄県管理)の前線基地としての活用も念頭に入れます。
水陸両用車4両25億円を参考品として初購入。米軍垂直離着陸機オスプレイ導入を視野に、開発・運用に関する調査研究費800万円も計上しています。どちらも他国への侵攻能力の向上につながる動きです。また、南西諸島への陸自の展開を視野に、民間輸送船活用の調査研究(6000万円)も進めます。


【2013年度軍事費案の主な内容】
護衛艦1隻の建造701億円
潜水艦1隻の建造531億円
P1固定翼哨戒機2機の取得409億円
E767早期警戒管制機の能力向上101億円
戦闘機(F15、F2)の能力向上122億円
水陸両用車4両の購入25億円
F35A戦闘機2機の取得299億円
F35A国内企業製造ライン立ち上げ830億円
与那国島へ駐屯地建設のため敷地造成工事等62億円
米軍関係経費(歳出べ一ス)
(内訳:米軍再編経費692億円、SACO経費88億円、「思いやり予算」1860億円)
2640億円


米軍優先の姿勢
米軍関係では、普天間基地「移設」経費として辺野古新基地を前提にしたキャンプ・シュワブ内の陸上工事費約44億円を盛り込む一方、「思いやり予算」で普天間基地の補修費1億円も初計上。普天間基地固定化も、辺野古新基地建設も沖縄県民が総意で反対しているもので、日本政府の米軍優先姿勢を示しています。
米国主導で開発を進める次期戦闘機F35取得にあたっては、国内企業参画によるエンジン部品・最終組み立てなど製造ライン立ち上げの経費830億円を初計上。F35はイスラエルも導入予定で、国内企業の参画は「武器輸出三原則」の破壊につながります。また、F35は大幅な開発の遅れや値上がりが指摘されており、13年度購入額も2機299億円と、12年度比で1機当たり約50億円も上昇しています。
そのほか、サイバー関連経費には141億円を計上し、「サイバー空間防衛隊」を新設。宇宙・サイバー空間の覇権を重視する米戦略と同調したものです。(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2013年2月26日付掲載


軍事費こそ、それこそ不要不急の経費だと思うのですが…。まだ未完成の戦闘機・F35なども購入する。強襲上陸部隊が使う水陸両用車も購入するとの事。民主党時代にはまがりなりにも抑えられていた軍事費が、安倍政権になって、一気に増額しています。
本来なら外交努力で解決すべきである尖閣問題。それを軍事で抑え込もうって考えが間違っています。

2013年度予算案の焦点⑧ エネルギー・中小企業 新たな原発推進

2013-02-25 19:34:43 | 政治・社会問題について
2013年度予算案の焦点⑧ エネルギー・中小企業 新たな原発推進

2013年度予算案のエネルギー対策費は、12年度比4・3%増の8496億円です。再生可能エネルギーの開発費が増額される一方、新たな原発推進費も盛り込まれました。


日本原子力研究開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」=福井県敦賀市

核燃サイクルも
原発の機器輸出を進めるため、「原子力海外建設人材育成委託費」に11・7億円を新規に計上しています。輸出先の国で立地調査などを行う日本企業に支払われます。輸出先は、原発機器メーカーの東芝、三菱重工、日立製作所が輸出を狙う国を想定しています。
原子炉の技術開発を行うため、「安全性向上」を口実に「高速炉等技術開発委託費」を32億円盛り込みました。高速増殖炉「もんじゅ」を運営する日本原子力研究開発機構などに支払われます。
核燃料サイクルも継続します。核燃サイクル関連費は12年度比3・6%減の289億円です。関連施設のもんじゅは事故やトラブルを重ね現在停止していますが、その維持・管理などの費用に174億円(同0・6%減)をつけています。
また、原子力規制委員会が中心に担う「原子力規制・防災対策」の費用は12年度比46・6%増の711億円です。規制委は、原発再稼働に向けた「新基準」策定を進めています。
再生可能エネルギーの研究開発・実証事業は、12年度のほぼ2倍となる467・1億円です。風力発電の普及に向けた送電網整備実証事業に250億円を新規につけています。電力会社以外の事業者が送電網を設置する場合、その費用の2分の1を補助します。風力発電の適地である北海道で重点的に進めます。




