2020年回顧⑭ 韓国 与党圧勝、検察改革進む
韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権の「中間評価」とされた4月の総選挙(定数300)で、与党「共に民主党」が過半数を大きく超える180議席を獲得し、大勝しました。
文氏は選挙後、「より謙虚に国民の声に耳を傾ける」とし、残り2年の任期に向けた決意を述べました。当選した民主党議員も、「今回の結果は、ろうそく革命で誕生した政権による改革を成し遂げろという声と受け止めた」と語ったように、国民は2017年5月の大統領選以降、18年の地方選、今回の総選挙と、民主党に力を与えることを選びました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/24/27/ba578eb4534fb2692e97cd9c61489995.jpg)
韓国の文在寅大統領(大統領府公式ツイッターから)
保守党に審判
専門家も「国民は、格差社会の解消、南北平和プロセスの推進など文政権が掲げてきた改革を支持した」「国民の声に耳を傾けず、対案も出さない保守政党に審判が下った」と分析しています。
こうした状況を受け文政権は、就任当初から公約してきた検察改革に本格的に着手しました。昨年末に可決された大統領をはじめ政治家や政府高官などの汚職を捜査する新しい独立機関「高位公職者犯罪捜査処」法の一部改定案が成立し、来年には捜査処の設置が見込まれています。
すべての起訴権が与えられ巨大な権力を持っていた検察に対しては、恣意(しい)的な捜査が行われているとして市民からの不信が根強くありました。昨年は市民団体が数十万人の集会を開くなどして改革を求めてきました。
こうした動きに検察や保守派が強く反発しており、今秋には法椙と検事総長が激しく対立。文氏も謝罪する事態となり、民間会社の調査によると文政権の支持率は36%にまで落ち込みました。
非核化は停滞
南北の平和プロセスについては、厳しい状況に置かれています。北朝鮮は韓国の脱北者団体が金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長を批判するビラを散布したことに強く反発。6月には南北間の通信線を遮断し、その後、南西部・開城にある南北連絡事務所を爆破しました。
一方、9月は北朝鮮に越境した韓国人男性を北朝鮮軍が射殺する事件が発生。金氏が韓国側に謝罪文を送るというこれまでにない動きもありました。
朝鮮半島の非核化や米朝関係では大きな進展は見られませんでした。仲介者・促進者と自負してきた韓国は、バイデン次期米政権の動きを注視しています。(栗原千鶴)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年12月30日付掲載
大統領をはじめ政治家や政府高官などの汚職を捜査する新しい独立機関。格差社会の解消、南北平和プロセスの推進。
ろうそく革命で誕生した政権だからこそ、国民の期待が集まっている。
韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権の「中間評価」とされた4月の総選挙(定数300)で、与党「共に民主党」が過半数を大きく超える180議席を獲得し、大勝しました。
文氏は選挙後、「より謙虚に国民の声に耳を傾ける」とし、残り2年の任期に向けた決意を述べました。当選した民主党議員も、「今回の結果は、ろうそく革命で誕生した政権による改革を成し遂げろという声と受け止めた」と語ったように、国民は2017年5月の大統領選以降、18年の地方選、今回の総選挙と、民主党に力を与えることを選びました。
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韓国の文在寅大統領(大統領府公式ツイッターから)
保守党に審判
専門家も「国民は、格差社会の解消、南北平和プロセスの推進など文政権が掲げてきた改革を支持した」「国民の声に耳を傾けず、対案も出さない保守政党に審判が下った」と分析しています。
こうした状況を受け文政権は、就任当初から公約してきた検察改革に本格的に着手しました。昨年末に可決された大統領をはじめ政治家や政府高官などの汚職を捜査する新しい独立機関「高位公職者犯罪捜査処」法の一部改定案が成立し、来年には捜査処の設置が見込まれています。
すべての起訴権が与えられ巨大な権力を持っていた検察に対しては、恣意(しい)的な捜査が行われているとして市民からの不信が根強くありました。昨年は市民団体が数十万人の集会を開くなどして改革を求めてきました。
こうした動きに検察や保守派が強く反発しており、今秋には法椙と検事総長が激しく対立。文氏も謝罪する事態となり、民間会社の調査によると文政権の支持率は36%にまで落ち込みました。
非核化は停滞
南北の平和プロセスについては、厳しい状況に置かれています。北朝鮮は韓国の脱北者団体が金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長を批判するビラを散布したことに強く反発。6月には南北間の通信線を遮断し、その後、南西部・開城にある南北連絡事務所を爆破しました。
一方、9月は北朝鮮に越境した韓国人男性を北朝鮮軍が射殺する事件が発生。金氏が韓国側に謝罪文を送るというこれまでにない動きもありました。
朝鮮半島の非核化や米朝関係では大きな進展は見られませんでした。仲介者・促進者と自負してきた韓国は、バイデン次期米政権の動きを注視しています。(栗原千鶴)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年12月30日付掲載
大統領をはじめ政治家や政府高官などの汚職を捜査する新しい独立機関。格差社会の解消、南北平和プロセスの推進。
ろうそく革命で誕生した政権だからこそ、国民の期待が集まっている。