きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

暮らしの照明③ 住いの光源

2010-11-30 21:56:34 | 日常生活
暮らしの照明③ 住いの光源

 みなさんのお住まいではどのような光源が使われていますでしょうか。節電と省エネのため、蛍光ランプが圧倒的と思われますが、白熱電球はスイッチオンですぐに点灯して点滅に強いことからトイレに、光の色が温かみのあることから浴室に、それぞれ使われているお住まいも多いと思われます。


 それでは、蛍光ランプは白熱電球に比べてどれほど省エネで経済的でしょうか。表をご覧ください。ランプ代はメーカー希望小売価格、一般電球60形54ワット(寿命1000時間)とほぼ同じ明るさの電球形蛍光ランプ(寿命6000時間)で計算されています。なお、白熱電球の寿命はフィラメントが断線して点灯しなくなったときですが、蛍光ランプは点灯時間とともに明るさが低くなるため、明るさが点灯初期に比べて70%にまで低下したときの時間が寿命とされています。
 1日の点灯時闇を5~6時間とすれば、寿命6000時間はおよそ3年に当たりますから、白熱電球を電球形蛍光ランプに交換すると、3年間で約5000円おトクになる計算です。ランプ効率(消費電力に対する明るさの比)が高く、寿命が長く、価格が安い光源ほど、経済的な光源です。

表:白熱電球と電球型蛍光ランプ~3年間のコスト比較(60W型)
  ランプ代電気代合計金額
白熱電球150円×6個=900円0.022円×54W×6000h=7128円8028円
電球形蛍光ランプ1500円0.022円×12W×6000h=1584円3084円


 しかし、光源の評価項目は経済的要件だけではありません。明るさに調和した光色、高い演色性(物の色の見えを決定する光源の性質)、好ましい輝度(輝きやまぶしさ)などの質的要件があります。さらには、紫外線や赤外線のカット、有害物質の不使用、破損防止などの安全性の要件、小形軽量、交換容易などの利便性の要件もあります。ちなみに、蛍光ランプには環境に有害な水銀が使用されています。
 蛍光ランプは、光色として「電球色」、「昼白色」、「昼光色」の3種類が販売されています。電球色は赤みを帯びた温かみを感じる光色で落ち着いた雰囲気を、昼白色は真昼の太陽の光色でさわやかな雰囲気を、昼光色は晴天空の光色で、すがすがしい雰囲気を、それぞれ演出します。
 昼は明るく夜は暗い、これがヒトの順応してきた自然界の光リズムです。ですから、住まいの照明も、昼は豊富な昼光で賄い、夜には人工の光でほのかに照明することが基本です。



 都市部では宅地が狭くて窓からの採光が不十分なため、また、高気密住宅の普及などにより、昼も人工光を常用している住まいが多いと思われます。特に採光が不十分な高齢者の部屋は、午前中は昼白色や昼光色の蛍光ランプで昼光並に明るく照明し、夜は明るさを控えた電球色の明かりに、より、規則正しいサーカディアンリズムを深く刻める光リズムの演出が理想に思われます。
 電球形LED(発光ダイオード)ランプの形状は、上部が発光部、下部が口金、中間部が放熱用金属(LEDは熱に弱いため)です。白熱電球に比べて、ランプ効率が8倍で、寿命が40倍の省エネ光源。蛍光ランプと同様に電球色、昼白色、昼光色があります。ただ、演色性や配光特性(光は前方だけで横方向が少ない)、まぶしさ、大きさや重さなどにも留意が必要に思います。
(せきね・せいし新潟大学名誉教授・照明学専攻)(金曜掲載)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2010年11月19日付掲載


実際に住いに使うとなると、経済性だけでなく明るさや色合いなど好みや生活パターンによって照明を選ばないといけないのでしょうね・・・
LED照明は、6~7年前から信号機に使われ始めかなり普及しつつあります。といってもまだまだ高嶺の花ですので、信号機やバイクなどの指示ランプなど交換を手間を省く一部の部品にとどまっているのでしょうか?

