平和、新たな始まり 南北「板門店」会談① 「信頼」構築へ 第一歩
韓国の高校生「宣言に賛成」
街頭で、電車の中で、会社で、そして友だちの家で―。多くの人が、その歴史的な瞬間を見逃すまいと、テレビやパソコンの前で会談の行方を見守りました。27日に韓国・板門店の「平和の家」で開催された韓国の文在寅大統領と北朝鮮の金正恩国務委員長による南北首脳会談。軍事境界線を挟んで握手を交わす姿は世界に生中継されました。両首脳は朝鮮戦争の終結や「完全な非核化」を盛り込んだ「板門店宣言」で合意。両国は新たな一歩を踏み出しました。
「平和を願う8000万同胞の貴重な合意を成し遂げました」。文大統領は合意書に署名した後の記者会見で、国民にこう語りかけました。北朝鮮の最高指導者として初めて訪韓した金委員長と並んで朝鮮半島の平和、朝鮮民族の融和を語ったことは、人々の心に深く刻まれました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4d/23/bf36f8b80207d2ee86be59c5522ea4cd.jpg)
27日、南北首脳会談を取材するため国内外から3000人以上の記者が集まった韓国京畿道高陽のプレスセンター
「正恩氏の態度 想像と違った」
「握手する場面を見て感動した」と語るのは高校生ホ・スビンさん(17)です。発表された宣言は「全部読みました。非核化や戦争の終結など賛成できる部分が多い」といいます。
「平和に関する話は、すればするほどいいと思う。今後も話し合いを続けてほしい」と語りました。
イ・ウニさん(68)は夫アン・ドンマンさん(69)と自宅のテレビで見ていました。両首脳が軍事境界線を越え南側、北側と行き来する姿が印象的だったといいます。「金委員長は威張ったりせず、文大統領にも気遣いを見せる常識的な態度だった。イメージと全然違った」と驚きを語ります。「世界の記者の前で非核化を宣言した。やってくれると信じます」
アンさんは「非核化が盛り込まれたのはいい事だ」と宣言を評価するものの、「実際に履行されるかどうかは米国との協議になるだろう」と慎重です。
「非核化」宣言 現地各紙歓迎
また、韓国各紙は「非核化への行程表がなかったのが残念だ」(中央日報)、「非核化は最後の項目で分量も少ない」(朝鮮日報)などと指摘する論調もありますが、多くが会談や宣言を歓迎しました。
大手紙・東亜日報は1面で「完全な『非核化』の扉を開く」との見出しで報じ、「非核化の明文化」は評価に値するとしました。ハンギョレ新聞は、「板門店の春、平和・繁栄の時代開く」と題した社説を掲載。「北朝鮮に非核化の意志はないという疑念を払しょくした」と宣言を歓迎しました。
北朝鮮の朝鮮中央通信は、会談翌日の28日付で宣言の全文を掲載し、国民に対し、政権による非核化の意志を知らせました。朝鮮労働党機関紙「労働新聞」も、1面で会談の様子を写真も交え詳しく報じています。
両国の国民も、会談を通じてこれまで知らなかった隣国の姿に触れた人も多いでしょう。関係改善の基礎となる「信頼」を積み重ねながら、両国はいま新たな歩みを始めようとしています。
(ソウル=栗原千鶴 写真も)(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年4月29日付掲載
「正恩氏の態度 想像と違った」という韓国民の反応は率直なところだと思います。
やはり、対話をしないと始まらない。
韓国の高校生「宣言に賛成」
街頭で、電車の中で、会社で、そして友だちの家で―。多くの人が、その歴史的な瞬間を見逃すまいと、テレビやパソコンの前で会談の行方を見守りました。27日に韓国・板門店の「平和の家」で開催された韓国の文在寅大統領と北朝鮮の金正恩国務委員長による南北首脳会談。軍事境界線を挟んで握手を交わす姿は世界に生中継されました。両首脳は朝鮮戦争の終結や「完全な非核化」を盛り込んだ「板門店宣言」で合意。両国は新たな一歩を踏み出しました。
「平和を願う8000万同胞の貴重な合意を成し遂げました」。文大統領は合意書に署名した後の記者会見で、国民にこう語りかけました。北朝鮮の最高指導者として初めて訪韓した金委員長と並んで朝鮮半島の平和、朝鮮民族の融和を語ったことは、人々の心に深く刻まれました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4d/23/bf36f8b80207d2ee86be59c5522ea4cd.jpg)
27日、南北首脳会談を取材するため国内外から3000人以上の記者が集まった韓国京畿道高陽のプレスセンター
「正恩氏の態度 想像と違った」
「握手する場面を見て感動した」と語るのは高校生ホ・スビンさん(17)です。発表された宣言は「全部読みました。非核化や戦争の終結など賛成できる部分が多い」といいます。
「平和に関する話は、すればするほどいいと思う。今後も話し合いを続けてほしい」と語りました。
イ・ウニさん(68)は夫アン・ドンマンさん(69)と自宅のテレビで見ていました。両首脳が軍事境界線を越え南側、北側と行き来する姿が印象的だったといいます。「金委員長は威張ったりせず、文大統領にも気遣いを見せる常識的な態度だった。イメージと全然違った」と驚きを語ります。「世界の記者の前で非核化を宣言した。やってくれると信じます」
アンさんは「非核化が盛り込まれたのはいい事だ」と宣言を評価するものの、「実際に履行されるかどうかは米国との協議になるだろう」と慎重です。
「非核化」宣言 現地各紙歓迎
また、韓国各紙は「非核化への行程表がなかったのが残念だ」(中央日報)、「非核化は最後の項目で分量も少ない」(朝鮮日報)などと指摘する論調もありますが、多くが会談や宣言を歓迎しました。
大手紙・東亜日報は1面で「完全な『非核化』の扉を開く」との見出しで報じ、「非核化の明文化」は評価に値するとしました。ハンギョレ新聞は、「板門店の春、平和・繁栄の時代開く」と題した社説を掲載。「北朝鮮に非核化の意志はないという疑念を払しょくした」と宣言を歓迎しました。
北朝鮮の朝鮮中央通信は、会談翌日の28日付で宣言の全文を掲載し、国民に対し、政権による非核化の意志を知らせました。朝鮮労働党機関紙「労働新聞」も、1面で会談の様子を写真も交え詳しく報じています。
両国の国民も、会談を通じてこれまで知らなかった隣国の姿に触れた人も多いでしょう。関係改善の基礎となる「信頼」を積み重ねながら、両国はいま新たな歩みを始めようとしています。
(ソウル=栗原千鶴 写真も)(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年4月29日付掲載
「正恩氏の態度 想像と違った」という韓国民の反応は率直なところだと思います。
やはり、対話をしないと始まらない。