きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

インド・ウラン鉱山の村で④ 英字紙報道で変化 今、運動に新たな光も

2014-08-31 11:31:17 | 原子力発電・放射能汚染・自然エネルギー
インド・ウラン鉱山の村で④ 英字紙報道で変化 今、運動に新たな光も

インド東部ジャルカンド州にあるジャドウゴラ鉱山周辺の村々。1960年代から続くウラン鉱山の操業が先天異常などの健康被害の原因だと考えた住民は、90年代に「放射能に反対するジャルカンド人組織」(JOAR)を結成し、運営会社のインド・ウラン公社(UCIL)に医療費の補償や汚染地からの移住支援などを求めてきました。


住民運動団体議長を務めるガナシャム・ビルリ氏

魅力的な就職先
選鉱くずの貯蔵池拡張工事への反対集会に数千人が参加した時期もありましたが、「活動はその後、下火になった」と、JOARのガナシャム・ビルリ議長(50)は語ります。
同氏によると公社が進出した60年代まで、この地域は肥よくな農村でしたが、現金経済がほとんどなかったといいます。
「そこに現れた鉱山は、魅力的な就職先だ。公社で職を得た人たちが、次々と運動から離れていった」
現在でも公社は、周辺でほぼ唯一の大規模雇用者。今も運動にかかわる数少ない青年男性の一人(25)は、「自分にも公社から就職の話が来ている」と打ち明けます。
健康被害に関して村人の間には絶望感も漂います。ある農家の男性は記者に詰め寄りました。
「20年ぐらい前から外部の人が何度も来て、写真を撮っては帰っていく。でも状況は何も変わらない。あなたに会う意味はない。村を出ていけ」
しかし今年、この問題に改めて光を当てる出来事がありました。
2月、首都ニューデリーの報道写真家が撮影した現地住民の写真多数を主要英字紙が大きく報道。これを受けて州都ランチーの法曹関係者が現地の高裁に陳情を持ち込みました。
高裁は同月、周辺住民の健康維持策についての説明を公社に要求。8月7日には政府に対し、「放射能による影響を調査するため」(現地紙プラバト・カバル)、科学者を含めた委員会の設置を命じました。3カ月以内に調査結果を報告させるとしています。



ウラン鉱石破砕くずを貯蔵池に送るパイプ=8月8日、インド東部ジャルカンド州東シングブム県

新たな工事阻止
これとは別に、村でも動きがありました。6月、新たに浮上した貯蔵池拡張工事の反対集会に、20~30代の若者50人が参加。現場での着工を阻止したといいます。
ビルリ氏は「心強い。フクシマの事故の影響で、放射能問題への関心が高まったのかもしれない」と語ります。
インドは2050年までに少なくとも30基の原発を増設し、電力需要の4分の1を原子力で賄う計画です。公社も新たなウラン鉱山を開発するなど、操業を拡大しています。
「インドの核開発はまさに『聖域』で、市民の目から隠されてきた」。現地の健康被害を調査した医師団体のシャキル・ウルラハマン医師は報告書でこう指摘しています。「政府と公社は放射能や化学物質に関する情報を、地域住民に開示する責任がある」
(インド東部ジャルカンド州ジャドゥゴラロ安川崇写真も)
(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年8月29日付掲載


鉱山関係で働き出すと、活動に参加できなくなるって事は、よくわかります。
地元紙ではなくって、英字紙の告発で事態が動き出したってことは、いまだにイギリスの植民地だった影響が残っているのでしょうかね。
若者の運動の成果で拡張工事をストップさせたって、画期的ですね。

インド・ウラン鉱山の村で③ 重金属の検出も 間近に選鉱くず貯蔵池

2014-08-31 11:11:24 | 原子力発電・放射能汚染・自然エネルギー
インド・ウラン鉱山の村で③ 重金属の検出も 間近に選鉱くず貯蔵池

インド東部ジャルカンド州、ウラン鉱山周辺の村々で報告が相次いでいる先天異常やがんの増加。医師団体や環境団体による複数の調査報告書が問題視しているのが、村人の生活圏内にある選鉱くずの貯蔵池です。

