「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。
「経労委報告」を読む⑤ 「日本型雇用」造り替え
労働総研事務局長 藤田実さん
「経労委報告」が主張する「日本型雇用システムの見直し」に関連して、注視すべきは副業・兼業に対する積極的な方針提起です。
副業と兼業促進
「経労委報告」では「副業・兼業は、スキルアップや自己研鑽(けんさん)、社外での幅広い視野・経験の獲得を可能にするなど働き手の主体的なキャリア形成を支援する施策として」積極的に位置づけています。
このような「経労委報告」の観点は、2021年10月に出された「副業・兼業の促進」という報告書に基づいています。報告書では、「働き手のエンゲージメントを高め、働き方改革フェーズーを推進する」施策の一つとして位置づけられています。
経団連が副業・兼業の促進を打ち出す背景として上げられているのが、コロナ禍でのリモートワークの推進で、都市と地方の2拠点居住や都市在住者の地方からの仕事の請負が可能になったということです。5Gなどインターネット環境が整備され、在宅でもクラウドサービスを利用することでオフィスと同じ執務環境を作り出すことができるようになったことは、仕事をする場所を選ばないということでもあります。
情報通信産業分野では、単発の仕事を請け負う「ギグワーク」という働き方で国境を越えて外国からの仕事を請け負う事例すら現れています。この意味では、経団連が主張するように、企業さえ認めれば、副業・兼業がやりやすくなったのは事実です。
また経団連が主張するように、副業・兼業という仕事自体に注目すれば、労働者のスキルアップや社外での幅広い視野・経験の獲得につながることは否定できません。それによって労働生産性向上をもたらす可能性もあります。
コロナ禍で雇用を守れと訴えデモ行進する全労連・国民春闘共闘の人たち=1月13日、東京都内
「自営業者化」へ
しかし、経団連のねらいはそれだけではありません。「経労委報告」では、副業・兼業などによって「社内のみならず社外にも通用する職能やスキル・経験を持つ多様な働き手が増えていくことが、社会全体での円滑な労働移動の実現にもつながるものとして期待される」と述べており、流動的な労働市場に変えていく一助になるという認識を示しています。
さらに副業・兼業を促進するということは従来の企業や社員のあり方を変えることになります。副業・兼業先では「インディペンデント・コントラクター」(独立自営業者)という位置づけで仕事を請け負うこともできるので、企業の中で雇用責任を負う労働者ではなく、雇用関係によらない働き手が増えてくれば、実際に仕事を行う社員の多くを自営業者化できることになります。企業を自営業者の集合体にすることも可能になります。
副業・兼業の促進は労働市場の流動化を促すとともに、労働者の自営業者化にもつながる可能性があるということにも注意すべきです。これは経団連が本格的に日本型雇用システムの造り替えに乗り出すことの意思表明とみなすことができます。
総資本としての経団連が従来の雇用システムの再構築の意思を鮮明にしたことを考えると、労働組合も格差のない労働社会、男性も女性も外国人も障がい者も能力に応じて自由に働き、生活に見合った賃金を受け取ることができる、真に多様性のある労働社会の構築に向けて構想し、運動を強める必要があります。
(おわり)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年2月23日付掲載
一昔前は、「労働者が副業や兼業なんてとんでもない。会社にもっと尽くせ」と言っていたものです。
今、経団連が行っている副業・兼業は別の意味があるようです。
副業・兼業先では「インディペンデント・コントラクター」(独立自営業者)という位置づけで仕事を請け負うこともできるので、企業の中で雇用責任を負う労働者ではなく、雇用関係によらない働き手が増えてくれば、実際に仕事を行う社員の多くを自営業者化できることに。
要するに、企業が雇用に責任を負わなくって労働者を働かせることをめざしているようです。
「経労委報告」を読む④ 正規雇用の流動化狙う
労働総研事務局長 藤田実さん