「転嫁対策」盛る
中小企業対策費は、政府全体で12年度比0・5%増の1811億円にとどまります。一般歳出に占める割合は0・34%と、1%にも達しません。東日本大震災の復興特別会計を含めた対策費は、同11・7%減の2963億円でした。
多数の国民が反対している消費税増税を前提に、中小企業の消費税転嫁対策費も計上しています。下請代金法などの違反行為等に対して、「時限的」な人員拡大といった監視・検査体制の強化を行うため、19・8億円を新規につけました。ただ、増員するのは、主に非常勤の下請代金検査官補助員です。期間も、消費税率の10%への引き上げ(15年10月)後の16年度までと想定しています。
資金繰り支援は、12年度比1・4%増の1102・5億円です。日本政策金融公庫が中小企業・小規模事業者に対して行う低利融資等への財政支援として同1・5%増の253・1億円を計上しました。しかし、政府は、中小企業の資金繰りを支える金融円滑化法を3月末で打ち切る方針です。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2013年2月23日付掲載


相も変わらず原発関連予算を計上しているんですね。許せないなあ。また、消費税を増税することを前提に、中小企業のための転嫁対策なるものも計上しています。いまですら転嫁できずに身銭を切っているのですから、消費税増税を中止することが最大の転嫁対策になるのにね。

2013年度予算案の焦点⑦ 農林水産 公共事業増え増額

2013-02-24 22:07:34 | 政治・社会問題について
2013年度予算案の焦点⑦ 農林水産 公共事業増え増額

2013年度政府予算案における農林水産関係予算は、12年度当初比5・7%増の2兆2976億円です。2年連続の増額です。しかし、12年度は東日本大震災復旧・復興対策を含めての増額で、それを除くと12年連続の減額でした。したがって、13年度は実質的に00年度以来13年ぶりの増額となります。


稲刈り風景=2012年10月、福岡県宮若市

長期的には削減
とはいえ、農水予算は、過去の自民党政権下を含めて長期にわたり削減されており、直近の最高だった00年度と比べても1兆円超も減らされています。また、一般会計予算に占める割合でみると、1970年度の11・5%から2013年度の2・5%へ激減しています。
13年度予算は、安倍晋三首相が掲げる「攻めの農林水産業」を目指すとして、農業農村整備事業(公共事業)、経営所得安定対策(旧戸別所得補償)、農産物の輸出拡大対策・経営多角化を重点に据えました。
公共事業関係費に12年度比32・9%増の6506億円、非公共事業に同2・1%減の1兆6469億円を計上しました。公共事業費の大幅な伸びが予算総額を増額に転じさせました。
老朽化した農業水利施設や漁港施設の長寿命化・耐震化など、緊急を要する公共事業があるのは確かです。一方で、不要・不急の公共事業の便乗が起きる危険があります。



