徹底批判!「戦争立法」① 法案化の枠組み 米戦争に“切れ目なく”参加
安倍内閣が今国会での強行を狙う「戦争立法」。自民、公明両党による法案骨格の合意文書から、自衛隊が米国の戦争に「切れ目なく」参加・支援する危険な本質が浮かび上がります。危険と問題点を徹底批判します。
安倍内閣は圧倒的な国民の反対世論に逆らい昨年7月1日に集団的自衛権行使容認の「閣議決定」を強行しましたが、それを具体化する法律をつくって初めて集団的自衛権の行使も可能になります。自民、公明両党の合意に沿って、政府は4月中旬をめどに法案作成作業を始めています。(表参照)
有事から平時まで「切れ目のない」戦争参加・支援立法
「戦闘地域」へ
合意の特徴の第一は、米国が世界のどこで戦争しても、自衛隊が従来の「戦闘地域」までいって軍事支援を行う仕組みをつくることです。
これまでは自衛隊の海外派兵のたびに特別措置法をつくって対応してきました。今度は派兵恒久法を作って、米国などからの要請があれば、いつでも派兵できるようにします。
これまで武力行使に対する「後方支援」には「非戦闘地域」という歯止めを設けていましたが、これを撤廃。従来の「戦闘地域」での自衛隊の活動を可能にする「戦地派兵」となります。この場合、敵から攻撃されれば武器使用して反撃することを、安倍首椙は認めています。
「捜索・救助」については「戦闘現場でも継続」することを、恒久法に盛り込もうとしています。自衛隊をまさに「殺し殺される」現場に置くことになります。
「どこでも」という点では、これまで日本「周辺」有事で米軍を「後方支援」するための法律だった周辺事態法を改定。「周辺事態」という概念をやめ、「どこで」という地理的制約をなくします。恒久法を含め、地球の裏側までいって自衛隊が米軍支援をできるようにします。
さらに国際平和協力(PKO)法の改定では、PKOでの武器使用権限拡大に加え、「国連が統括しない」人道支援や治安維持のための紛争地派兵まで可能にすることが狙われています。そうなればアフガニスタンで約3500人もの死者を出した国際治安支援部隊(ISAF)のような活動にも道を開きます。
先制攻撃でも
第二は、「閣議決定」に対応し、政府の裁量次第で米国のどんな戦争にも参加できるようにすることです。
具体的には、「武力行使の新3要件」を武力攻撃事態対処法などに書き込みますが、どんな事態が該当するかは、「個別的、臭体的に政府が総合判断する」(安倍首相)というだけで、米国の先制攻撃でも該当する場合があることを否定していません。
まさに「切れ目のない」対応を可能にする仕組みです。
新3要件
従来の武力行使の3要件に、海外での武力行使を可能にする違憲の集団的自衛権行使の要件を付け加えたもの。①わが国に対する武力攻撃が発生したこと、又はわが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これによりわが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること②これを排除し、わが国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段のないこと③必要最小限度の実力を行使すること。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年3月28日付掲載
「戦争立法」の危険。
第1、米国の戦争に「戦地」まで行って軍事支援。
第2、「集団的自衛権」の名で、無法な侵略戦争にも参戦。
「しんぶん赤旗」4月号外で分かりやすく説明。
安倍内閣が今国会での強行を狙う「戦争立法」。自民、公明両党による法案骨格の合意文書から、自衛隊が米国の戦争に「切れ目なく」参加・支援する危険な本質が浮かび上がります。危険と問題点を徹底批判します。
安倍内閣は圧倒的な国民の反対世論に逆らい昨年7月1日に集団的自衛権行使容認の「閣議決定」を強行しましたが、それを具体化する法律をつくって初めて集団的自衛権の行使も可能になります。自民、公明両党の合意に沿って、政府は4月中旬をめどに法案作成作業を始めています。(表参照)
有事から平時まで「切れ目のない」戦争参加・支援立法
「閣議決定」具体化・戦争立法 | 問題点 | |||
