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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

2021年総選挙 目で見る経済⑫ 賃上げ 中小企業支援がカギ

2021-10-30 07:14:10 | 解散総選挙(2020年~2021年)
2021年総選挙 目で見る経済⑫ 賃上げ 中小企業支援がカギ
自民党は総選挙の公約に「『労働分配率の向上』に向けて、賃上げに積極的な企業への税制支援を行います」と掲げています。どのような税制支援をするのか具体策は明らかではありませんが、賃上げ企業への法人税減税を指すとみられます。しかし、この政策では多くの労働者にとって賃上げの恩恵が受けられないどころか、労働者間の格差を広げ、分断を引き起こしかねません。

生活の底上げ
国税庁「民間給与実態統計調査」から資本金規模別に平均賃金をみると、資本金10億円未満の企業の労働者は資本金10億円以上の企業の労働者にくらべ7割~8割程度の賃金です。とりわけ資本金2000万円未満の企業は72%、1億円未満の企業も74%という水準です(グラフ①)。




企業で働く雇用者数の7割を占める中小企業での賃上げが国民生活の底上げや「労働分配率の向上」にとっても重要となります。そのために有効なのは中小企業に手厚く支援しながら最低賃金を大幅に引き上げることです。
政府はすでに税制や補助金の形で賃上げ支援策を行っています。たとえば中小企業の最賃引き上げのために「業務改善等助成金」があります。2021年度の予算は12億円。20年度の利用は626件にとどまりました。安倍晋三政権が打ち出した「賃上げ減税」は19年度実績で2269億円。そのうち中小企業への適用は6割ですが数でいえば中小企業全体の4%程度です。設備投資への助成や減税では7割が赤字となっている中小企業には届かないのです。

負担分の軽減
「中小企業が賃上げのための支援策として政府に要望しているのは「社会保険料の使用者負担分の軽減」です。大阪商工会議所が会員の中小企業から集めたアンケート(「賃金調達及び最低賃金引き上げの影響に関する調査」)によると、「最低賃金引き上げの悪影響緩和のため政府に望む政策」でもっとも多かったのは「社会保険料の使用者負担分の軽減」で54・1%でした(グラフ②)。




しかもこの政策を求めているのはより小さな企業ほど高い割合となっており、資本金1000万円以下の企業では58・7%と、資本金5000万円超3億円以下の企業の36・1%を20ポイント以上、上回りました。
企業規模が小さいほど社会保険料の使用者負担は重くのしかかっています。中小企業庁の試算では、売り上げ総利益に占める社会保険料負担の割合(17年)は大企業が9・5%、中堅企業が13・3%、中小企業が13・6%という結果になりました。
米国では、連邦最低賃金を41%引き上げるために約8800億円の減税を実施しました。フランスは、全国一律最賃制にするために、約2兆2800億円の使用者負担を軽減。韓国でも約3000億円の支援を実施しました。直接支援は今や世界の潮流です。
日本共産党は、海外での取り組みにも学びながら、予算規模を抜本的に拡充し、労働者を雇用すれば赤字でも負担する社会保険料の事業主負担分を、賃上げ実績に応じて減免する中小企業賃上げ支援制度をつくることを公約に掲げています。
同時に適正な単価や納入価格の保障、過度な競争の規制、「公契約法」「公契約条例」の実現とあわせ、中小企業が最低賃金を引き上げられる環境をつくることも掲げています。(清水渡)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年10月29日付掲載


企業で働く雇用者数の7割を占める中小企業での賃上げが国民生活の底上げや「労働分配率の向上」にとっても重要となります。そのために有効なのは中小企業に手厚く支援しながら最低賃金を大幅に引き上げること。
「賃上げ減税」というと、いかにもやっている感がありますが、中小企業の大半は赤字経営のためメリットはありません。
社会保険料の半額の使用者負担を軽減することが一番効果があります。賃金を上げると、それに伴って社会保険料もあがりますからね。