「好ましくない」
集落から300メートルほど離れたところに貯蔵池の堤防がそびえます。付近には鉱山を運営するインド・ウラン公社(UCIL)が立てた「貯蔵池を歩くことは健康上好ましくない」との看板があります。しかし扉などはなく、誰でも立ち寄ることができます。
堤防直下の池の前で男性住人は「何年か前まで、みんなこの池で水を浴びていた。子どもも走り回って遊んでいた」と話します。すぐそばで、家畜のヒツジが草を食べています。
貯蔵池は3期にわたって建設され、面積は計1平方キロ弱。ここに公社は、ウラン鉱石を破砕してできた岩くずなどを排水と混ぜ合わせ、投棄してきました。ここからあふれた水はいったん公社のプラント内に入った後、近くを流れるグッラ川に流れ込みます。住民はこの川で魚を釣り、野菜を洗います。環境団体は放射性物質が残留しているのではないかとみています。
一方、健康被害の原因が、放射能以外の水質汚染である可能性を示した報告もあります。
2008年に首都ニューデリーの調査機関「環境科学センター」が現地の井戸水など10のサンプルを分析。現地基準の14倍の鉛や、3倍の水銀、2倍のカドミウムなどの重金属が検出されました。
しかし公社は「安全」を強調。同社サイトは「廃液は石灰で中和し、放射性物質や重金属を除去する。粒子は貯蔵池で沈殿する。水はプラント内で処理し、環境基準を満たしてから排出している」と説明します。
また、「周辺の村で見られる疾患は放射能などが原因ではなく、低栄養やマラリア、非衛生的な生活環境によるもの」とも述べています。



丘の上から見た鉱石破砕くずの貯蔵池。右の堤防のすぐ下に人々が暮らす集落があります=8月7日、インド東部ジャルカンド州東シングブム県


「貯蔵池を歩くことは健康上好ましくない」と書かれたインド・ウラン公社の看板=8月7日、インド東部ジャルカンド州東シングブム県

質問に回答なし
本紙は公社本社に面会取材を求めましたが、「公社の許可しない外国人には会えない」。広報責任者が「Eメールでの問い合わせには応じる」と答えたため質問を送りましたが、回答はありませんでした。
「公社が関与を否定する中、先天異常は発生し続けている」
90年代から住民の健康被害を訴える作品を撮ってきた映画作家シュリ・プラカシュ氏(48)は語気を強めます。撮影した子どもの多くがすでに亡くなったといいます。
「原因が放射能なのか重金属なのか不明だが、独立した第三者による科学的な調査を一刻も早く実施すべきだ」
(インド東部ジャルカンド州ジャドゥゴラ=安川崇写真も)
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年8月28日付掲載


「石灰で中和し」なんて酸性を除去できても、放射能や重金属は除去できないでしょ。「粒子は沈殿する」って、自然に任せて活性炭も使っていないってことですか?
こんないい加減な説明が通るってことが考えられないんですけどね。

インド・ウラン鉱山の村で② 放射能汚染 関連か 平均寿命以下15%多い

2014-08-30 10:46:48 | 原子力発電・放射能汚染・自然エネルギー
インド・ウラン鉱山の村で② 放射能汚染 関連か 平均寿命以下15%多い

インド東部ジャルカンド州。州内有数の工業都市ジャムシェドプルから約35キロ、車で1時間。ヤシやシュロの林の間に水田が散在する農村地帯に、インド・ウラン公社(UCIL)がウランを採掘する「ジャドゥゴラ鉱山」はあります。
同鉱山は1967年、国内初のウラン鉱山として操業を開始。以来40年以上、採掘と精製を続けてきました。従業員5千人。地下数百メートルから運ばれた鉱石を破砕し、ウラン濃度を高めた粗製物の状態で出荷。国内のプラントで核燃料などに加工されます。
インドは74年の核実験による国際社会の制裁で、海外から核物質や核技術の輸入ができない状態が続きました。しかし98年には独自で核実験を行い、核保有を宣言。この間の核開発を支えたのが、公社が生産するウランでした。
「公社が来たとき、住民はウランのことなど何も知らなかった。『鉱山が操業すれば雇用も生まれ、地域が発展する』といわれ、みんな歓迎した」。公社本社があるジャドゥゴラ村の男性住人はこう振り返ります。



