きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

2020年度概算要求の焦点⑨ 軍事費 「敵攻撃能力」さらに

2019-09-30 09:04:35 | 予算・税金・消費税・社会保障など
2020年度概算要求の焦点⑨ 軍事費 「敵攻撃能力」さらに
2020年度軍事費の概算要求は、総額で過去最大の5兆3223億円となりました。19年度当初予算に比べ648億円(1・2%)増。SACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)関係経費や米軍再編関係経費などが額を明示しない「事項要求」とされているものの、6年連続で過去最大を更新することになります。



「攻撃型空母」
「海外で戦争する国」へ向け、違憲の敵基地攻撃能力の保有を推進します。
海上自衛隊のヘリコプター搭載型護衛艦「いずも」の改修費として31億円を計上。甲板の耐熱工事などを実施し、短距離離陸・垂直着陸能力を持つ米国製最新鋭ステルス戦闘機F35Bの発着艦ができるようにします。他国領土への攻撃を可能にする「攻撃型空母」となります。空母化した「いずも」型護衛艦に搭載するF35Bの取得費として846億円(6機)をつけました。1機約141億円にのぼります。
相手の射程圏外から敵のレーダーや通信に電波妨害をかける「スタンド・オフ電子戦機」の開発費用207億円を計上しました。防衛省は、電波妨害機能を持つ機体とレーダー妨害機能を持つ機体の二つの訓練用機種を統合し、C2輸送機を母機に両方の妨害機能を持てるよう開発するとしています。遠隔地にいる敵に妨害をかけ無力化する攻撃機に変貌します。
F15戦闘機にスタンド・オフ・ミサイル=敵の射程外から発射できる長距離ミサイルを搭載できるようにする能力向上に390億円。F35Aステルス戦闘機の取得に310億円(3機)、同機に搭載するスタンド・オフ・ミサイル「JSM」の取得に102億円を盛り込みました。
導入費で76億円をつけた水中防衛用小型UUV(無人水中航走体)について防衛省は、侵攻してくる艦艇に対して爆発するものだと説明します。



沖縄近海とみられる海域で、強襲揚陸艦ワスプに着艦するF35Bステルス戦闘機=1月19日(米海兵隊ウェブサイトから)

2・5兆円のローン
米政府からの対外有償軍事援助(FMS)に基づく兵器調達額は5013億円。兵器大量購入による新たな軍事ローンの「新規後年度負担」は2兆5170億円にのぼります。
陸上配備型ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」導入では、秋田、山口両県での配備候補地の選定が白紙に戻ったにもかかわらず、ミサイル垂直発射装置の取得など関連経費で122億円。南西諸島の自衛隊配備関連経費に237億円(鹿児島・奄美大島19億円、沖縄・宮古島28億円、石垣島190億円)を要求。住民合意なき軍拡と自衛隊増強を推進しています。(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2019年9月28日付掲載


「いずも」型護衛艦の「攻撃型空母」化。相手の射程圏外から敵のレーダーや通信に電波妨害をかける「スタンド・オフ電子戦機」。敵の射程外から発射できる長距離ミサイルを搭載。一線を超える装備の強化です。
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2020年度概算要求の焦点⑧ 地方財政 広域連携など推進

2019-09-29 09:20:27 | 予算・税金・消費税・社会保障など
2020年度概算要求の焦点⑧ 地方財政 広域連携など推進
2020年度予算の概算要求で総務省は、地方の一般財源総額(地方税や地方交付税など自治体が自主的判断で使える財源)について、「仮置き」の数字として、19年度予算比1・3兆円増の64兆円程度と見込みました。社会保障費の自然増や、19年度は半年分だった幼児教育・保育の無償化に伴う経費が平年度ベースとなることが主な要因です。
地方税等(地方譲与税、地方特例交付金を含む)は1・15%増の43・8兆円。地方交付税等(同交付税不足分を振り替える臨時財政対策債3・4兆円を含む)は4・1%増の20・2兆円としました。
一般財源総額をめぐっては、政府は18年6月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針」で“21年度までは18年度水準を下回らない”としており、今回の要求も同方針を踏まえたものです。
自治体が地域活性化策を実施するための「まち・ひと・しごと創生事業費」(15年度創設)は引き続き1兆円が計上されました。全国知事会など地方団体は維持・拡充を求めています。