以前の「経労委報告」では、新卒一括採用、長期勤続雇用、OJT(職場内訓練)を中心とする企業内人材育成などからなる日本の雇用システムを「人間尊重の経営」として、高く評価し、維持すべきとしてきました。
「日本型」を攻撃
しかし「2020年版経労委報告」では「転換期を迎えている日本型雇用システム」として、「Society5・0」の時代では問題点が顕在化し、その見直しが求められているとしました。「2021年版経労委報告」では「『自社型』雇用システムの検討」を求めるとして、従来の日本型雇用システムからの転換を打ち出しました。
21年版では、日本型雇用システムについて、より批判的になっています。
例えば、新卒一括採用が中途採用や再チャレンジを困難にし、中小企業やスタートアップ企業の振興を阻害していると述べています。新卒一括採用には、「経労委報告」が指摘するような問題点があるのは確かですが、他方で若年層の失業率を低くさせ、社会を安定させる効果をもたらしています。企業も採用コストや研修コストを抑えることができるというメリットがあります。
長期勤続雇用に関しては、働き手の多くが定年までの勤続を当然と認識しているので、主体的なスキルアップや自己啓発への意欲を阻害している可能性があると断じています。
自己啓発に取り組む労働者が日本では少ないというのは、各種調査でも指摘されていることですが、それは企業や社会のあり方に原因があります。日本企業の人的投資はOJT中心で、Off-JT(職場外訓練)への投資は少ないことが国際比較調査から明らかになっています。企業外部で、リカレント(学び直し)教育やリスキング(再教育)する基盤が整備されていないこともあります。さらに仕事に直結する資格などが少なく、例え資格を取っても評価や賃金に結びつかないという企業の人事管理上の問題もあります。
このような実態からすれば、自己啓発やスキルアップに取り組む労働者が少ないのは、長期勤続雇用に安住しているからだというのは一面的な議論です。
電機リストラをやめさせろと訴える人たち=2021年3月26日、経産省前
ジョブ型の狙い
年功型賃金に関して、「経労委報告」は実際に発揮した職能や賃金水準の間に乖離(かいり)が生じやすいと主張しています。
しかし現実の賃金制度では、年齢・勤続年数が決定要因となる年功型の要素は、若年層以外では少なく、役割・成果給の割合が高くなっており、単純な年功型の賃金体系ではなくなっています。
このように「経労委報告」の主張は、事実を曲解したり、都合よく解釈したりして、日本的雇用システムを「攻撃」しているように見えます。
日本経団連が日本型雇用の問題点を指摘し、見直しを掲げる理由はどこにあるのでしょうか。それは「4.円滑な労働移動の推進」で述べているように、企業戦略や事業構造の変化に応じて自由に正規労働者も入れ替えたいということです。
「ジョブ型雇用」の導入も、ジョブ(職務)の変化に合わせて自由に労働者の入れ替えを進めることがねらいです。「経労委報告」が想定する雇用システムは、長期勤続の労働者は経営幹部層など一部に限定し、労働者の多数は企業戦略や事業構造の変化に対応して流動的にするというものです。
非正規労働者が増加していることと合わせて考えると、正規労働者も含めて、日本の労働市場を企業の都合に合わせて流動的なものにしていくというのが狙いだといってよいと思います。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年2月22日付掲載
「経労委報告」は、長期勤続雇用に関して、働き手の多くが定年までの勤続を当然と認識しているので、主体的なスキルアップや自己啓発への意欲を阻害している可能性があると断じている。
しかし、スキルアップしたとしても、それが評価や賃金に結びつかないという企業の人事管理上の問題が。
「ジョブ型雇用」の導入も、ジョブ(職務)の変化に合わせて自由に労働者の入れ替えを進めることがねらい。
正規労働者も含めて、日本の労働市場を企業の都合に合わせて流動的なものにしていくというのが狙い。
「経労委報告」を読む③ 最賃上げ 全国一律制に
労働総研事務局長 藤田実さん
