2020年度概算要求の焦点⑨ 軍事費 「敵攻撃能力」さらに
2020年度軍事費の概算要求は、総額で過去最大の5兆3223億円となりました。19年度当初予算に比べ648億円(1・2%)増。SACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)関係経費や米軍再編関係経費などが額を明示しない「事項要求」とされているものの、6年連続で過去最大を更新することになります。
「攻撃型空母」
「海外で戦争する国」へ向け、違憲の敵基地攻撃能力の保有を推進します。
海上自衛隊のヘリコプター搭載型護衛艦「いずも」の改修費として31億円を計上。甲板の耐熱工事などを実施し、短距離離陸・垂直着陸能力を持つ米国製最新鋭ステルス戦闘機F35Bの発着艦ができるようにします。他国領土への攻撃を可能にする「攻撃型空母」となります。空母化した「いずも」型護衛艦に搭載するF35Bの取得費として846億円(6機)をつけました。1機約141億円にのぼります。
相手の射程圏外から敵のレーダーや通信に電波妨害をかける「スタンド・オフ電子戦機」の開発費用207億円を計上しました。防衛省は、電波妨害機能を持つ機体とレーダー妨害機能を持つ機体の二つの訓練用機種を統合し、C2輸送機を母機に両方の妨害機能を持てるよう開発するとしています。遠隔地にいる敵に妨害をかけ無力化する攻撃機に変貌します。
F15戦闘機にスタンド・オフ・ミサイル=敵の射程外から発射できる長距離ミサイルを搭載できるようにする能力向上に390億円。F35Aステルス戦闘機の取得に310億円(3機)、同機に搭載するスタンド・オフ・ミサイル「JSM」の取得に102億円を盛り込みました。
導入費で76億円をつけた水中防衛用小型UUV(無人水中航走体)について防衛省は、侵攻してくる艦艇に対して爆発するものだと説明します。
沖縄近海とみられる海域で、強襲揚陸艦ワスプに着艦するF35Bステルス戦闘機=1月19日(米海兵隊ウェブサイトから)
2・5兆円のローン
米政府からの対外有償軍事援助(FMS)に基づく兵器調達額は5013億円。兵器大量購入による新たな軍事ローンの「新規後年度負担」は2兆5170億円にのぼります。
陸上配備型ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」導入では、秋田、山口両県での配備候補地の選定が白紙に戻ったにもかかわらず、ミサイル垂直発射装置の取得など関連経費で122億円。南西諸島の自衛隊配備関連経費に237億円(鹿児島・奄美大島19億円、沖縄・宮古島28億円、石垣島190億円)を要求。住民合意なき軍拡と自衛隊増強を推進しています。(おわり)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2019年9月28日付掲載
「いずも」型護衛艦の「攻撃型空母」化。相手の射程圏外から敵のレーダーや通信に電波妨害をかける「スタンド・オフ電子戦機」。敵の射程外から発射できる長距離ミサイルを搭載。一線を超える装備の強化です。
2020年度軍事費の概算要求は、総額で過去最大の5兆3223億円となりました。19年度当初予算に比べ648億円(1・2%)増。SACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)関係経費や米軍再編関係経費などが額を明示しない「事項要求」とされているものの、6年連続で過去最大を更新することになります。
「攻撃型空母」
「海外で戦争する国」へ向け、違憲の敵基地攻撃能力の保有を推進します。
海上自衛隊のヘリコプター搭載型護衛艦「いずも」の改修費として31億円を計上。甲板の耐熱工事などを実施し、短距離離陸・垂直着陸能力を持つ米国製最新鋭ステルス戦闘機F35Bの発着艦ができるようにします。他国領土への攻撃を可能にする「攻撃型空母」となります。空母化した「いずも」型護衛艦に搭載するF35Bの取得費として846億円(6機)をつけました。1機約141億円にのぼります。
相手の射程圏外から敵のレーダーや通信に電波妨害をかける「スタンド・オフ電子戦機」の開発費用207億円を計上しました。防衛省は、電波妨害機能を持つ機体とレーダー妨害機能を持つ機体の二つの訓練用機種を統合し、C2輸送機を母機に両方の妨害機能を持てるよう開発するとしています。遠隔地にいる敵に妨害をかけ無力化する攻撃機に変貌します。
F15戦闘機にスタンド・オフ・ミサイル=敵の射程外から発射できる長距離ミサイルを搭載できるようにする能力向上に390億円。F35Aステルス戦闘機の取得に310億円(3機)、同機に搭載するスタンド・オフ・ミサイル「JSM」の取得に102億円を盛り込みました。
導入費で76億円をつけた水中防衛用小型UUV(無人水中航走体)について防衛省は、侵攻してくる艦艇に対して爆発するものだと説明します。
沖縄近海とみられる海域で、強襲揚陸艦ワスプに着艦するF35Bステルス戦闘機=1月19日(米海兵隊ウェブサイトから)
2・5兆円のローン
米政府からの対外有償軍事援助(FMS)に基づく兵器調達額は5013億円。兵器大量購入による新たな軍事ローンの「新規後年度負担」は2兆5170億円にのぼります。
陸上配備型ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」導入では、秋田、山口両県での配備候補地の選定が白紙に戻ったにもかかわらず、ミサイル垂直発射装置の取得など関連経費で122億円。南西諸島の自衛隊配備関連経費に237億円(鹿児島・奄美大島19億円、沖縄・宮古島28億円、石垣島190億円)を要求。住民合意なき軍拡と自衛隊増強を推進しています。(おわり)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2019年9月28日付掲載
「いずも」型護衛艦の「攻撃型空母」化。相手の射程圏外から敵のレーダーや通信に電波妨害をかける「スタンド・オフ電子戦機」。敵の射程外から発射できる長距離ミサイルを搭載。一線を超える装備の強化です。