公共施設を集約
概算要求の中身は、以前から自治体に迫ってきた広域連携や公共施設、行政サービスの集約化、民間委託化を進めようという政府の姿勢を示すものです。
総務省は、中心都市が近隣自治体と連携し、その「圏域」全体の都市機能や行政サービスを集約化する「連携中枢都市圏」などを推進する予算として2・1億円を要求。国土交通省は、公共施設などを中心地に集約する「コンパクトシティ」推進予算を242億円(19年度予算比33%増)計上しています。いずれも中心地での大型開発や周辺地域の衰退が危倶されるものです。
公共施設の建設・管理運営を民間に委ねる「PPP/PFI」を推進する予算としては、国交省で558億円(同76%増)が盛り込まれました。



「圏域」行政について議論した第32次地方制度調査会第3回総会=7月31日、東京都内

町村会長が批判
「圏域」行政に関しては、総務省研究会が圏域単位での行政の標準化を提起(18年7月の報告)するなど、さらに押し進めようとする動きがあります。しかし同報告を受けて議論を続けている地方制度調査会(首相の諮問機関)では、全国町村会の荒木泰臣会長(熊本県嘉島町長)が「町村を衰退させ、消滅させかねない」と述べるなど反発の声があがっています。
また総務省の概算要求では、国民監視やプライバシー侵害の危険があるマイナンバー制度を推進するための予算を、19年度予算から7倍ちかくも増やして1801億円としました。現在マイナンバーカードは約1787万枚が交付済みですが(9月19日時点)、同カードの健康保険証としての利用に向けて、20年度末までに6000万~7000万枚を交付するという政府想定に合わせたものです。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2019年9月27日付掲載


都市部では、「コンパクトシティ」で公共施設などを中心地に集約。
農村部では、「圏域」行政で「町村を衰退させ、消滅させかねない」の危機。
周辺部でも農村部でも、人が住み続けることで、地域の安全や自然災害からの保全が図られる。
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2020年度概算要求の焦点⑦ 文教 教員数、差し引き純減

2019-09-28 11:12:40 | 予算・税金・消費税・社会保障など
2020年度概算要求の焦点⑦ 文教 教員数、差し引き純減
2020年度の文部科学省の概算要求は19年度当初予算比12・2%増(6485億円増)の5兆9689億円です。そのうち文教予算は4兆4450億円です。
「学校における働き方改革」として教職員定数3920人増(85億円)を要求しています。ただ、そのうち2090人は、実際には教職員配置の見直しにすぎず、差し引きではゼロです。
「働き方改革」の予算ではほかに、小学校での英語教科化に伴う専科指導教員の確保に1000人などを求めています。
また、発達障害児に個別指導を行う「通級指導」の充実や外国人児童への「日本語指導」などにあたる教員について、児童生徒数に応じて配置数が決まる基礎定数化に伴い315人(7億円)を要求。全体では4235人の定数改善を求めています。



特別支援学校の過大化・過密化で教室に入りきらない教材が廊下にあふれる

自然減で見直し
一方、少子化による自然減を2249人見込み、教員配置の見直しによる減員が2000人あるため、差し引きでは14人の減です。教員不足や長時間労働の解消には極めて不十分です。
20年度から小学校で英語が教科化されます。専科教員の加配が1000人では県・政令市の割り当ては十数人しかなく、全く足りません。文科省はそのうえ、新規採用で一定以上の英語力を有する者を採用した割合に応じて加配教員を配分するとしています。
生徒の急増で過大化・過密化している特別支援学校についても抜本的に学校を新・増設する姿勢は見えません。医療的ケアが必要な子どものための看護師配置は447人増を要望しています。
国立大学法人運営費交付金は333億円増の1兆1304億円を要求。国立大学の独立行政法人化以前と比べ1100億円以上も少ない額です。
運営費交付金のうち700億円は、各大学の卒業生の就職・進学状況といった文科省の指標で傾斜配分。300億円は、学部などの再編・統合といった「機能強化」の達成度合いで配分します。大学関係者から、長期的な視野に立った大学運営を困難にし、研究基盤を崩壊させると批判を浴びています。




