わが名を語る “オンナヤ”ではありません
群馬県高崎支部 女屋定俊
私は自分の名前が嫌いでした。
“メヤ”とか“ジョヤ”などです。極めつけは“オンナヤ”です。それに続いて「お前は女郎屋か?」と言うのです。子ども心に傷つきました。
先生まで「何だ、オンナヤか!」と傷口に塩を塗るような仕打ちです。強度の近眼で生徒名を番号で呼ぶ先生に「何と良い先生」などと思ったものです。
教育実践家の三上満さんが「妻の姓を名乗った民主主義者」という話を聞きました。私も民主主義者ですから「妻の姓」を名乗ろうと思いました。でも妻は「女部田(オナブタ)」です。これじゃ変わり映えしません。もし吉永小百合であれば、すぐに“吉永定俊”になって民主主義者になれたのに!世の中には「ツイてない」人がいるものです。
不幸な“オナヤ”の姓は、群馬の前橋には比較的多くあります。赤城山の南麓に広がる関東平野の小さな村の一つが女屋村でした。そこが合併で前橋市女屋町になりました。前橋ではあまり間違われません。そこで生まれ育った父が前橋隣接の高崎で結婚して、私が生まれたのです。高崎では“女屋”はいません。そこで悲劇が起きて、「名前は嫌いだ」となったのです。
人間はつらい経験でも克服できるのです。最近では慣れてきて“感じなく”なりました。オレオレ詐欺の電話がありました。「娘さんが会社の金を使い込んだ」と。でも詐欺師が「メヤさんのお宅ですか?」で始まる電話でした。妻が「詐欺をするなら読み方を調べて掛けなさい」と説教をしたそうです。“オナヤ”もナカナカいい名前だなあ、と思っているこの頃です。
「年金者新聞」2021年1月15日付掲載
変わった苗字は地名に由来するものが多い。「女屋(おなや)」もその一つだとか。
別の地ではなじみのない苗字も、個性として受け入れてあげましょう。
群馬県高崎支部 女屋定俊
私は自分の名前が嫌いでした。
“メヤ”とか“ジョヤ”などです。極めつけは“オンナヤ”です。それに続いて「お前は女郎屋か?」と言うのです。子ども心に傷つきました。
先生まで「何だ、オンナヤか!」と傷口に塩を塗るような仕打ちです。強度の近眼で生徒名を番号で呼ぶ先生に「何と良い先生」などと思ったものです。
教育実践家の三上満さんが「妻の姓を名乗った民主主義者」という話を聞きました。私も民主主義者ですから「妻の姓」を名乗ろうと思いました。でも妻は「女部田(オナブタ)」です。これじゃ変わり映えしません。もし吉永小百合であれば、すぐに“吉永定俊”になって民主主義者になれたのに!世の中には「ツイてない」人がいるものです。
不幸な“オナヤ”の姓は、群馬の前橋には比較的多くあります。赤城山の南麓に広がる関東平野の小さな村の一つが女屋村でした。そこが合併で前橋市女屋町になりました。前橋ではあまり間違われません。そこで生まれ育った父が前橋隣接の高崎で結婚して、私が生まれたのです。高崎では“女屋”はいません。そこで悲劇が起きて、「名前は嫌いだ」となったのです。
人間はつらい経験でも克服できるのです。最近では慣れてきて“感じなく”なりました。オレオレ詐欺の電話がありました。「娘さんが会社の金を使い込んだ」と。でも詐欺師が「メヤさんのお宅ですか?」で始まる電話でした。妻が「詐欺をするなら読み方を調べて掛けなさい」と説教をしたそうです。“オナヤ”もナカナカいい名前だなあ、と思っているこの頃です。
「年金者新聞」2021年1月15日付掲載
変わった苗字は地名に由来するものが多い。「女屋(おなや)」もその一つだとか。
別の地ではなじみのない苗字も、個性として受け入れてあげましょう。