村の道路を、ウラン鉱石や鉱石の破砕くずを満載したトラックがひんぱんに通ります=8月8日、インド東部ジャルカンド州東シングブム県

先天異常やがん
住民団体「放射能に反対するジャルカンド人組織」(JOAR)のガナシャム・ビルリ議長(50)によると、80年代ごろまでに住民は、先天異常やがんが増えていることに気付き始めたといいます。
住民の訴えなどで90年代から、環境団体や反核団体などが数回にわたって現地調査を実施。放射能汚染などの可能性を指摘してきました。
そのうちの一つ、医師の全国団体「平和と開発のためのインド人医師」が2007年に実施した調査は、鉱山から半径2・5キロ以内の村に住む2118世帯のデータを、約30キロ離れた村の1904世帯と比較しました。
この調査で、鉱山周辺の村では▽四肢などの先天異常の発生率が1・8倍▽先天異常による子どもの死亡率が5・8倍▽不妊、がん発生率がそれぞれ1・5倍―との結果が出ました。



ウラン鉱山から3キロの池で水浴し、服を洗う男性。鉱山の操業による水質汚染の疑いが指摘されています=8月8日、インド東部ジャルカンド州東シングブム県

操業関わる被害
比較対象の村より収入レベルは高いにもかかわらず、州の平均寿命(62歳)以下で死亡した人は15%多かったといいます。
調査報告書はこれらの健康被害の原因を特定していません。しかし飛散した放射性物質による被ばくや、鉱物の化学的毒性が背景にある可能性を強く示唆。「ウラン鉱山の操業に関わる健康被害であると考えられる」と結論付けています。
(インド東部ジャルカンド州ジャドゥゴラ=安川崇 写真も)
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年8月26日付掲載


収入レベルは高くても、平均寿命が短いなんて…。命を金で売っているようなもの…。でも、医師たちが自主的に放射能被害の実態調査をして、告発しているなんて心強いですね。

インド・ウラン鉱山の村で① 先天異常、がん多発 治療もできず住民不安

2014-08-30 10:30:22 | 原子力発電・放射能汚染・自然エネルギー
インド・ウラン鉱山の村で① 先天異常、がん多発 治療もできず住民不安

インド東部ジャルカンド州にあるウラン鉱山の周辺の村で、先天異常やがん、不妊が多発しているとの報告が相次いでいます。医師団体や環境団体は鉱毒や、放射能汚染の可能性を指摘。一方、鉱山を運営するインド・ウラン公社(UCIL)は「鉱山による環境汚染はない」と全面的に否定します。現地を訪ねました。(インド東部ジャルカンド州ジャドゥゴラ=安川崇、写真も)



鉱山から約3キロ離れたバンゴ村の小学校。両足に重い障害がある5年生のサンジャイ・ゴプ君(10)は、両側から級友に支えられて教室を出ました。1人の時は、はって移動します。
昼の給食時。廊下に敷いた布に座り、豆のスパイス煮と米を左手で口に運びます。インドでは右手で食べるのが一般的ですが、以前は自由に使えた右手の指がうまく動かず、右手を床に突っ張って体を支えます。
迎えに来た祖父のデブナンダンさん(72)は、同様の障害があったサンジャイ君の姉が2年前、13歳で亡くなったと語ります。



級友に支えられて歩くサンジェイ・ゴプ君

背骨も曲がって
「両手足の骨が少しずつ外に向かってねじれていき、歩けなくなった。背骨も曲がって、老婆のように腰をかがめていた。このあたりの村にはこんな子がいくらでもいる。・政府も誰も、面倒を見てくれない」
最近、サンジャイ君の背骨も曲がり始めたことに気付きました。「上の子と同じだ」と顔をしかめます。
鉱山から2キロほど離れたジュトカディ村。農家のビシュバナト・サルダルさん(78)は土造りの自宅の中庭で、12歳で亡くなった孫娘の記憶を語ります。
「話すことも立つこともできず、常に横たわっていた。家族の区別もついていたのかどうか。笑うことだけはできた」
医師に見せても「治療法はない」との回答でした。東部の大都市コルカタの病院に行けば可能性があると言われましたが、「旅費がなかった」と肩を落とします。



