きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

数値が示す日本経済⑪ 商店 生活支える小売業が減少

2016-08-31 13:11:13 | 経済・産業・中小企業対策など
数値が示す日本経済⑪ 商店 生活支える小売業が減少

毎日の暮らしに欠かせない商店の減少が止まりません。経済産業省「商業統計」によると、日本の商店の数は、1982年の215万323店から、2014年は140万7235店へと減りました。32年間で74万3088店、34・6%も減少したことになります。
商店数の72・8%を占める小売業で商店が減少したことが最大の要因です。小売業商店は82年の172万1465店から14年は102万4881店へと、32年間で69万6584店(40・5%)も減少しました。
中小企業庁「商店街実態調査」(2015年度)によると、一つの商店街(平均店舗数54・3店)で最近3年間に退店・廃業した店舗数は、「2店」が最も多く17・0%、続いて「3店」が16・1%を占めています。中には「10~19店」「20店以上」という商店街もあり、平均では商店街ごとに3・6店が退店・廃業しています。






「高齢化」が課題
退店・廃業した理由(二つまで回答)は「商店主の高齢化・後継者の不在」が66・6%ととりわけ高く、「ほかの地域への移転」23・8%、「同業種との競合」12・9%、「商店街に活気がない」12・8%、「大型店の進出」4・2%と続いています。
経営者の高齢化と後継者の不在が商店継続の大きな課題です。また、大型店の身勝手な出店や退店が地域の商店街や小売店を衰退や廃業に追い込み、全国で600万人といわれる「買い物難民」を生む要因の一つになっています。住民からは「車で遠くの店まで買い物に行っているが、(高齢で)免許を返した後が心配」「近所の人には買い物を頼みづらい」「バスの停留所まで荷物を持てない」などの声があがっています。



買い物客でにぎわう都内の商店街

買い物難民支援
各地の商店街が「買い物難民」支援の取り組みを始めています。埼玉県秩父市の、みやのかわ商店街は、高齢者施設などに商品を持って出向く出張販売を行っています。静岡県御殿場市の森の腰商店街は商品の無料宅配事業を実施。「腰が痛く物を持つのがつらいので助かります」などと高齢者に喜ばれています。
経済産業省の調べでは小売業商店の業種別の割合は、コンビニエンスストアなどを含む「その他の飲食料品小売業」が13・3%と最も多く、ホームセンターやペット用品小売業などを含む「他に分類されない小売業」10・3%、ドラッグストアなどを含む「医薬品・化粧品小売業」9・1%、「自動車小売業」「婦人・子供服小売業」などが続きます。訪れる人は、主婦、高齢者、家族連れが多く、商店は地域住民の身近な場所で消費を支える役割を果たしています。
小売業商店の従業者規模は、従業者が「2人以下」が最も多く40・8%。次いで「3~4人」21・8%、「5~9人」18・8%、「10~19人」11・4%です。従業者が1~4人の小売業商店は小売店全体の約6割を占め、多くが夫妻、家族で営んでいます。
地域の商店、商店街は「地域の共通財産」です。商店街振興対策予算やさまざまな補助事業の拡充が必要です。
(川田博子)
(このシリーズおわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年8月31日付掲載


小売店の退店・廃業の理由のトップが「商店主の高齢化・後継者の不在」っていうのも深刻ですね。
要するに、息子や若い従業員に引き継いで任せられるだけの売り上げや利益がでないってことでしょうか…。
そうはいっても、地元の商店が消費者にとっても一番便利で気軽に買い物できるわけですから、支援が必要ですよね。
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数値が示す日本経済⑩ エネルギー 猛暑でも原発必要なし

2016-08-30 15:43:13 | 経済・産業・中小企業対策など
数値が示す日本経済⑩ エネルギー 猛暑でも原発必要なし

今夏、猛烈な暑さに襲われた日本列島。原発なしでも電力の供給は安定しています。東京電力福島第1原発事故によって広まった節電の取り組みの定着と、再生可能エネルギーの普及によるものです。
電力会社は、電力使用率が97%以上になると需給がひっ迫する「大変厳しい」状態になるとしています。
安倍晋三政権や財界は、電力の安定供給には原発が必要だとしています。しかし、今年の8月の猛暑のなかでも使用率が97%を超えた日はゼロ(22日時点)。原発推進勢力の言い分は需給面でも根拠を失っています。






需給に大幅余裕
九州電力川内原発(鹿児島県)が稼働している九州地域では、10日午後2時にこの夏一番の最大電力1527万キロワットを記録しました。それでも、電力使用率は90%にとどまり、177万キロワットの余裕がありました。
発電容量178万キロワットの川内原発がないと需給がひっ迫するようにもみえますが、九州電力と周波数が同じ中日本・西日本の5電力の同時刻の供給力には900万キロワット以上の余裕があったため、川内原発がなかったとしても供給に問題は生じませんでした。
東京電力は新潟県の柏崎刈羽原発の再稼働を目指していますが、7月以降使用率が90%を超えたのは2日だけ。8月は1度も超えていません。
2011年の福島原発事故を機に広がった節電の取り組みは、夏の電力需要を大幅に下げています。10年に日本全体で約900億キロワット時あった7月の電力需要は15年に800億キロワット時を割り込み、今年はさらに減少しています。
12年7月に始まった固定価格買い取り制度(FIT)を追い風に、再生可能エネルギーが急速に増加しています。なかでも太陽光発電はFIT開始以前と比べ約6倍に増えました。太陽光は、夏の電力需要が増加する昼間に出力が大きくなるため、電力の安定供給に大きな役割を果たしています。