2000年代に入ってから非正規労働者が急増し、21年には2064万人、雇用者の36・6%を占めるようになっています。そのうち年収が200万円未満の非正規労働者は1489万人(7~9月期)を占め、非正規労働者の7割以上になっています。低賃金の非正規労働者は雇用者総数の26・5%(7~9月期)に上ります。
非正規労働者の賃金を底上げし、生活を安定させるために、最低賃金の引き上げが重要となります。それも現在のような地域ごとに分断された最低賃金ではなく、全国一律の最低賃金制度の導入が必要です。全労連の生計費調査で明らかになったように、地方も首都圏も生計費に大きな違いはないからです。最低賃金は労働者の最低生活を保障する水準でなければならないという観点からは、生計費に見合った金額にするのは当然だからです。
生計費見合わず
しかし、現在の最低賃金額は生計費に見合っていません。
例えば東京都の最低賃金1041円(時間額)では、月収16万314円(1041円×1日7時間×月22日)ですが、家計調査の単身勤労者世帯の消費支出は17万1593円ですから、消費支出以下です。
家計調査の実支出は23万5812円ですから、ここに到達するためには時給1531円(23万5812円÷22日÷7時間)となります。全労連などが主張する最低賃金1500円というのは、根拠のある数字なのです。
ところが、『経労委報告』は、最低賃金の引き上げに反対の姿勢をとっています。『経労委報告』は、改定後の最低賃金を下回る賃金で働いている労働者の割合を示す影響率を上げ、「最低賃金額で働いている労働者が多く、最低賃金引き上げが企業経営にダイレクトに影響を与える」と問題視しています。
しかし、影響率が高いということは、逆に最低賃金引き上げの効果が大きいということであり、最低賃金水準で働いている労働者の賃金を着実に引き上げることになります。
最低賃金を1500円に、と訴える全労連・国民春闘共闘の人たち=2021年7月8日、厚労省前
中小に支援必要
もちろん中小零細企業にとって最低賃金引き上げはコスト増となり、企業経営を圧迫することはありえます。したがって中小零細企業が最低賃金引き上げに伴うコスト増を製品・サービス価格に転嫁できるようにする必要があるし、政府による直接支援が必要です。
経団連に求められるのは、中小零細企業が最低賃金を引き上げられる環境整備に積極的に協力することです。
また『経労委報告』は、毎年のように特定最低賃金が地域別最低賃金を下回るという事実をあげて、その廃止を主張しています。特定最賃は、賃金が企業別で決められている日本で、産業別に賃金を決めるという点で大きな意義があります。特定最賃はその地域の産業別最賃となるので、同一産業で働く労働者の最低水準を決めることになるからです。
それは、地域の同一産業における公平な競争条件を決めることにもなります。
特定最賃は、企業別の労働条件を産業別で同一にするという産業別労働条件の平準化の突破口になりえるので、労働組合は特定最賃の引き上げにも力を入れる必要があります。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年2月19日付掲載
現在の最低賃金額は生計費に見合ってない。
例えば東京都の最低賃金1041円(時間額)では、月収16万314円(1041円×1日7時間×月22日)ですが、家計調査の単身勤労者世帯の消費支出は17万1593円ですから、消費支出以下。
家計調査の実支出は23万5812円ですから、ここに到達するためには時給1531円(23万5812円÷22日÷7時間)となります。全労連などが主張する最低賃金1500円というのは、根拠のある数字。
中小零細企業が最低賃金引き上げに伴うコスト増を製品・サービス価格に転嫁できるようにする必要があるし、政府による直接支援が必要。
政府としては、社会保険料の企業負担分への支援が求められます。
「経労委報告」を読む② 生活を守る賃上げ必要
労働総研事務局長 藤田実さん
日本の賃金は、1990年代後半から停滞を続けています。しかも2000年以来アメリカなどの先進国が緩やかに上昇してきたにもかかわらず、経団連の賃金抑制方針によりほとんど賃金が上昇しませんでした。
先進国最低水
