職場のトラブルQ&A⑮ 職場環境悪いけど労働組合がない 2人以上いれば労組つくれる
連載の最後に、労働組合に関する相談を取り上げます。憲法は、個人では力の弱い労働者が団結して、使用者と交渉したり、行動したりする権利を保障しています。(憲法28条)
Q 私の職場では上司のパワハラが横行しており、給料もここ数年上がったことがありません。
職場環境を改善したいのですが、会社には労働組合がありません。何かできるでしょうか。
要求を掲げてデモ行進するメーデー参加者=5月1日、東京都渋谷区
A 会社に労働組合がなくても、地域には一人でも加入できる労働組合もあります。組合活動をするのに、使用者(会社など)の承諾を得る必要はありません。役所に届け出る必要もありません。
労働組合に加入すれば、個人ではなく組合として会社側と団体交渉をし、労働条件の改善などを求めることができます。組合の人が同席してくれます。
団体交渉は、労働者が団結の力を背景にして、労働条件について会社と交渉し、取り決める場です。会社と労働組合は対等です。会社は正当な理由がない限り、交渉を拒否できません。(労働組合法7条2号)
団体交渉の結果、双方が合意した中身について、労使の間で「労働協約」を結ぶことが認められています。(労組法14条)
労働協約は、その後の労働条件の基準になります。仮に、就業規則や個別の合意で協約に当てはまらないルールがあっても、それらは無効です。(労組法16条)
労働組合を、自分たちで結成することもできます。有志の間で、パワハラや賃上げの問題について、力を合わせて改善しようということが確認されればいいのです。決して難しくはありません。
労働組合は、労働者が2人以上集まればいつでも自由に結成できます。要件は、①労働者が主体となって組織すること②労働者の自主的な団体であること③主な目的が労働条件の維持改善にあることの3点です。(労組法2条)
労働組合には、要求を実現させるために争議行為(ストライキなど)をする権利が認められています。また、日常的に組合活動をすることも認められています。
労働組合によるストなどの正当な行為は刑事上、処罰されません。また会社は、ストによって損害を受けたなどとして労組や組合員に損害賠償を求めることができません。(労組法1条2項、8条)
労働組合活動を理由として、会社は労働者に解雇その他の不利益な取り扱いをしてもいけません。
もし不利益を受けた場合、不当労働行為として都道府県の労働委員会に申し立てができます。労働委員会には救済命令を出す権限があります。(労組法7条、19条以下)
このように労働組合には法律上、強い権利が認められています。この権利を行使しない手はありません。ぜひとも団結して、労働条件の向上を勝ち取ってください。詳しくは全国労働組合総連合(全労連)などにご相談ください。
今村幸次郎(弁護士)
全労連の労働相談ホットライン
電話:0120-378-060
「しんぶん赤旗」日曜版 2019年5月26日付掲載
「一人でも入れる労働組合」というのは、全労連系、連合系ともありますが…。
そういう組合が身近にない場合は、仲間が2人以上いれば自分たちで労働組合の結成ができる。上部団体がなくってもOK。役所に届ける必要もなし。
連載の最後に、労働組合に関する相談を取り上げます。憲法は、個人では力の弱い労働者が団結して、使用者と交渉したり、行動したりする権利を保障しています。(憲法28条)
Q 私の職場では上司のパワハラが横行しており、給料もここ数年上がったことがありません。
職場環境を改善したいのですが、会社には労働組合がありません。何かできるでしょうか。
要求を掲げてデモ行進するメーデー参加者=5月1日、東京都渋谷区
A 会社に労働組合がなくても、地域には一人でも加入できる労働組合もあります。組合活動をするのに、使用者(会社など)の承諾を得る必要はありません。役所に届け出る必要もありません。
労働組合に加入すれば、個人ではなく組合として会社側と団体交渉をし、労働条件の改善などを求めることができます。組合の人が同席してくれます。
団体交渉は、労働者が団結の力を背景にして、労働条件について会社と交渉し、取り決める場です。会社と労働組合は対等です。会社は正当な理由がない限り、交渉を拒否できません。(労働組合法7条2号)
団体交渉の結果、双方が合意した中身について、労使の間で「労働協約」を結ぶことが認められています。(労組法14条)
労働協約は、その後の労働条件の基準になります。仮に、就業規則や個別の合意で協約に当てはまらないルールがあっても、それらは無効です。(労組法16条)
労働組合を、自分たちで結成することもできます。有志の間で、パワハラや賃上げの問題について、力を合わせて改善しようということが確認されればいいのです。決して難しくはありません。
労働組合は、労働者が2人以上集まればいつでも自由に結成できます。要件は、①労働者が主体となって組織すること②労働者の自主的な団体であること③主な目的が労働条件の維持改善にあることの3点です。(労組法2条)
労働組合には、要求を実現させるために争議行為(ストライキなど)をする権利が認められています。また、日常的に組合活動をすることも認められています。
労働組合によるストなどの正当な行為は刑事上、処罰されません。また会社は、ストによって損害を受けたなどとして労組や組合員に損害賠償を求めることができません。(労組法1条2項、8条)
労働組合活動を理由として、会社は労働者に解雇その他の不利益な取り扱いをしてもいけません。
もし不利益を受けた場合、不当労働行為として都道府県の労働委員会に申し立てができます。労働委員会には救済命令を出す権限があります。(労組法7条、19条以下)
このように労働組合には法律上、強い権利が認められています。この権利を行使しない手はありません。ぜひとも団結して、労働条件の向上を勝ち取ってください。詳しくは全国労働組合総連合(全労連)などにご相談ください。
今村幸次郎(弁護士)
全労連の労働相談ホットライン
電話:0120-378-060
「しんぶん赤旗」日曜版 2019年5月26日付掲載
「一人でも入れる労働組合」というのは、全労連系、連合系ともありますが…。
そういう組合が身近にない場合は、仲間が2人以上いれば自分たちで労働組合の結成ができる。上部団体がなくってもOK。役所に届ける必要もなし。