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2021総選挙 目で見る経済⑪ 重い育児・教育費 “子望まない”理由にも

2021-10-29 07:13:06 | 解散総選挙(2020年~2021年)
2021総選挙 目で見る経済⑪ 重い育児・教育費 “子望まない”理由にも
子育てで不安に思うことは「経済的にやっていけるか」。20~39歳の男女7000人に尋ねたところ、63・9%もの人がこう答えました。(グラフ(1))
内閣府政策統括官による「結婚・家族形成に関する意識調査報告書」(2015年)に書かれています。




約8割「不安」
夫婦の年収が400万円未満の場合、子育てが「経済的に」不安だとの回答は78・2%に跳ね上がります。
同調査では「子どもがほしくない理由」も聞いています。対象は「現在子どもがおり、これ以上ほしくない」と答えた人、および「子どもはほしくない」と答えた人です。
回答数の上位3位は経済面に関する理由でした。「将来の教育費が心配」54・7%、「育児にかかる費用が心配」50・9%、「経済的に難しい」43・8%です。(グラフ(2))
重すぎる子育て費用が若者の未来を不安で押しつぶし、「子どもがほしくない」理由にまでなっていることがわかります。「受益者負担」の理屈で教育費を高騰させてきた新自由主義的な政策が、日本社会を閉塞(へいそく)感で覆ってしまったのです。




国の責任重要
同調査には「どのようなことがあれば、あなたは(もっと)子どもがほしいと思うと思いますか」という設問もあります。
回答数の上位3位は「将来の教育費への補助」68・6%、「幼稚園・保育所などの費用の補助」59・4%、「妊娠・出産に伴う医療費の補助」55・9%となりました(グラフ(3))。




政府の責任で妊娠・出産・保育・教育の負担を減らすことがいかに重要か、一目瞭然です。
日本共産党は総選挙で「お金の心配なく、学び、子育てできる社会」をつくることを掲げ、総合的な子育て支援策を打ち出しています。(別項)
(杉本恒如)

日本共産党の子育て支援策の骨子
▽大学・短大・専門学校の学費をすみやかに半額に下げ、高等教育の無償化をめざす。入学金制度をなくす
▽「自宅4万円、自宅外8万円」の給付奨学金を75万人が利用できる制度をつくり、拡充していく。すべての奨学金を無利子にする。奨学金返済が困難になった場合の減免制度をつくる
▽学生支援緊急給付金の継続的な実施、休学や卒業延期した学生の学費補助など、コロナ対応の支援を抜本的に強化する
▽私立高校の負担軽減、高校教育の無償化をすすめる
▽学校給食費の無償化をすすめる。義務教育で残されている教育費負担をなくす
▽認可保育所を30万人分増設し、保育水準を確保しながら待機児童を解消する。すべての幼児教育・保育の無償化をすすめる
▽児童手当の18歳までの支給、児童扶養手当、就学援助の額と対象の拡大など、子育て世帯に向けた持続的・恒久的な現金給付を拡充する

「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年10月28日付掲載


本当は子どもが欲しいことには越したことがないでしょう。
でも、子どもの教育費や育児にかかる費用が不安。共働きで仕事をしながら子育てできるか不安。
それなら、それに応えるのが政治でしょ。
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2021年総選挙 目で見る経済⑩ 自公政権 賃金減少、不安定雇用が拡大

2021-10-28 07:11:59 | 解散総選挙(2020年~2021年)
2021年総選挙 目で見る経済⑩ 自公政権 賃金減少、不安定雇用が拡大
長期化した自公政権の下で雇用破壊が進み、日本は成長できない国となりました。
総務省の労働力調査によると、パートやアルバイトなどを含む非正規の職員・従業員数は2019年の平均で2165万人と過去最多を記録しました。(グラフ①)
新型コロナウイルスの感染拡大はこの層を直撃。20年の非正規雇用労働者は前年から75万人も減少しています。