亡くなった孫娘の記憶を語るビシュバナト・サルダルさん

「井戸水使うな」
孫娘の父は公社のウラン鉱石採掘現場で働いています。「障害のある子どもが増えたのは鉱山ができてから。ウランのせいじゃないか。多くがそう疑っている」
鉱山に隣接する集落に住む元公社職員(64)は、長女(26)と長男(25)が頭蓋骨の形成異常と弱視を抱えます。長年井戸水で生活してきましたが、5年ほど前、公社が集落に水道を引き、井戸水の使用を止めるよう住民に言ったといいます。
「水がおかしいのでは。公社は知っているんじゃないか」。元職員はいぶかります。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年8月25日付掲載


ウラン鉱山でも放射能が出るのは、はっきりしているのだから…。低濃度や高濃度の違いはあっても、隔離して管理しなければならないのに、井戸水に混入するようなずさんな事をしているとは許されませんね。

「閣議決定」安倍政権の言い訳を見る⑦ 「自衛の措置」と海外で武力行使 過去の侵略戦争を想起

2014-08-29 21:05:12 | 平和・憲法・歴史問題について
「閣議決定」安倍政権の言い訳を見る⑦ 「自衛の措置」と海外で武力行使 過去の侵略戦争を想起

日本が攻撃されていなくても、他国が攻撃されたときにともに武力行使するのが集団的自衛権です。“自衛”の名が付いていますが、実態は“他国防衛(他衛)”です。「閣議決定」も、「わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生した場合」にとる日本の武力行使は、「国際法上は集団的自衛権が根拠となる場合がある」と認めます。
ところが、政府・与党はその日本の武力行使について、「自衛の措置」であり、「他国防衛それ自体を目的とする集団的自衛権の行使は認めていない」と言い張っています。“他衛”である集団的自衛権行使を“自衛”と表現しないと、従来の政府の憲法解釈とつじつまが合わなくなるからです。
それにしても、集団的自衛権行使そのものを容認しながら「他国防衛それ自体を目的とする集団的自衛権は認めていない」とは、理解しがたい言い分です。

他国攻撃も反撃
竹内行夫元外務次官がインタビュー(「朝日」7月20日付)で、この理屈を述べています。竹内氏は、集団的自衛権といっても国際法上の学説には「他国防衛説」と「自国防衛説」の二つがあると主張。他国を守るために他国の戦争に加わる「他国防衛」は許されないが、自国を守るために他国の戦争に加わる「自国防衛」は許されるというのです。政府・与党が集団的自衛権行使を「自衛の措置」というのも、これと同じ発想です。
しかし、「自国防衛」「他国防衛」と区分けしたところで、集団的自衛権の本質が変わるわけではありません。
日本が攻撃されていなくても、他国が攻撃され、それへの反撃として日本が武力行使する点ではどちらも同じだからです。

時の政府が判断
「閣議決定」は、「他国に対して発生する武力攻撃であったとしても…わが国の存立を脅かす」ととらえ、「わが一国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合」に武力行使を行うとしていますが、“他国攻撃は日本への攻撃と同じ”“それは明白な危険にあたる”と判断するのは時の政府です。
「自衛の措置」だといって海外で武力行使するのは、過去に「自存自衛」のたたかいだといって侵略戦争を拡大していったことを想起させます。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年8月24日付掲載


「他国を守るために他国の戦争に加わる「他国防衛」は許されないが、自国を守るために他国の戦争に加わる「自国防衛」は許される」という、まゆつばの論理。
アメリカの起こす戦争は、アメリカへの攻撃があったからではなく、「気に入らない」から攻撃するというもの。
それが「自衛」とは言えるものでない事は明らか。