2018年度 予算案の焦点⑦ 文教 「自然減」で教職員定数減
2018年度の文教関係予算案は4兆428億円(17年度比23億円減)です。
義務教育の教職員の長時間労働を改善するため、小学校の英語専科教員1000人を毎年の予算で決まる「加配定数」で配置します。現場の教員らの強い要望に応えたもので、3年間で計4000人を配置する予定です。中学校の生徒指導員も50人増やしますが、少子化などに伴う「自然減」を差し引くと教職員定数は2861人の減となります。

「教育のつどい」の開会全体集会=2017年8月、岡山市
少人数学級や抜本増触れず
「働き方改革」として勤務時間管理の徹底や業務改善を進めるとしていますが、授業時数の縮減を進めるための教職員定数の抜本増や少人数学級には触れていません。
教職員の業務軽減のため、外部人材を拡充します。スクールカウンセラーは700校増の2万6700校に配置。スクールソーシャルワーカーは2500人増の7500人とします。教員に代わってプリントの印刷などを手伝うスクールサポートスタッフを3000人配置し、部活動指導員は4500人配置します。いずれもフルタイムではなく、週に1、2回数時間勤務を「1人」と数えています。
愛国心など特定の価値観を国家が押し付けると批判が強い「道徳」の授業を実施するため、教科書代などに35億円を計上しました。
20年度から大学入試センター試験に代える「大学入学共通テスト」のため、プレテストを実施します。
国立大学の基盤的経費である運営費交付金等は17年度と同額の1兆971億円。うち103億円を3類型に分けて再配分します。イノベーション(技術革新)創出など、財界の要望に応える人材を育成する大学に重点配分し、大学間の競争と選別を強めています。
私学助成は1億円増の4290億円。うち私立大学への経常費補助は2億円増の3154億円です。定員割れの大学に対する補助金減額を強化する方針です。私立高校の経常費助成は12億円増の1034億円です。

給付型奨学金2万人余支給
給付型奨学金は2万人増の2万2800人に月2万~4万円の支給を計画。しかし、条件を満たす非課税世帯の子どもだけで1学年約6万人いるため、抜本的な拡充が必要です。
無利子奨学金は条件を満たす53・5万人(1・6万人増)に貸与します。有利子奨学金は5・8万人減の75・7万人です。
大学の授業料減免は、国立で4000人増の6・5万人、私立で1・3万人増の7・1万人にします。
総選挙で強調した教育の無償化は、19年秋の消費税増税後に実施するかどうか検討するため、18年度予算案には含まれていません。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年1月30日付掲載
教職員の業務軽減のための、外部人材の拡充は嬉しいことです。教職員定数の抜本増が求められます。
給付型奨学金を対象者も、もっと拡充してほしいものです。
2018年度の文教関係予算案は4兆428億円(17年度比23億円減)です。
義務教育の教職員の長時間労働を改善するため、小学校の英語専科教員1000人を毎年の予算で決まる「加配定数」で配置します。現場の教員らの強い要望に応えたもので、3年間で計4000人を配置する予定です。中学校の生徒指導員も50人増やしますが、少子化などに伴う「自然減」を差し引くと教職員定数は2861人の減となります。

「教育のつどい」の開会全体集会=2017年8月、岡山市
少人数学級や抜本増触れず
「働き方改革」として勤務時間管理の徹底や業務改善を進めるとしていますが、授業時数の縮減を進めるための教職員定数の抜本増や少人数学級には触れていません。
教職員の業務軽減のため、外部人材を拡充します。スクールカウンセラーは700校増の2万6700校に配置。スクールソーシャルワーカーは2500人増の7500人とします。教員に代わってプリントの印刷などを手伝うスクールサポートスタッフを3000人配置し、部活動指導員は4500人配置します。いずれもフルタイムではなく、週に1、2回数時間勤務を「1人」と数えています。
愛国心など特定の価値観を国家が押し付けると批判が強い「道徳」の授業を実施するため、教科書代などに35億円を計上しました。
20年度から大学入試センター試験に代える「大学入学共通テスト」のため、プレテストを実施します。
国立大学の基盤的経費である運営費交付金等は17年度と同額の1兆971億円。うち103億円を3類型に分けて再配分します。イノベーション(技術革新)創出など、財界の要望に応える人材を育成する大学に重点配分し、大学間の競争と選別を強めています。
私学助成は1億円増の4290億円。うち私立大学への経常費補助は2億円増の3154億円です。定員割れの大学に対する補助金減額を強化する方針です。私立高校の経常費助成は12億円増の1034億円です。

給付型奨学金2万人余支給
給付型奨学金は2万人増の2万2800人に月2万~4万円の支給を計画。しかし、条件を満たす非課税世帯の子どもだけで1学年約6万人いるため、抜本的な拡充が必要です。
無利子奨学金は条件を満たす53・5万人(1・6万人増)に貸与します。有利子奨学金は5・8万人減の75・7万人です。
大学の授業料減免は、国立で4000人増の6・5万人、私立で1・3万人増の7・1万人にします。
総選挙で強調した教育の無償化は、19年秋の消費税増税後に実施するかどうか検討するため、18年度予算案には含まれていません。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年1月30日付掲載
教職員の業務軽減のための、外部人材の拡充は嬉しいことです。教職員定数の抜本増が求められます。
給付型奨学金を対象者も、もっと拡充してほしいものです。