その結果、20年の経済協力開発機構(OECD)のデータを見ると、日本の賃金は主要7力国(G7)諸国の中では、イタリアと並んで最低レベルに落ち込んでいます。
OECD平均が4万9200ドルに対して、日本は3万8500ドルです。韓国が4万1900ドルですから、韓国よりも低賃金になっています。賃金水準だけを見ると、日本は豊かな先進国とはいえない状況に陥っています。多くのマスコミでも研究者レベルでも、日本の賃金の停滞が続いていることに危機感を持ち、その原因を追究しています。
ところが、「経労委報告」では、日本の賃金水準が低い状態にあることに対する危機感は表明されていません。
22年春闘に対する経団連の基本スタンスは、「社内外の考慮要素を総合的に勘案しながら、適切な総額人件費管理の下、自社の支払い能力を踏まえ」「各企業が賃金を決定する」と述べ、「賃金引き上げ」と「総合的な処遇改善」に取り組んでいくというものです。
ここで述べている社内外の「考慮要素」とは、「経済・景気・物価の動向などの外的要素と、自社の業績や労務構成の変化などの内的要素」となっていて、日本の賃金がOECD平均を下回っているという国際的な視点はありません。
ただし、昨年とは異なるのは、経団連はコロナ禍でも過去最高益を記録したり、継続的に利益を出し続ける一方で、内部留保だけが積み上がっていることに対する批判を無視できず、賃上げ抑制を続けることは困難であることを認めるようになっていることです。
「内部留保を賃上げに」とアピールする全労連・春闘共闘の人たち=1月13日、東京都千代田区
働きやすさとは
次に考えるべきは、「経労委報告」のいう「総合的な処遇改善とは何か」ということです。
それは「働き手の『働きがい』を高め、『働きやすさ』に資する」ものとしています。「経労委報告」では、「働きがい」として労働者の能力開発や成長支援を上げていますが、労働者にとっては、自分の働きが正当に評価され、それが賃金に反映することも重要です。
「働きやすさ」では、柔軟な労働時間制度の導入や育児・介護の支援などをあげていますが、労働時間を短縮し、自由時間を増やすという施策はありません。経団連は賃上げや、賃下げなしでの労働時間の短縮が、「働きがい」や「働きやすさ」に資することを認識すべきです。
賃上げは、現在では国民生活を守るという観点からも重要になっています。日銀が超金融緩和政策をとっていることで円安が長引き、輸入価格が上昇し、耐えきれなくなった企業が価格転嫁を始めています。製品の値上げは、一時的なものではなく、アメリカの中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)が金利引き上げを表明しているので、さらに円安が進むことが考えられます。
このままでは、今年の消費者物価上昇率は2%を超える可能性があります。最低限、物価上昇率を超える賃上げを獲得しなければ、確実に生活水準は低下します。22年春闘では、先進国最低になった賃金を引き上げ、国民生活を守るためにも、大幅な賃上げは必要です。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年2月18日付掲載
「経労委報告」のいう「総合的な処遇改善とは何か」ということです。
それは「働き手の『働きがい』を高め、『働きやすさ』に資する」ものとしています。「経労委報告」では、「働きがい」として労働者の能力開発や成長支援を上げていますが、労働者にとっては、自分の働きが正当に評価され、それが賃金に反映することも重要。
「働きやすさ」では、柔軟な労働時間制度の導入や育児・介護の支援などをあげていますが、労働時間を短縮し、自由時間を増やすという施策はありません。経団連は賃上げや、賃下げなしでの労働時間の短縮が、「働きがい」や「働きやすさ」に資することを認識すべき。
「経労委報告」を読む① 不都合な真実を見ない
日本経済団体連合会(経団連)が22年春闘の財界側指針となる「経営労働政策特別委員会報告」を出しています。労働運動総合研究所(労働総研)の藤田実事務局長に分析してもらいました。
労働総研事務局長 藤田実さん
2022年春闘の本格的な展開を前にして、総資本として春闘に対峙(たいじ)する立場を明らかにする『経営労働政策特別委員会報告』(以下『経労委報告』)が出されました。