雇用規制緩和
背景にあるのが、雇用の規制緩和です。
労働者派遣の対象業務が1999年に原則自由化され、03年には派遣労働を製造業にまで拡大、正社員を大量に派遣労働者へ置き換えてきました。そして、安倍政権下の15年に派遣法が改悪され、同じ業務であっても人さえ入れ替えればいつまでも派遣労働者を使えるようになりました。
自民党はアベノミクスで雇用者数が増えたと成果を誇りますが、その多くは非正規雇用です。12年の安倍政権発足以降、雇用者全体に占める非正規の割合は35~38%と高水準で推移しています。多くが女性や高齢者など社会的に弱い立場に押し込められている人たちです。
労働者の賃金も低迷しています。1人あたり実質賃金は12年からの9年間で年額約22万円も減少しました。(グラフ②)




経済協力開発機構(OECD)によると、20年の日本の平均賃金は3万8514ドル(1ドル=114円、約439万円)と主要国で最低水準です(グラフ③)。15年には韓国に抜かれ、その差は徐々に広がっています。



法人税の減税
アベノミクスは「企業が世界一活躍しやすい国」を掲げ、規制緩和や法人税減税を実施しました。
その恩恵は一部の大企業・富裕層に集中しています。資本金10億円以上の大企業(金融・保険業を含む)の内部留保は20年度に466・8兆円と過去最多を記録。株主への配当も過去9年間で1・83倍に膨れ上がりました。(グラフ④)




日本経済の真の「好循環」には、正社員化の促進や、非正規への均等待遇に加え、中小企業支援と一体で最低賃金を時給1500円へ引き上げることが必要です。消費税減税で内需を喚起し、大企業中心の政策から家計重視の経済政策へ転換することが求められます。(小村優)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年10月26日付掲載


非正規・派遣労働が製造業まで拡大され、低賃金で働く労働者が増えている。労働者全体の賃金も安倍・菅政権下で22万円も減少。
主要国間でも平均賃金は最低水準。その一方で、大企業の配当は増えている。
「成長と分配」と言うなら、非正規から正規化、最低賃金を時給1500円以上へ。
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2021年総選挙 目で見る経済⑨ 財源論 国債と税財政見直しで

2021-10-27 05:19:39 | 解散総選挙(2020年~2021年)
2021年総選挙 目で見る経済⑨ 財源論 国債と税財政見直しで
国と地方の長期債務残高が2021年度末に1189兆円となる見通しのもと、財政への不安が高まっています。

緊急の支出に
国民の不安に乗じてか、財務省の矢野康治事務次官は『文芸春秋』11月号でコロナ禍の経済対策について「バラマキ合戦」などと椰楡(やゆ)しました。しかし、感染によって死者も続出し、経済も危機に陥っている緊急事態において、国債発行によって財源を確保し、対策をとるのは当然のことです。
ワクチン接種や大規模な検査、病床の確保、休業や時短営業への補償、生活が大変な世帯や事業者への支援、コロナで落ち込んだ消費の回復などの措置には、これから追加が必要なものだけでも20兆円超の財源が必要です。これらは臨時的かつ、急を要する支出のため、国債でまかないます。