免除制度危うく
大学等修学支援法(「無償化法」)による低所得世帯の授業料免除制度ができたことで、各大学で行ってきた授業料免除制度が危機に直面しています。
これまで国立大学の授業料免除は運営費交付金で措置され、多くの大学で年収要件の間口を修学支援法より広くしていました。
文科省は、修学支援法の成立を理由に20年度の新入生分から予算を削減する方針です。現行制度で授業料が全額または一部免除されている4万5千人のうち、修学支援法で同額以上の支援を受けられるのは2万1千人。2万4千人は支援が受けられなくなったり、支援額が減少したりします。
文科省は、現在、授業料の減額や免除を受けている学生についても「各大学の対応を踏まえて、配慮できないか検討する」との姿勢にとどまっています。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2019年9月26日付掲載


教員数の定数増はするんですが、一方で少子化にともなう自然減もあり実数では減ることに。
教員の長時間労働の解消には不十分です。
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2020年度概算要求の焦点⑥ 社会保障 さらなる「痛み」

2019-09-27 07:38:40 | 予算・税金・消費税・社会保障など
2020年度概算要求の焦点⑥ 社会保障 さらなる「痛み」
厚生労働省の2020年度予算の概算要求は(一般会計総額で19年度当初予算比2・1%増の32兆6234億円です。安倍政権は国民の暮らし応援とは逆に、社会保障費の抑制路線を追求。給付減・負担増の「改革を着実に推進する」(経済財政運営の基本指針『骨太の方針』)として、さらなる痛みを押し付ける構えです。
厚労省は、高齢化などに伴う社会保障費増(自然増)を5300億円としています。現行サービスの維持に必要な費用なのに、安倍政権は13~19年度の7年間で自然増分を1兆7100億円も削減しました。20年度も予算編成過程でさらに削り込む方針です。
19年10月からの消費税増税と引き換えに「誰もが安心して暮らせる全世代型社会保障」をつくると言いますが、実態はどうでしょうか。




老後“自己責任”
「全世代型」へ高齢者の就労促進策を増額要求していますが、公的年金の実質大幅削減とセットです。自動削減システムのマクロ経済スライドによって、30年ほどかけて国民年金だけで給付水準を約3割も減らす見通しです。安心どころか、“老後の生活は自己責任だ”と強いるもので、高齢者の貧困が深刻化するのは明白です。
安倍政権は、14年度から3回連続で診療報酬(保険医療サービスの公定価格)の実質マイナス改定を強行してきました。20年度の「自然増削減」にも、診療報酬の引き下げ分などをあてるもくろみです。病院の半数が赤字に陥っている(日本病院会などの18年度調査)という実態を顧みず、追い打ちをかけることになります。



首相官邸に向け「年金返せ」とコールする人たち=6月26日、東京都千代田区

離職ゼロに逆行
安倍政権は「介護離職ゼロ」の目標とは正反対に、20年の通常国会に給付削減と利用者負担増の改悪法案を提出する構えです。▽要介護1・2の人の生活援助サービスを市区町村が裁量で行う「総合事業」に移す「保険給付外し」▽ケアプラン作成の有料化―など具体化を進めています。
介護改悪の次は医療改悪です。75歳以上の患者窓口負担の原則2割への引き上げ―などを狙っています。
医療では、受診時にマイナンバー(個人番号)カードを健康保険証として使えるようにする仕組みを20年度末から本格運用するため、推進策を引き続き要求。個人情報の漏えいなど国民の不安をよそに、カードの普及をなりふり構わず進めようとしています。
保育所の「待機児童ゼロ」目標は20年度末までですが、待機児はなお1万6772人(厚労省調査、4月1日時点)にのぼります。認可園に入れず自治体独自の施設(東京都の認証保育所等)などに入った「隠れ待機児」は、保育士配置基準などを緩和した「企業主導型保育」の利用者を合わせると、18年同日比9000人増で8万人を超えています。
本気で目標を達成するには、安心・安全の認可園の大増設が必要ですが、安倍政権が特に推進しているのは企業主導型保育です。閉園や定員割れが相次いでおり、保育の質や安全性の確保を置き去りにした手法に矛盾が噴き出しています。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2019年9月25日付掲載