「自衛の措置」 ⇒集団的自衛権行使容認 | 有事 | 地理的制約なし/地球の裏側まで | 集団的自衛権の根拠づくり(武力攻撃事態対処法、自衛隊法改定) | 他国への武力攻撃に反撃参加広い政府の裁量、判断は無限定に・米国の先制攻撃への反撃に対しても「反撃」参加(集団的侵略) |
「国際社会の平和と安定に一層の貢献」 ⇒戦闘地域での後方支援 ⇒国際平和協力(PKO)で任務遂行型武器使用 駆けつけ警護可能 | 恒久法制定 周辺事態法改定・周辺概念の取り外し | イラク・アフガン型の米国の戦争を支援 「戦闘地域」での活動容認 戦闘現場になっても「一時休止」のみ 「捜索・救助」は戦闘現場でも継続 戦闘になれば武器使用の危険高まる 派兵計画策定は政府に「白紙委任」 | ||
平時 | PKO法改定 PKOでの武器使用拡大 人道支援活動、治安維持活動などを追加し、武器使用権限拡大を検討 紛争地派兵 | PKOの変質・妨害排除、警護的任務 「治安維持」名目で対テロ、ゲリラ戦 ⇒ISAF型の多国籍軍に参加 | ||
「グレーゾ一ン」 ⇒米軍の武器を防護 ⇒閣議決定の簡略化 ⇒邦人救出作戦 | 自衛隊法95条・武器防護規定の米軍その他軍隊へ転用(自衛隊法改定など) | 現場指揮官の判断で事実上の集団 的自衛権行使へ(戦争開始) 邦人救出の軍事作戦 |
「戦闘地域」へ
合意の特徴の第一は、米国が世界のどこで戦争しても、自衛隊が従来の「戦闘地域」までいって軍事支援を行う仕組みをつくることです。
これまでは自衛隊の海外派兵のたびに特別措置法をつくって対応してきました。今度は派兵恒久法を作って、米国などからの要請があれば、いつでも派兵できるようにします。
これまで武力行使に対する「後方支援」には「非戦闘地域」という歯止めを設けていましたが、これを撤廃。従来の「戦闘地域」での自衛隊の活動を可能にする「戦地派兵」となります。この場合、敵から攻撃されれば武器使用して反撃することを、安倍首椙は認めています。
「捜索・救助」については「戦闘現場でも継続」することを、恒久法に盛り込もうとしています。自衛隊をまさに「殺し殺される」現場に置くことになります。
「どこでも」という点では、これまで日本「周辺」有事で米軍を「後方支援」するための法律だった周辺事態法を改定。「周辺事態」という概念をやめ、「どこで」という地理的制約をなくします。恒久法を含め、地球の裏側までいって自衛隊が米軍支援をできるようにします。
さらに国際平和協力(PKO)法の改定では、PKOでの武器使用権限拡大に加え、「国連が統括しない」人道支援や治安維持のための紛争地派兵まで可能にすることが狙われています。そうなればアフガニスタンで約3500人もの死者を出した国際治安支援部隊(ISAF)のような活動にも道を開きます。
先制攻撃でも
第二は、「閣議決定」に対応し、政府の裁量次第で米国のどんな戦争にも参加できるようにすることです。
具体的には、「武力行使の新3要件」を武力攻撃事態対処法などに書き込みますが、どんな事態が該当するかは、「個別的、臭体的に政府が総合判断する」(安倍首相)というだけで、米国の先制攻撃でも該当する場合があることを否定していません。
まさに「切れ目のない」対応を可能にする仕組みです。
新3要件
従来の武力行使の3要件に、海外での武力行使を可能にする違憲の集団的自衛権行使の要件を付け加えたもの。①わが国に対する武力攻撃が発生したこと、又はわが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これによりわが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること②これを排除し、わが国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段のないこと③必要最小限度の実力を行使すること。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年3月28日付掲載
「戦争立法」の危険。
第1、米国の戦争に「戦地」まで行って軍事支援。
第2、「集団的自衛権」の名で、無法な侵略戦争にも参戦。
「しんぶん赤旗」4月号外で分かりやすく説明。