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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

防げ 税逃れ 世界の挑戦② 日本の財界が強力に反対

2015-05-26 18:17:31 | 予算・税金・消費税・社会保障など
防げ 税逃れ 世界の挑戦② 日本の財界が強力に反対

政治経済研究所理事 合田寛さん

経済協力開発機構(OECD)の「国別報告書」の提案に対しては、当然のことながらビジネス界から強い反対の声が巻き起こりました。2014年9月のOECDのガイダンス(9月リポート)に先立って、同年1月、OECDは「移転価格文書化と国別報告に係るディスカッション・ドラフト」を公表し、各界からのコメントを求めましたが、世界の産業界・金融界は、企業機密の保護などを理由に、不安と懸念を表明しました。




■国別報告書の項目
・総収入(非関連者向け、関連者向け、総額)
・税引前利益
・法人税(納税額)
・法人税(発生税額)
・資本金
・利益剰余金
・従業員数
・有形資産(現金および現金等価物を除く)
・構成事業体の一覧
・構成事業体の税務管轄
・税務管轄が事業体の所在地とは異なる場合の税務管轄
・構成事業体の主な事業活動


「報告書」不要
なかでも日本の経団連の反対意見は強力なものでした。経団連はOECDに提出したコメント(14年2月)の中で、機密保護、事務負担の増加などを強調し、特に「国別報告書」は形式的な数値情報によって誤ったリスク評価を招くなどとして反対しました。さらに「国別報告書」自体が不要なものであり、少なくともマスターファイルとは切り離すべきことを主張したのです。
OECDの9月リポートはこれらのコメントを踏まえてまとめられ、同年10月にオーストラリア・ブリスベーンで開かれた20力国・地域首脳会議(G20サミット)に提出されたもので、本来正式文書としての性格を持つものでした。
しかしOECDは日本の経団連などからの要求をさらに取り入れ、本年2月、実施方法などに関する内容を含む新ガイダンスを公表しました。
新ガイダンスでは、「国別報告書」の取り扱い上の条件として、「守秘義務」「整合性」「適正使用」の3要件が定められ、一般公開は否定されました。また、「国別報告書」は多国籍企業の親会社の居住国の税務当局にのみ提出することとし、その子会社が居住する国の当局は相税条約の自動情報交換規定に基づいて、親会社の居住国の当局から入手することとされたのです。



日本の財界は「国別報告書」に強力に反対している=東京・千代田区の経団連会館

一角が崩される
経団連の主張が取り入れられて「国別報告書」はマスターファイルと切り離され、三重構造ファイルの一角が崩れてしまいました。
ともあれグループの総収入が7・5億ユーロ(約1千億円)以上の多国籍企業は、「国別報告書」を来年1月以降に始まる会計年度から提出しなければなりません。提出義務を負う多国籍企業は世界全体の売上高の9割程度を占めます。日本の企業は約830社が対象となる見込みです。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年5月22日付掲載


「機密保護、事務負担」の増加などを口実にして、税金逃れを企もうなんて許されないですね。
コメント
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