【電力使用率】
電力会社は日々の電力需要を事前に予測し、火力や揚水力を動かせるように準備します。準備した供給力に対して実際に使われた電力の比率が電力使用率です。準備しておく供給力は電力会社の最大供給力とは異なるため、使用率が97%を超えても実際には余力がある場合もあります。



川内、伊方原発の再稼働をやめろと抗議する人たち=8月12日、首相官邸前

化石燃料輸入減
原発推進勢力は、原発停止によって化石燃料の輸入が増え“国富が流出”していると批判してきました。
しかし、節電の取り組みと再生可能エネルギーの普及が進んだことで、化石燃料の輸入量も減少に転じています。事故後のピークと比べ15年の輸入量は石油で8%、液化天然ガスも4%減少しました。
世界的な資源価格低迷の影響もあり、15年の石油と石炭の輸入額は福島事故以前よりも少なくなっています。14年には年間7・8兆円あった液化天然ガスの輸入額も、15年には5・5兆円に急減。原発停止による“国富流出”論も説得力を失っています。
(佐久間亮)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年8月30日付掲載


原子力発電所の発電能力で言えば、日本の発電能力の約3割あるのでしょうが、現在動いているのは川内と伊方だけ。
安全性の担保されない原発を稼働させなくても電力は足りている。化石燃料の輸入額も減ってる。
原発稼働の根拠はなくなっています。
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数値が示す日本経済⑨ 消費 収入乏しく生活切り詰め

2016-08-27 10:57:52 | 経済・産業・中小企業対策など
数値が示す日本経済⑨ 消費 収入乏しく生活切り詰め

エンゲル係数が急上昇しています。総務省「家計調査」によると、2人以上の世帯のうち勤労者世帯について2005年度に平均21・6%だったエンゲル係数は、15年度平均で23・9%に上昇。6月の家計調査速報値では25・4%となりました。10年ちょっとの間に4ポイント近く上昇したことになります。
エンゲル係数とは、消費支出に占める食料品の割合です。収入が乏しく、消費を切り詰めなければならなくても、食費を削ることには限界があるので、暮らしのゆとりを示すバロメーターとされています。



駅前アーケード商店街=東京都内

食品価格の上昇
エンゲル係数が急上昇した要因の一つは食品価格の上昇です。総務省「消費者物価指数」によると、生活実感に近い「持ち家の帰属家賃を除く総合」の物価指数は、05年度から15年度の間に3・4%上昇しました。しかし、食料品は同じ期間に10・8%もの急上昇です。とりわけ、安倍晋三政権の経済政策であるアベノミクスの「第1の矢」である「異次元の金融緩和」が推進され、円安が加速して以降は、輸入に頼る食料品の価格が高騰しました。
もう一つの要因が可処分所得の減少です。可処分所得とは実収入から直接税と社会保険料の非消費支出を除いた額で、家計の判断で使える金額とされます。05年度に平均年額523万1418円だった可処分所得は、15年度には512万2020円へ10万9398円も減少しました。さらに、物価変動の影響を差し引いた実質可処分所得は、同じ期間に545万5076円から512万2020円へ33万3056円も下落しました。
実質可処分所得の減少の背景には、物価の高騰に加え、実収入の伸び悩みと非消費支出の負担増があります。とりわけ、安倍政権下では賃金の低い非正規雇用労働者が増えたことが影響しています。年金の支給額が減らされました。一方で、年金や介護をはじめとする保険料も毎年のように引き上げて、非消費支出を増大させています。






消費税の負担も
深刻なのは消費税の負担です。間接税である消費税は、商品価格の一部分となります。そのため消費支出に組み込まれてしまい、家計負担は見えにくくなるからです。
家計調査から消費税相当分を試算すると、05年の年間15万9702円から、15年には24万3856円へと8万4154円も負担が増えました。安倍政権が14年4月に強行した8%への消費税率引き上げとそれに伴う物価上昇が主な要因です。
エンゲル係数が高まった結果、家計に占める割合が減ったのは被服や履物にかけるお金です。05年度の年間17万8051円から15年度には16万1387円へ1万6664円の減少です。また交際費や嗜好品などその他の支出も減少しました。
日本国憲法第25条は国民に対し「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を保証しています。安心して暮らせる所得を実現しなければならないのです。(清水渡)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年8月27日付掲載


食品価格の上昇や可処分所得の減少は、リアルな実感として感じますね。
美味しいものを食べるのも良い事ですが、「健康で文化的な最低限度の生活」と言えば、お気に入りの服を着て、リラックスできる家に住んで、映画やドライブなど趣味を楽しむ…ことなどが欲しいですよね。