恒久的財源も
コロナ危機対応のような、一時的・臨時的なものとは違い、社会保障や教育予算の拡充、消費税の減税など、恒常的に必要となる政策には恒久的な財源を確保する必要があります。日本共産党が提案する消費税の税率5%への減税をはじめ、コロナで浮き彫りになった医療・保健の脆弱(ぜいじゃく)性の克服、ケア労働の待遇改善、高等教育の学費半減、中小企業や農業への支援などには、あわせて毎年19兆円程度が必要です。
毎年6000億円規模に上る研究開発減税をはじめ、大企業優遇税制の見直しで4兆円以上の財源を生み出すことができます。また、安倍晋三政権発足以降、毎年のように法人税率が引き下げられました。アメリカのバイデン政権同様、日本でも中小企業を除き法人税率を28%の水準に戻せば、国・地方合わせて3兆円以上の財源となります。
富裕層の所得の多くを占める株の配当や譲渡益にかかる税率が、所得税・住民税合わせて20%と低いために、富裕層の所得税負担率が低くなっています。株式配当を総合累進課税とし、株式譲渡所得は高額部分を欧米並みの30%の税率にします。所得税・住民税合わせた最高税率を現在の55%から65%に引き上げます。最高税率は課税所得3000万円超の部分とし、10万人前後の富裕層が対象です。
純資産で5億円を超える部分に毎年課税する低率の富裕税を創設します。対象は1000人に1人程度の富裕層です。多額の為替取引に対して低率で課税する為替取引税を創設します。
税制や歳出の改革で財源を確保しながら、社会保障や教育予算の拡充を進めれば、消費税増税にも頼らず、国債発行を今以上に大きく増やすこともありません。さらに、経済成長による税収増があれば、国債発行額を減らすことも可能になるのです。
(清水渡)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年10月23日付掲載


新型コロナなどの緊急対策には国債で対応します。
社会保障の充実、教育の負担軽減、消費税減税などには恒久財源で。
大企業の優遇税制の見直しで4兆円。法人税率を元の28%に戻すことで3兆円。株の配当や譲渡所得を総合累進課税にします。所得税・住民税の最高税率を55%から65%に引き上げる。不要不急の公共事業を中止、敵基地攻撃能力のある武器の購入をやめる。などなどで、19兆円を確保できます。
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最高裁裁判官の国民審査 辞めさせたい人に× 広報に情報

2021-10-26 07:18:49 | 解散総選挙(2020年~2021年)
最高裁裁判官の国民審査 辞めさせたい人に× 広報に情報
31日投票の衆院選と同時実施

31日投票の総選挙とあわせて行われる最高裁判所裁判官の国民審査。裁判官にふさわしいかを主権者である国民が審査する制度で、辞めさせたい裁判官に「×」をつけ、何もつけなければ信任となります。「×」以外の「○」やほかの文字を書き込むと無効です。今回は全15人の裁判官のうち2017年の総選挙以降に就任した11人が審査の対象です。今年6月、最高裁は選択的夫婦別姓を認めず夫婦同姓を強制している状態を「合憲」としましたが、11人のうち「合憲」としたのは4人、「違憲」は3人(うち1人は「合憲」の結論に賛同)でした。
昨年12月、最高裁は、死刑が確定した袴田巌さんの再審(裁判のやり直し)を認めなかった東京高裁の決定を取り消し、審理を差し戻しました。これについて「再審を開始すべきだ」としたのは1人でした。19年参院選の選挙区で最大3倍の格差が生じた「1票の格差」をめぐる判決(20年11月)で違憲としたのも1人でした。


最高裁の各裁判官が示した判断
 深山卓也三浦守草野耕一宇賀克也林道晴岡村和美長嶺安政
【選択的夫婦別姓】
夫婦同姓の強制
合憲違憲だが
合憲に賛向
違憲違憲合憲合憲合憲
【19年参院選選挙区】
1票の格差3倍
合憲違憲状態条件付き
合憲
違憲合憲合憲 
【袴田事件】
再審開始せず
   再審開始すべきだ再審開始せず  
※安浪亮介、渡邉恵理子、岡正晶、堺徹各氏はこれらの裁判後に就任


日本民主法律家協会はホームページで、国民審査を受ける裁判官の情報をまとめたリーフレットを公開しています。略歴や主な裁判情報は各世帯に配布される国民審査公報で見ることができます。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年10月25日付掲載


地方裁判所から高等裁判所と、国や企業を相手取って闘う裁判で、原告側が勝訴することがあっても、最高裁で逆転敗訴ってことがよくあります。
だから、最高裁の裁判官はみんな悪いって思い込みがあるかもしれませんが…。
実際の判例をみて、個々審査しないといけませんね。

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