2012年版食料・農業・農村白書参考統計表から作成。13年度は政府予算案による。12年度は東日本大震災復旧・復興対策を含む

制度設計の検討
民主党政権下で導入された農業者戸別所得補償は、経営所得安定対策と名を変えてそのまま継続します。12年度比4・5%減の7185億6000万円を充てました。他方、14年度以降のあり方については今後検討していくとし、制度設計に向けた「多面的機能・担い手調査」に16億円を新規に計上しました。
農水省は1月29日、農水相を本部長とする「攻めの農林水産業推進本部」を立ち上げ、制度設計の検討を開始しました。政府も、産業競争力会議が取り組む優先課題の一つに「攻めの農林水産業」を掲げています。同会議ではすでに、環太平洋連携協定(TPP)への参加、経営規模の拡大、株式会社の農業参入などが議論になっています。
輸出拡大対策・競争力強化対策では、「日本の食を広げるプロジェクト」に39億8000万円を新規に計上しました。また、農林漁業者が生産・加工・販売を一体として取り組む6次産業化への支援対策に12年度比2・8%増の37億4000万円を充てました。
なお、諫早湾干拓事業の潮受け堤防排水門の開門を命じた福岡高等裁判所の判決が確定したことで、その対応にかかる経費に12年度比約3・4倍の163億8300万円を計上しました。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2013年2月22日付掲載


農林水産関係の予算で、公共事業が一定の割合を占めていて、それで大きく見えるのですか。
それでも、民主党政権下で、まがりなりにも導入された「所得補償」は名前を変えて継続されることになりました。それは良かったですね。
公明党は、民主党が農業者への所得補償を導入した時にバラマキと批判していましたが、今度は連携する自民党が同様のものを導入することにどう対応するのでしょうかネ。

2013年度予算案の焦点⑥ 地方財政 公務員給与を削減

2013-02-23 23:06:53 | 政治・社会問題について
2013年度予算案の焦点⑥ 地方財政 公務員給与を削減

2013年度の地方財源にあたる一般財源総額(地方税、地方交付税、地方交付税の不足分を補てんする臨時財政対策債の合計額)は、12年度比0・2%増の59兆7526億円で、12年度と「同水準」を前提に編成されました。
社会保障関係費の自然増分5500億円程度を確保したとしています。しかし、一般財源総額は「同水準」のため、ほかの部分で歳出の抑制を求めるものとなっています。
同時に、各自治体の13年度予算には、12年度補正予算案に盛り込まれた「地域の元気臨時交付金」(総額1兆3980億円)で生じる財源など一定規模の財源が加わることになります。



「いのち・暮らし・雇用を守れ!中央総行動」で「賃上げで景気回復を」などと唱和する参加者=8日、東京・日比谷野外音楽堂

交付税減で強制
地方交付税は、12年度比3921億円減の17兆624億円。これは、地方税および地方譲与税が12年度比4461億円増の36兆3645億円と見込まれることなどによるものです。
しかし社会保障費が増える分、とりわけ大きく削減を求めているのが地方公務員給与費の減額(8504億円)です。7月から13年度に限り、国家公務員と同様に給与を7・8%削減することを前提としています。
知事会など地方6団体は、自治体が自主的に決めるべき地方公務員給与の水準を国が強制するものだと反発。地方の固有財源である地方交付税を、国の政策誘導の手段としたことも強く批判しています。
国は地方公務員給与の削減額に見合った歳出は確保するとして、全国防災事業費973億円と緊急防災・減災事業費4550億円を財源は全額地方債で、地域の元気づくり事業費3000億円は交付税措置で、計8523億円計上したと弁明しています。
3000億円の交付税措置は、これまでの人員削減や給与削減の実績を反映して算定するとしています。総務省は、国家公務員給与の7・8%削減後の指数と比較し、上回る部分の給与削減を「要請」すると発表しました。


2013年度の地方一般財源総額
 2013年度見込み12年度比
地方税・地方譲与税など36兆3645億円+4461億円
地方交付税17兆624億円▲3921億円
臨時財政対策債6兆2132億円+799億円
一般財源総額59兆7526億円+1285億円
参考:12年度補正予算案 地域の元気臨時交付金:1兆3980億円

ワクチン財源は
子宮頚(けい)がん、ヒブ、小児肺炎球菌の3ワクチン接種と、14回までの妊婦健診を行う国庫補助の基金が12年度で終了します。13年度のこの財源は、子育て世帯に負担増となる年少扶養控除廃止による住民税増収分886億円を充てるとしました。地方交付税にも算入されます。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2013年2月21日付掲載


