経済四季報② 国内経済 多国籍企業のための国づくり
「世界で一番企業が活動しやすい国」づくりを目指す安倍晋三政権のもと、日本銀行は4月4日、「異次元の金融緩和」として、「量的・質的金融緩和」の導入を決めました。今後、日銀が供給するお金の量(マネタリーベース)を2年間で倍増させるというものです。
【ポイント】
①「異次元の金融緩和」で、2年間で2%の物価上昇目指すものの国民は望まず
②GDP2期連続プラスになるものの設備投資は減少。雇用者報酬はマイナスに
③「骨太」「成長戦略」など閣議決定。国民に消費税増税、大企業には減税打ち出す
2%の物価上昇
日銀は2年間で2%の物価上昇を実現することを目指しています。しかし、これは、国民が望んでいることではありません。日銀が発表した「生活意識に関するアンケート調査」(3月調査)には80・3%の人が物価上昇は「困ったこと」と回答しています。一方、円安が加速し、輸入物価上昇による原材料費高騰が、日々の暮らしを直撃しています。
4月12日には環太平洋連携協定(TPP)参加に向けた米国との事前交渉が合意に達しました。TPP参加は安倍内閣が進める「成長戦略」の柱ですが、関税撤廃が原則です。また、アメリカからみて「非関税障壁」とされるあらゆる国内制度の撤廃が求められます。「食と農」への壊滅的打撃をはじめ、被害は国民生活のあらゆる分野におよぶことになります。
4・11消費税大増税の中止を求める国民集会の参加者=4月11日、東京・日比谷野外音楽堂
設備投資は減少
内閣府が5月16日発表した2013年1~3月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0・9%増、年率換算で3・5%増となりました。2期連続のプラス成長でした。この数値から安倍首相は「実体経済は着実に改善していっている」などといいます。しかし、設備投資は前期比0・7%減と、5期連続のマイナスでした。企業利益は増えているものの、国内需要が低迷しているため、設備投資につながらない状況が続いています。
同時に発表された12年度の雇用者報酬は名目でマイナス0・3%でした。消費の伸びに広がりがない主因になっています。
13年3月期の三大銀行グループの中小企業等向け貸出比率(国内貸し出しに占める中小企業等向け貸出の割合)は60・4%となり、05年の「3メガ」発足後、最低となっています。一方、海外貸出金は、「3メガ」発足以来、2・6倍に増えています。
【国内経済の主な出来事(4~6月)】
4/4 日本銀行が「量的・質的金融緩和」の導入を決める。資金供給量を2年間で倍増
4/12 日本の環太平洋連携協定(TPP)参加に向けた米国との事前交渉合意
4/18 2012年度の貿易赤字が最大の8兆円に
5/17 1~3月期の国内総生産(GDP)は、2期連続のプラス。一方、設備投資は5期連続のマイナス
5/23 東京株式市場で、日経平均株価が大暴落し、前日比1143円安に
5/28 12年末の対外・負債残高の報告で、対外純資産残高が最高の269兆円に
6/3 1~3月期の企業の設備投資は前年同期比3.9%減少
6/14 安倍内閣が「骨太方針」「成長戦略」「規制改革の実施計画」を閣議決定
国民に増税迫る
安倍内閣は14日、経済財政運営の基本方針(「骨太方針」)と「成長戦略」「規制改革の実施計画」を閣議決定しました。国民には消費税増税と社会保障切り捨てを迫りながら、大企業には減税と大型公共事業で潤すものです。
多国籍企業を支援するため、「国際競争力を強化するインフラ(首都圏空港・国際コンテナ戦略港湾・三大都市圏環状道路等)」に集中投資する方針です。
「世界で一番ビジネスのしやすい環境」をつくるとして「国家戦略特区」の創設を目指します。疲弊した国民経済を立て直すことよりも、多国籍企業に奉仕するものです。また、世界の金融市場をかく乱させている投機マネーを呼び込むことになります。同特区の数は限定する一方で、「大胆な規制・制度改革」を行うとしています。
また、原発再稼働を明記。原発輸出を含んだインフラ輸出を推進するとしています。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2013年6月27日付掲載
「アベノミクス」による金融緩和で、空前の株高・円安になりましたが、長続きしませんでした。
それも、株高で儲けたのは一部の投資家・大株主。GDPはプラスになったと言いますが、賃金が上がっていません。
