アベノミクスがもたらしたもの② 家計悪化、大企業は最高益
山家悠紀夫さんに聞く
アベノミクスは、ただでさえ苦しかった多くの人々の暮らしを一段と厳しいものにしています。サラリーマン家計の収入の動きを見ましょう。
安倍晋三内閣の初年、2013年のサラリーマン家計の収入は、名目で前年比1・0%の増加でした。(総務省「家計調査」2人以上世帯、以下同じ)民主党政権下にあった前年、12年は1・6%の増加でしたから、アベノミクスの下で増加率は下がった、ということです。しかも、そればかりではありません。12年は物価が前年比横ばいでしたから、収入の増加率は実質でも1・6%でした。それが、13年には0・5%に下がっています。アベノミクスによる円安がもたらした物価上昇が実質収入の増加率を引き下げた、ということです。
収入が6%減
それでも、13年はまだましでした。アベノミクス2年目に入った14年の実績はもっと家計に厳しい。直近の7~9月期について見ると、サラリーマン家計の収入は、前年同期比、名目で2・1%減、実質で5・9%減となっています。
安倍首相は、14年の春闘のべースアップ率が高まった、企業収益増→賃金増の好循環が生まれつつあると、内外で宣伝にこれ努めています。しかし、安倍首相が注目しているのは、ごく一部の大企業の、正規職員・従業員の、それも定期昇給分を含んでのべースアップ率という、ごく限られた範囲の統計です。暮らしの実態は、この「家計調査」(あるいは相似た数字となっている厚生労働省「毎月勤労統計調査」)の方を見るべきでしょう。
好循環など少しも生じておらず、むしろ、名目収入減、それに加えての物価上昇→実質収入・実質消費の減→景気の失速、という悪循環が生じ始めているということです。
こうした中で、目につくのは企業収益の著しい増加です。13年度の全規模法人企業の経常利益は前年度比23%増、とりわけ大企業のそれは34%増となっています。アベノミクスの下での株高・円安が大企業の利益を大幅に増やした、ということです。
ちなみに、13年度の全規模法人企業の経常利益の総額60兆円(金融・保険を除く)は、リーマン・ショック前の06年度、07年度の54兆円を大きく上回って史上最高額です。そして、この傾向は14年度に入ってもなお続いており、14年4~6月期の経常利益は前年同期比5%増(大企業は6%増)となって史上最高益を更新中です。

「消費税率10%ノー」と国会前行動する人たち
低迷が長期化
それにもかかわらず、安倍首相は、なおも日本を「世界で一番企業が活動しやすい国」にするとして政策を準備中です。総選挙後に本格実施が持ち越されているアベノミクス「第3の矢、成長戦略」がそれです。正規雇用を守る規制、労働時間規制、解雇規制など、働く人々の暮らしを守る規制(安倍首相に言わせると「岩盤規制」)の大幅緩和などがもくろまれています。
その先にあるのは、人々の暮らしがさらに一段と厳しくなる、その結果として日本経済の低迷もさらに長期化するという暗い未来図です。安倍内閣を再発足させてはなりません。
(おわり)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年11月28日付掲載
大企業は空前の利益増の更新を続けている。一方、サラリーマンの給与はベースアップされても、増税や物価高に追いつかない。
安倍内閣を再発足させない。総選挙で自公を過半数以下に、日本共産党の躍進を。
山家悠紀夫さんに聞く
アベノミクスは、ただでさえ苦しかった多くの人々の暮らしを一段と厳しいものにしています。サラリーマン家計の収入の動きを見ましょう。
安倍晋三内閣の初年、2013年のサラリーマン家計の収入は、名目で前年比1・0%の増加でした。(総務省「家計調査」2人以上世帯、以下同じ)民主党政権下にあった前年、12年は1・6%の増加でしたから、アベノミクスの下で増加率は下がった、ということです。しかも、そればかりではありません。12年は物価が前年比横ばいでしたから、収入の増加率は実質でも1・6%でした。それが、13年には0・5%に下がっています。アベノミクスによる円安がもたらした物価上昇が実質収入の増加率を引き下げた、ということです。
収入が6%減
それでも、13年はまだましでした。アベノミクス2年目に入った14年の実績はもっと家計に厳しい。直近の7~9月期について見ると、サラリーマン家計の収入は、前年同期比、名目で2・1%減、実質で5・9%減となっています。
安倍首相は、14年の春闘のべースアップ率が高まった、企業収益増→賃金増の好循環が生まれつつあると、内外で宣伝にこれ努めています。しかし、安倍首相が注目しているのは、ごく一部の大企業の、正規職員・従業員の、それも定期昇給分を含んでのべースアップ率という、ごく限られた範囲の統計です。暮らしの実態は、この「家計調査」(あるいは相似た数字となっている厚生労働省「毎月勤労統計調査」)の方を見るべきでしょう。
好循環など少しも生じておらず、むしろ、名目収入減、それに加えての物価上昇→実質収入・実質消費の減→景気の失速、という悪循環が生じ始めているということです。
こうした中で、目につくのは企業収益の著しい増加です。13年度の全規模法人企業の経常利益は前年度比23%増、とりわけ大企業のそれは34%増となっています。アベノミクスの下での株高・円安が大企業の利益を大幅に増やした、ということです。
ちなみに、13年度の全規模法人企業の経常利益の総額60兆円(金融・保険を除く)は、リーマン・ショック前の06年度、07年度の54兆円を大きく上回って史上最高額です。そして、この傾向は14年度に入ってもなお続いており、14年4~6月期の経常利益は前年同期比5%増(大企業は6%増)となって史上最高益を更新中です。

「消費税率10%ノー」と国会前行動する人たち
低迷が長期化
それにもかかわらず、安倍首相は、なおも日本を「世界で一番企業が活動しやすい国」にするとして政策を準備中です。総選挙後に本格実施が持ち越されているアベノミクス「第3の矢、成長戦略」がそれです。正規雇用を守る規制、労働時間規制、解雇規制など、働く人々の暮らしを守る規制(安倍首相に言わせると「岩盤規制」)の大幅緩和などがもくろまれています。
その先にあるのは、人々の暮らしがさらに一段と厳しくなる、その結果として日本経済の低迷もさらに長期化するという暗い未来図です。安倍内閣を再発足させてはなりません。
(おわり)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年11月28日付掲載
大企業は空前の利益増の更新を続けている。一方、サラリーマンの給与はベースアップされても、増税や物価高に追いつかない。
安倍内閣を再発足させない。総選挙で自公を過半数以下に、日本共産党の躍進を。