それぞれの自治体が自主的に決めるべき地方公務員の給与を、「地方交付税」という本来なら税金の再配分という仕組み(地方税の少ない地域も多い地域も全国一律で福祉や教育、生活基盤の整備を享受できる)を逆手に取って、兵糧攻めにしようって魂胆です。
声を大にして反対していきましょう。特に東日本大震災の地域には打撃になります。



原発ゼロへ 立命館大学教授大島堅一さんに聞く②

2013-02-22 22:03:12 | 原子力発電・放射能汚染・自然エネルギー
原発ゼロへ 立命館大学教授大島堅一さんに聞く②

「原発ゼロ」へのコストや電力の安定供給をどう構築するかなどについて、立命館大学教授の大島堅一さんにききました。

再生可能エネルギー~一気に普及へ 下がるコスト、雇用効果も

―再生可能エネルギーの発電コストについて、どうみますか。
大島 風力の発電コストについては、風況のよいところでは市場競争力を獲得しつつあります。
世界的にみて、太陽光発電も、ものすごい勢いですすんでおり、年々、発電コストは下がっています。ドイツでは、1キロワット時当たり12~13円くらいで、洋上風力発電よりも下がっています。
再生可能エネルギーの発電コストが電気料金よりも安い状態になる、さらに既存の電源よりも安くなることが目標となってきています。



市役所分庁舎の屋上に設置された太陽光発電パネル=富山県南砺市

50年には80%
―再生可能エネルギーの爆発的な普及は可能でしょうか。
大島 ドイツは、脱原発と地球温暖化の防止を二つの柱にして、どんどん政策立案をしてきました。再生可能エネルギーは2012年で総発電量の25%を占め、20年には4割くらいはいくだろうといわれています。新たな段階に入り、50年にむけて80%にすることが目標です。
私は今、学外研究でイギリスに滞在しており、ドイツに10回ほど聞き取り調査にいきました。産業用の卸電力の料金は下がり、固定価格買い取り制度のもとで、家庭用が中心の再生可能エネルギーの料金は少し上がっている状況があります。しかし、研究機関や消費者団体、市民からも再生可能エネルギー普及でマイナスの意見は聞いたことがありません。再生可能エネルギーで約37万人(10年時点)の雇用が生み出され、他国からの化石燃料の輸入が減るなどの効果がでているからです。



町営の「北条砂丘風力発電所」=鳥取県北栄町

仕組み見直す
―ドイツの経験からみて、日本での課題は?
大島 ドイツの経験からこうすればうまくいく、こうすれば失敗するということは分かっています。日本で15年かけて再生可能エネルギーを20%にするというのは、無理なことではありません。
ドイツでは、再生可能エネルギーを最優先に使い、火力などで調整しています。電力需要を1日前、1時間前、15分前の段階ごとに予測する技術がすすみ、また、気象状況の変化を精密にして発電量の予測も正確です。
日本でもいま、電気事業のあり方、エネルギー政策の転換が問われています。原発を前提にすると、それがベース電源となり、「増えると余ってしまうから、風力発電はいらない」となってしまいます。発電・送配電・小売りを分離し、送電システムの増強や革新をはかり、全国一体の運用をしていく。そうすればさらに再生可能エネルギー普及がすすみます。
原発の真のコストを国民から見えなくし、利害関係者のみで推進されてきたのが原発です。いま一番言いたいのは、この仕組みを見直し、どこに誤りがあったのかを一つひとつ検証すべき必要があるということです。不確実な将来と違い、過去のことははっきりしています。(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2013年2月20日付掲載


自然エネルギの導入が遅れている日本。でも、あきらめたり、ひねたりすることはありません。
後発だからこそ、先発のドイツなどから学ぶことができます。
トライアンドエラーと言いますが、自然エネルギーの導入にあたって同じトラブルを繰り返さなくてもいいのですから…。
ようは、政府や産業界のやる気ですね。