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数値が示す日本経済⑧ 雇用・賃金 非正規4割 賃金は最低

2016-08-24 14:31:38 | 経済・産業・中小企業対策など
数値が示す日本経済⑧ 雇用・賃金 非正規4割 賃金は最低

雇用を守るルールを歴代自民党政権が破壊してきたため、非正規雇用が増え続けています。総務省「労働力調査」で四半期ごとの非正規雇用比率をさかのぼって見ることができるのは2002年まで。同年1~3月期には28・7%でしたが、年々増え続け、直近の16年4~6月期は37・1%。4割に迫っています。


職場に向かう人たち=東京都千代田区

格差と貧困拡大
非正規雇用労働者は賃金が低く、身分も不安定です。25~54歳でも非正規が増え続けていることは特に深刻です。02年1~3月期には23・5%でしたが、安倍晋三政権下の14年1~3月期に初めて30%を超えました。人生の中で結婚や子育ての中心的な時期となる世代で3割が非正規という実態は、ワーキングプア(働く貧困層)の増加によって格差と貧困を拡大しています。
非正規雇用の増加は賃金水準全体を押し下げています。厚生労働省「毎月勤労統計調査」によると、物価の影響を除いて賃金水準を示す実質賃金指数(2010年平均11100)は1997年をピークに減り続け、2015年には94・6。過去26年間で最低です。ピークの109・5から実に14%も減ってしまいました。1カ月分を超える給料が飛んでしまった勘定です。年収300万円なら42万円がなくなったことになります。






派遣法の改悪で
1999年には労働者派遣法の改悪で派遣対象業務が大幅に広げられ、2004年からは製造業でも派遣労働が可能になりました。実質賃金が減少に転じたのはちょうどその時期と重なっています。
政府の16年度「経済財政白書」は、若年子育て世帯の消費支出がほとんど伸びていない原因として、非正規比率の高さや賃金の伸び悩みを指摘しました。
国際通貨基金(IMF)も今年の対日審査報告書で、日本政府に賃金と最低賃金の思い切った引き上げを勧告しました。
(山田俊英)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年8月24日付掲載


非正規労働者の比率が一環として向上している。それに比例するように実質賃金は減り続けている。
最低賃金をいますぐ1000円に、1500円を目指すことが求められています。
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数値が示す日本経済⑦ 海外生産比率 自動車2倍空洞化拍車

2016-08-22 11:42:52 | 経済・産業・中小企業対策など
数値が示す日本経済⑦ 海外生産比率 自動車2倍空洞化拍車

日本企業の海外生産比率が上昇しています。海外生産比率とは企業の国内法人売上高と海外現地法人売上高の合計額を分母とした海外現地法人売上高の比率です。経済産業省の「海外事業活動基本調査」によると、2008年度に海外進出企業ベースで30・4%だった製造業の海外生産比率は14年度に38・2%まで引き上がりました。国内全法人ベースでも同じ期間に17・0%から24・3%まで増えています。
とりわけ顕著なのは自動車産業です。自動車工業会によると、15年度に国内では917万6581台の自動車が生産されたのに対し、海外では1830万5220台と2倍も生産されています。08年度に49・8%だった海外生産比率は15年度には66・6%まで引きあがりました。




失った雇用匹敵
海外生産比率が高まるにしたがって、国内の産業空洞化に拍車がかかっています。総務省「労働力調査」によると、08年に1151万人だった製造業の就業者数は14年には1040万人となりました。減少数は111万人と08年から1割近くに上ります。
一方、海外現地法人の従業者数は急増しています。経産省「海外事業活動基本調査」によると、08年度に451万7150人だった現地法人の常時従業者は14年度に574万9122人と123万1972万人も増加。製造業に限っても、08年度の356万5555人から456万5709人へと1・28倍に増えています。製造業の海外現地法人で約100万人の従業者増ですから、同じ期間に日本で失われた製造業の雇用に匹敵する規模となります。



船積みされる自動車=神奈川県横須賀市



利便性が1位に
日本企業が海外に生産拠点を移すことについて、政府や財界は法人税の高さを理由に挙げ、“法人税の引き下げが必要だ”とする議論があります。
経団連は6月に発表した提言「GDP600兆円経済の実現に向けて」で「企業の国際競争力を強化するとともに、わが国の立地競争力を高める観点から、法人税改革を進めていくことが不可欠である」として、国と地方合わせて現在29・97%の法人実効税率について「アジア近隣諸国並みの法人実効税率25%を目指」すよう求めています。
しかし、海外での設備投資先を選ぶ要因に法人税率を上げる企業はほとんどありません。日本政策投資銀行の「企業行動に関する意識調査」によると「海外で増産のための、設備投資を行う際に、実施場所で重視すること」の1位は「需要の伸びが期待できる国・地域までの距離や物流などの利便性」で84・6%でした。「法人税や電力料金などの人件費以外のコスト」は8位でわずか3・6%でした。(清水渡)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年8月20日付掲載


企業が海外生産に移す最大の理由として上げているのが、「需要の伸びが期待できる国・地域までの距離や物流などの利便性」。
だとすれば、国内での需要が伸びるように労働者の賃金を上げればいい。
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