暮らしの照明② 色と波長とヒトの眼

2010-11-29 23:42:40 | 日常生活
暮らしの照明② 色と波長とヒトの眼

 ヒトの眼は光に明るさと色を感じます。光の波長域はおよそ400~700ナノメートルです。波長によって分けた光をスペクトル(分光)といい、眼は波長の異なるスペクトルを違った色に感じます。
 スペクトルの色は、波長の長い700ナノメートルから短い400ナノメートルへ、赤・橙・黄・緑・青・藍・紫へと変化します。このようなスペクトルの色は雨上がりの虹に見ることができます。
 眼の明るさ感度が最も高いスペクトルは波長555ナノメートルの光で、色は黄緑(新緑の木の葉の色)です。眼はそれより波長の長いスペクトルほど明るさ感度が低くなり、赤スペクトルの外が赤外線です。同様に、555ナノメートルの波長より短いスペクトルほど明るさ感度が低くなり、紫スペクトルの外が紫外線です。




 ヒトの眼のこのような特性は太陽と地球大気、生物の起源が水中であったことに由来します。太陽は電波から放射線まですべての電磁波を放射していますが、光が最も豊富です。
 そして、太陽の放射線は地球大気の酸素と窒素によって、有害紫外線は上空のオゾン層によってそれぞれ吸収され、地上にはほとんど到達しません。また、赤外線も大気中の水蒸気や炭酸ガスによってその多くが吸収されますが、光はほとんど吸収されずに地上に到達します。
 およそ27億年前、水中に誕生した生物は、太陽の放射線が到達できない10メートルより深い水中で太陽の光を浴び、炭酸ガスを吸収して酸素を吐き出しました。酸素の一部が上空で紫外線によってオゾンになります。オゾンが現在の量に増加したおよそ4億2000万年前に、水中から陸に上がりました。眼球の組成はその多くが水です。こうして、ヒトの眼は太陽の光と地球環境の下で進化してきました。



 物の色は、それを照明する光源が替わると、色の見えが違ったり、色ずれ(ある照明光の下で同じ色に見えた色が、別の照明光の下では違った色に見えること)が生じたりすることがあります。それは、照明する光源がそれぞれ固有のスペクトル分布を有しているためです。晴れた空が青く見えるのは青いスペクトルの光が豊富であり、夕日が赤く見えるのは赤いスペクトルの光が豊富なためです。
 物にはそれぞれ「固有の色」があるように思われますが、物に色はありません。照明する光の赤いスペクトルを強く反射する物の色は赤色に見え、青い光を強く反射する物の色は青色に見え、緑から赤までのスペクトルを反射する物の色は黄色に見えます。



 ヒトの眼は昼光(太陽光と空光)と燃える灯りに順応して進化してきたことから、昼光での物の色をその物に固有の色に感じ、灯りで照らされた食べ物の色を美味に感じます。繊細な織柄の洋服を蛍光ランプの試着室で見定めて、外に出て昼光で見たときの色の違いに「アレ!」と嘆かれたことはありませんか。白熱電球の光は、燃える灯りと同質であるため、赤身の刺身やお肉、赤ワインの色を美味に感じます。
(せきね・せいし新潟大学名誉教授・照明学専攻)(金曜掲載)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2010年11月12日付に掲載


いわゆる可視光といいますが、紫外線や赤外線をヒトの眼で見ることができないのは、生物の起源までさかのぼるのですね。
明るいところで反応する錐状体と暗いところで反応する杆状体では波長に対する感度の山が違うのですね。錐状体の方が波長の長い、つまり赤いほうに反応するのですね。暗い野外が青黒く見えるのはそのせいでしょうか?
赤、青、黄色の光の三原色ですが、黄色に見える物体のスペクトルが黄色だけでなく赤色の帯域まで反射しているってのも意外ですね。

暮らしの照明① ヒトと光の関係は

2010-11-28 19:28:46 | 日常生活
暮らしの照明① ヒトと光の関係は

 地球温暖化防止のため省エネが求められ、照明分野では、一般白熱電球の電球形蛍光ランプヘの取り換え、さらには電球形LED(発光ダイオード)ランプの普及が促進されています。でも、白熱電球、電球形蛍光ランプ、電球形LEDランプ、それぞれ何がどう違うのでしょうか。
 みなさんは、ランプを買い替えるとき、どれにしたらと迷われたことはありませんか?そこで、「暮らしの照明」に役立つと思われることを4回連載で書かせていただきます。



