AIと科学的社会主義③ 知能の解明をめざす
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経済研究者 友寄英隆さん
人工知能(AI)の研究・開発は、医学や生命科学の分野にも、大きな影響をもたらしつつあります。
日本の人工知能学会が総力をあげて編集した『人工知能学大事典』(2017年)では、AIと脳科学との関係について次のように解説しています。
「人工知能の研究は、人間の知能を人工物として実現することを目的とするが、それだけでなく、それを通じて知能の働きを解明することを目指す研究分野でもある」
実際に、近年の急速なAIの技術的な進歩、たとえば生成AIのような大規模言語モデルの開発は、人間の脳のニューロン(神経細胞)を模した深層学習によって急速に発展しました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1d/50/e3c77320a2f86ae2c08a15c9daa6b722.jpg)
共立出版(2017年)
量子脳の可能性
AIと心の関係については、さまざまな研究や論争がありますが、ここでは、20年のノーベル物理学賞を受賞したロジャー・ペンローズ博士の提唱している量子脳理論にふれておきましょう。
ペンローズ博士は、AIについて物理学の視点から論じた『皇帝の新しい心―コンピュータ・心・物理法則』(原著:1989年)を発表しています。そのなかで、人間の脳の神経細胞が生成する意識は無数の量子によるものなので、量子論でしか説明できない、そのため現在の電子コンピューターのレベルでは人間の心は実現できないと主張しています。逆に言えば、量子コンピューターが実現したら「量子脳」の可能性が生まれるということになります。
広い意味の人間の精神的活動には、「知」だけでなく、《知・情・意》の「情」すなわち《喜怒哀楽》のようなさまざまな感情の働きも含んでいます。また《知・情・意》のなかの「意」は、人間の自律的な意思決定のことを指しています。
さらに、人間の脳による精神的活動、心の動きは、目、耳、鼻、舌、皮膚などの感覚器官、いわゆる五官が外界と接触することによって成り立っています。また、それらの認知活動は、手や足などの身体全体の活動と切り離すことができません。
その意味では、AIの研究にとっては、人間の知能の研究だけでなく、身体のあらゆる機能を研究する医学や生理学の研究も必要です。生命科学や生物学、さらに心理学、認知科学、情報科学、スポーツ科学などとも結びついています。
人類史の発展と疫学転換による寿命の延伸
堀内四郎論文(2001年)などを参考に著者作成
平均寿命120歳?
疫学とは、疾病の原因や流行、健康状態や寿命の条件を探究する医学の一分野です。コロナパンデミックとのたたかいのなかで、あらためて注目されています。
疫学の研究によると、人類の平均寿命は、原始社会の20~40歳から歴史発展とともに延伸し、資本主義時代には50~80歳代にまでなり、さらに将来の疫学転換の第5段階では120歳を超える可能性も展望されています。
人類の寿命の延伸の条件は、なによりもまず、地球環境の危機を打開して、人間と自然の物質代謝を正常に回復することです。そのうえで、AIなどの科学・技術の発展を真に人類全体の幸せのために利用できるようにすることが前提になります。そのためには、資本主義という階級対立、国家対立の時代を超えて、人類が共産主義・社会主義へむかって新たな時代を切り開いていかねばなりません。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年9月19日付掲載
疫学とは、疾病の原因や流行、健康状態や寿命の条件を探究する医学の一分野です。コロナパンデミックとのたたかいのなかで、あらためて注目されています。
疫学の研究によると、人類の平均寿命は、原始社会の20~40歳から歴史発展とともに延伸し、資本主義時代には50~80歳代にまでなり、さらに将来の疫学転換の第5段階では120歳を超える可能性も展望。
人類の寿命の延伸の条件は、なによりもまず、地球環境の危機を打開して、人間と自然の物質代謝を正常に回復すること。そのうえで、AIなどの科学・技術の発展を真に人類全体の幸せのために利用できるようにすることが前提。そのためには、資本主義という階級対立、国家対立の時代を超えて、人類が共産主義・社会主義へむかって新たな時代を切り開いていかねばなりません。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/38/57/4c5fb25e1c41ab0398d7b2874e2a5512.jpg)
経済研究者 友寄英隆さん
人工知能(AI)の研究・開発は、医学や生命科学の分野にも、大きな影響をもたらしつつあります。