大企業を応援する政治では国民生活はよくなりません。
「世界で一番企業が活動しやすい国」づくりを目指す安倍晋三政権のもと、日本銀行は4月4日、「異次元の金融緩和」として、「量的・質的金融緩和」の導入を決めました。今後、日銀が供給するお金の量(マネタリーベース)を2年間で倍増させるというものです。
【ポイント】
①「異次元の金融緩和」で、2年間で2%の物価上昇目指すものの国民は望まず
②GDP2期連続プラスになるものの設備投資は減少。雇用者報酬はマイナスに
③「骨太」「成長戦略」など閣議決定。国民に消費税増税、大企業には減税打ち出す
2%の物価上昇
日銀は2年間で2%の物価上昇を実現することを目指しています。しかし、これは、国民が望んでいることではありません。日銀が発表した「生活意識に関するアンケート調査」(3月調査)には80・3%の人が物価上昇は「困ったこと」と回答しています。一方、円安が加速し、輸入物価上昇による原材料費高騰が、日々の暮らしを直撃しています。
4月12日には環太平洋連携協定(TPP)参加に向けた米国との事前交渉が合意に達しました。TPP参加は安倍内閣が進める「成長戦略」の柱ですが、関税撤廃が原則です。また、アメリカからみて「非関税障壁」とされるあらゆる国内制度の撤廃が求められます。「食と農」への壊滅的打撃をはじめ、被害は国民生活のあらゆる分野におよぶことになります。
4・11消費税大増税の中止を求める国民集会の参加者=4月11日、東京・日比谷野外音楽堂
設備投資は減少
内閣府が5月16日発表した2013年1~3月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0・9%増、年率換算で3・5%増となりました。2期連続のプラス成長でした。この数値から安倍首相は「実体経済は着実に改善していっている」などといいます。しかし、設備投資は前期比0・7%減と、5期連続のマイナスでした。企業利益は増えているものの、国内需要が低迷しているため、設備投資につながらない状況が続いています。
同時に発表された12年度の雇用者報酬は名目でマイナス0・3%でした。消費の伸びに広がりがない主因になっています。
13年3月期の三大銀行グループの中小企業等向け貸出比率(国内貸し出しに占める中小企業等向け貸出の割合)は60・4%となり、05年の「3メガ」発足後、最低となっています。一方、海外貸出金は、「3メガ」発足以来、2・6倍に増えています。
【国内経済の主な出来事(4~6月)】
4/4 日本銀行が「量的・質的金融緩和」の導入を決める。資金供給量を2年間で倍増
4/12 日本の環太平洋連携協定(TPP)参加に向けた米国との事前交渉合意
4/18 2012年度の貿易赤字が最大の8兆円に
5/17 1~3月期の国内総生産(GDP)は、2期連続のプラス。一方、設備投資は5期連続のマイナス
5/23 東京株式市場で、日経平均株価が大暴落し、前日比1143円安に
5/28 12年末の対外・負債残高の報告で、対外純資産残高が最高の269兆円に
6/3 1~3月期の企業の設備投資は前年同期比3.9%減少
6/14 安倍内閣が「骨太方針」「成長戦略」「規制改革の実施計画」を閣議決定
国民に増税迫る
安倍内閣は14日、経済財政運営の基本方針(「骨太方針」)と「成長戦略」「規制改革の実施計画」を閣議決定しました。国民には消費税増税と社会保障切り捨てを迫りながら、大企業には減税と大型公共事業で潤すものです。
多国籍企業を支援するため、「国際競争力を強化するインフラ(首都圏空港・国際コンテナ戦略港湾・三大都市圏環状道路等)」に集中投資する方針です。
「世界で一番ビジネスのしやすい環境」をつくるとして「国家戦略特区」の創設を目指します。疲弊した国民経済を立て直すことよりも、多国籍企業に奉仕するものです。また、世界の金融市場をかく乱させている投機マネーを呼び込むことになります。同特区の数は限定する一方で、「大胆な規制・制度改革」を行うとしています。
また、原発再稼働を明記。原発輸出を含んだインフラ輸出を推進するとしています。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2013年6月27日付掲載
「アベノミクス」による金融緩和で、空前の株高・円安になりましたが、長続きしませんでした。
それも、株高で儲けたのは一部の投資家・大株主。GDPはプラスになったと言いますが、賃金が上がっていません。
大企業を応援する政治では国民生活はよくなりません。