毎年の『経労委報告』の基調は、賃上げを抑え込むという観点と労働者を自由に使役したいという観点から、資本の要求を前面に出すものです。
しかし、今年の『経労委報告』は、世論の批判が強い事柄には第三者的に言及するものの、それをつくりだした自らの行動を省みることがないという特徴があります。一言で言えば、不都合な真実を見ようとしない、ということです。
格差拡大の責任
例えば、序文に「行き過ぎた資本主義がもたらした社会課題の一つとして、格差問題が挙げられる。無期雇用労働者と有期雇用労働者、大企業と中小企業、大都市圏と地方など、様々な局面で格差拡大が指摘されている」とのべています。
この文言は客観的に事実を述べているような表現になっていますが、格差を拡大させ、それを利用してきたのは経団連を構成する企業ではなかったのではないでしょうか。
例えば、経団連は、毎年のように派遣労働の規制緩和を要望していますが、その内容は「日雇い派遣の原則禁止の見直し」「グループ企業内派遣規制の廃止」「離職後1年以内の労働者派遣の禁止の撤廃」「労働契約申し込みみなし制度の撤廃」など弱い立場の派遣労働者を守る規制の撤廃です。
「同一労働同一賃金」に関しても、経団連は16年7月の提言で「日本型同一労働同一賃金」として、「職務内容や、仕事・役割・貢献度の発揮期待(人材活用の仕方)など、様々な要素を総合的に勘案し、自社にとって同一労働と評価される場合に、同じ賃金を払うこと」を基本的な考え方とすべきであると述べ、「同一労働同一賃金」の範囲を極めて狭い範囲に限定するように主張していました。
これにより、日本の「同一労働同一賃金」が適用される非正規労働者はごく少数に限定されることになりました。このように経団連は正規労働者と非正規労働者との格差是正には後ろ向きの姿勢を堅持し、格差拡大の原因をつくってきたことに目を向けようとしていません。
経団連会館前で「内部留保を労働者に還元せよ」と訴える全労連・国民春闘の人たち=1月13日、東京都千代田区
賃金の停滞続く
不都合な真実を見ようとしないのは、ほかにもあります。
賃金に関して言えば、労働生産性の国際比較をして日本の低さを論じながら、G7(主要7力国)各国の中で日本だけが賃金の停滞が続き、先進国クラブである経済協力開発機構(OECD)諸国でも低位にあることを見ようとしません。
また外国人労働者に関しても、「高度人材の受け入れ拡大を図る必要がある」とか地域経済の担い手である中小企業の人手不足に対応して、「外国人材の受け入れ拡大や定着に向けた取組が引き続き課題となっている」と述べながら、人権侵害的な扱いをされている技能実習生の実態には目を向けようとしていません。
技能実習生は、大企業やその下請け企業でも多く雇用されています。中国・新彊ウイグル自治区での強制労働によって生産された原材料を使用する企業が、世界の人権団体や市民から批判されているように、企業はサプライチェーン(下請け構造)に組み込まれている労働者の人権にも配慮する必要があります。
経団連は、「人権を尊重する経営」などと抽象的に述べるのではなく、技能実習生などの外国人労働者の実態に関して警鐘を鳴らすべきです。経団連は不都合な真実に目をつぶってはならないのです。
(つづく、5回連載)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年2月17日付掲載
「同一労働同一賃金」に関しても、経団連は16年7月の提言で「日本型同一労働同一賃金」として、「職務内容や、仕事・役割・貢献度の発揮期待(人材活用の仕方)など、様々な要素を総合的に勘案し、自社にとって同一労働と評価される場合に、同じ賃金を払うこと」を基本的な考え方とすべきであると述べ、「同一労働同一賃金」の範囲を極めて狭い範囲に限定するように主張。
技能実習生は、大企業やその下請け企業でも多く雇用されています。中国・新彊ウイグル自治区での強制労働によって生産された原材料を使用する企業が、世界の人権団体や市民から批判されているように、企業はサプライチェーン(下請け構造)に組み込まれている労働者の人権にも配慮する必要がある。