「全世代型」社会保障なんて言いながら、高齢者はマクロ経済スライドで年金カット。「介護離職ゼロ」と言いながら、要介護1・2の人の生活援助サービスを市区町村が裁量で行う「総合事業」に移す「保険給付外し」へ。
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2020年度概算要求の焦点⑤ 経済産業・中小企業 デジタル経済化後押し

2019-09-26 08:09:07 | 予算・税金・消費税・社会保障など
2020年度概算要求の焦点⑤ 経済産業・中小企業 デジタル経済化後押し
経済産業省は2019年度当初予算(臨時・特別の措置を除く)比15・1%増の1兆4292億円を求めました。
急速に進むデジタル経済化を後押しするために人工知能(AI)やロボット、さまざまな情報を計測・数値化する技術の開発を推進します。「IoT(モノのインターネット)」社会実現のための技術開発支援は19年度当初予算の8倍、20億円を要求しました。ロボット技術向上で企業の生産性を高める一環として「革新的ロボット研究開発等基盤構築事業」に6億円を新規計上します。
新たな成長モデルを創出する基盤整備として超小型電気自動車(EV)の導入を支援します。自動走行やIoT、AIを活用した新しい移動サービスの研究開発・社会実装などに871億円を盛り込みます。


原発推進予算(経産省分)の概要(総額1370億円、19年度当初予算1317億円)
主な事業20年度概算要求19年度当初予算
原子力の安全性向上に資する技術開発事業28億円30.2億円
原子力産業基盤強化事業15億円(新規)
革新的な原子力技術開発支援事業15億円6.5億円
電源立地地域対策交付金806.8億円809.0億円
原子力発電施設等立地地域基盤整備支援事業83.2億円63.5億円
エネルギー構造高度化・転換理解促進事業75.0億円56.2億円


原発予算は増額
エネルギー対策特別会計(経済産業省分)は19年度比15・7%増加の8362億円です。
原発推進のための予算としては、1370億円で19年度より53億円増えています。19年度から始まった「革新的原子力技術開発支援事業」は小型炉など新しい原子炉の開発を目的としたものです。三菱重工、東芝、日立製作所の大手の原発メーカーなどが受注していることが明らかになっています。20年度概算要求に、2・3倍となる15億円を盛り込みました。また、「原子力産業基盤強化事業」として新規に15億円を計上。同事業は原子力関連機器・サービスの向上のために、人材の技能向上と専門性の強化に取り組みます。フランスが開発を断念したと報じられる高速炉には20年度も「高速炉に係る共通基盤のための技術開発委託費」として41・1億円を要求しています。原発ゼロを求める世論に反するものです。



「再稼働反対」「原発ゼロ政権の誕生を」と国会正門前に集まった人たち=3月10日

販路支援2倍に
中小企業対策費は、経産省、財務省、厚生労働省を合わせ2269億円です。
「事業継承・世代交代集中支援事業」として新たに50億円を計上しました。同事業は、事業継承後に行う設備投資や、後継者候補を試行的に雇用する場合にかかる費用を支援します。相次ぐ自然災害に伴い、防災・減災対策の強化を図る「事業継続力強化計画」を策定する中小企業の支援にも力を入れます。
小規模事業者の販路開拓などを支援する「持続化補助金」は19年度当初予算の約2倍、20億円を要求しました。各自治体を窓口とした制度のため、制度がないと利用できません。現在交付しているのは29道府県と地域によって偏りがあります。
中小企業への賃上げ支援策「業務改善等助成金」は18・6億円を要求。19年度当初予算の6・9億円から2・7倍となり、制度も拡充しています。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2019年9月21日付掲載


「事業継承・世代交代集中支援事業」や防災・減災対策の強化を図る「事業継続力強化計画」などの中小企業を支援する施策も充実しているが…。
その一方で、原発推進のための予算も増額。予算額レベルでみると桁が1桁から2桁違います。
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