日本の人工知能学会が総力をあげて編集した『人工知能学大事典』(2017年)では、AIと脳科学との関係について次のように解説しています。
「人工知能の研究は、人間の知能を人工物として実現することを目的とするが、それだけでなく、それを通じて知能の働きを解明することを目指す研究分野でもある」
実際に、近年の急速なAIの技術的な進歩、たとえば生成AIのような大規模言語モデルの開発は、人間の脳のニューロン(神経細胞)を模した深層学習によって急速に発展しました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1d/50/e3c77320a2f86ae2c08a15c9daa6b722.jpg)
共立出版(2017年)
量子脳の可能性
AIと心の関係については、さまざまな研究や論争がありますが、ここでは、20年のノーベル物理学賞を受賞したロジャー・ペンローズ博士の提唱している量子脳理論にふれておきましょう。
ペンローズ博士は、AIについて物理学の視点から論じた『皇帝の新しい心―コンピュータ・心・物理法則』(原著:1989年)を発表しています。そのなかで、人間の脳の神経細胞が生成する意識は無数の量子によるものなので、量子論でしか説明できない、そのため現在の電子コンピューターのレベルでは人間の心は実現できないと主張しています。逆に言えば、量子コンピューターが実現したら「量子脳」の可能性が生まれるということになります。
広い意味の人間の精神的活動には、「知」だけでなく、《知・情・意》の「情」すなわち《喜怒哀楽》のようなさまざまな感情の働きも含んでいます。また《知・情・意》のなかの「意」は、人間の自律的な意思決定のことを指しています。
さらに、人間の脳による精神的活動、心の動きは、目、耳、鼻、舌、皮膚などの感覚器官、いわゆる五官が外界と接触することによって成り立っています。また、それらの認知活動は、手や足などの身体全体の活動と切り離すことができません。
その意味では、AIの研究にとっては、人間の知能の研究だけでなく、身体のあらゆる機能を研究する医学や生理学の研究も必要です。生命科学や生物学、さらに心理学、認知科学、情報科学、スポーツ科学などとも結びついています。
人類史の発展と疫学転換による寿命の延伸
社会制度 | 疫学転換(死亡率の変化) | 寿命(年) | |
原始社会 | 第1の疫学転換 感染症蔓延(まんえん)による死亡率上昇 | 20~40 | |
古代社会 | |||
封建社会 | 第2の疫学転換 感染症制圧による死亡率低下 | 30~50 | |
資本制社会 | |||
第3の疫学転換 循環器系疾患制圧による死亡率低下 | 50~80 | ||
将来 | 第4の疫学転換 がん制圧による死亡率低下 | 80~120 | |
未来社会 自然との物質代謝 AIの利用・共生 | |||
第5の疫学転換 老化の遅延・減速(可能性) | 120~? |
平均寿命120歳?
疫学とは、疾病の原因や流行、健康状態や寿命の条件を探究する医学の一分野です。コロナパンデミックとのたたかいのなかで、あらためて注目されています。
疫学の研究によると、人類の平均寿命は、原始社会の20~40歳から歴史発展とともに延伸し、資本主義時代には50~80歳代にまでなり、さらに将来の疫学転換の第5段階では120歳を超える可能性も展望されています。
人類の寿命の延伸の条件は、なによりもまず、地球環境の危機を打開して、人間と自然の物質代謝を正常に回復することです。そのうえで、AIなどの科学・技術の発展を真に人類全体の幸せのために利用できるようにすることが前提になります。そのためには、資本主義という階級対立、国家対立の時代を超えて、人類が共産主義・社会主義へむかって新たな時代を切り開いていかねばなりません。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年9月19日付掲載
疫学とは、疾病の原因や流行、健康状態や寿命の条件を探究する医学の一分野です。コロナパンデミックとのたたかいのなかで、あらためて注目されています。
疫学の研究によると、人類の平均寿命は、原始社会の20~40歳から歴史発展とともに延伸し、資本主義時代には50~80歳代にまでなり、さらに将来の疫学転換の第5段階では120歳を超える可能性も展望。
人類の寿命の延伸の条件は、なによりもまず、地球環境の危機を打開して、人間と自然の物質代謝を正常に回復すること。そのうえで、AIなどの科学・技術の発展を真に人類全体の幸せのために利用できるようにすることが前提。そのためには、資本主義という階級対立、国家対立の時代を超えて、人類が共産主義・社会主義へむかって新たな時代を切り開いていかねばなりません。
重要となるTTT曲線の均一核生成モデルでの方程式の解析をMathCADで行い、熱力学と速度論の関数接合論による結果と理論式と比べn=2~3あたりが精度的にもよいとしたところなんかがとても参考になりましたね。