 ヒトは視覚、聴覚、臭覚、皮膚感覚、味覚という五感から体外の情報を得ていますが、全情報のおよそ90%が視覚からです。しかし、眼は「光」がなければ機能しません。眼の機能を支援する光の演出が照明です。
 ところで、光とは何か?
 と問われましたら、みなさんは何と答えられますか?放射エネルギー(電磁エネルギー)をヒトの眼で評価した感覚量が光(可視光線)です。通常は「ヒトの眼に感じる波長域の放射(電磁波)」を光といいます。
 電磁波は、波長の長い方から短い方へ、電波→マイクロ波→赤外線→光→紫外線→放射線(エックス線・ガンマ線)などに区分されます。光はおよそ400~700ナノメートルの極めて狭い波長域です。1ナノメートルは100万分の1ミリメートルで、400ナノメートルの光は波の数が1ミリメートルの間に2500個という極めて細かい波です。



 眼の網膜には光に反応する「錐状体(すいじょうたい)」と「杵状体(かんじょうたい)」という2種類の視細胞があります。錐状体は明るいところで機能して色を識別できます。杵状体は暗いどころで機能し、明るさに対する感度は錐状体に比べて格段に高いのですが、色を識別できません。このため、暗闇では外界がモノクロに見えます。

 地球上の生物は太陽の日周に同調する概日リズム(サーカディアンリズム)を基本とし、ヒトは夜に熟睡して昼に活動するというリズムが健康で快適な生活リズムです。ヒトはかつて、日の出とともに野良に出て、太陽の下で働き、日暮れとともに家路につき、燃える灯りで夕餉をとり安らぎました。太陽は、昼は白く強く輝き、夕日は赤く、燃える灯りはさらに赤くほのかです。そのため、ヒトは白く強い光の下では交感神経が活動克進して脳が活性化し、赤くほのかな光には副交感神経が活動克進して心身が安らぎます。
 ヒトには脳内時計(体内主時計)があり、朝に目覚めたら、明るい日の光を浴びることによって24時間にリセットされ、血圧・脈拍・体温などの自律神経、ホルモン分泌、尿の生成量などがサーカディアンリズムで変動しています。高齢になるとサーカディアンリズムが乱れて睡眠が浅くなり、病気に対する抵抗力が弱まります。サーカディアンリズムを十分な振幅で規則正しく刻むには、朝に明るい日の光をいっぱいに浴びることが推奨されます。
(せきね・せいし新潟大学名誉教授・照明学専攻)(金曜掲載)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2010年11月5日付に掲載



小惑星探査機「はやぶさ」の採取した砂 「イトカワ」の微粒子を確認!

2010-11-19 23:37:30 | 科学だいすき
小惑星探査機「はやぶさ」の採取した砂 「イトカワ」の微粒子を確認!
史上初の快挙!


太陽系形成の解明に期待
 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は16日、小惑星探査機「はやぶさ」の帰還カプセルに入っていた微粒子のほぼすべてが、小惑星「イトカワ」のものであることがわかったと発表しました。小惑星から砂粒を持ち帰ったのは人類史上初めてです。微粒子の研究から太陽系や地球の起源、形成過程の解明が進むと期待されています。



【小惑星イトカワの砂粒と確認された微粒子の顕微鏡写真。0.01ミリほどのランカン石や輝石があります。(宇宙航空研究開発機構提供)】


宇宙機構が発表
 はやぶさは今年6月、さまざまなトラブルを乗り越えて7年ぶりに地球へ帰還しました。本体は上空で燃え尽きましたが、帰還カプセルはオーストラリアの砂漠に落下。JAXA相模原キャンパス(相模原市)でカプセル内に入っていた微粒子を調べていました。
 これまでに約1500個が回収されました。ほとんどが、大きさ10マイクロメートル(1マイクロメートルは1000分の1ミリメートル)以下と非常に小さい岩石質のもので、成分を調べた結果、地球のものとは一致しないことなどが明らかになったといいます。
 開発責任者を務めたJAXAの川口淳一郎教授は記者会見で、「帰りの飛行が始まるとき以来、心の底ではあってほしいと思ってきた。はやぶさも喜んでいるだろう」と語りました。
 はやぶさは2003年5月、鹿児島県内之浦町から打ち上げられ、05年9月、地球と火星の間にあるイトカワに到着、着陸と離陸を2回繰り返しました。はやぶさの岩石採取装置は作動しませんでしたが、イトカワ着陸時に舞い上がった砂が入った可能性があるとみられていました。
 帰還カプセルにはA室とB室の二つがあり、これまでに見つかった微粒子はA室のもの。今後、B室からも微粒子が見つかる可能性があります。

惑星探査 日本がリード
 計画当初から探査を見守ってきた的川泰宣JAXA名誉教授の話 
 本当に実現したとは、夢のようだ。はやぶさは工学実験機なので地球に帰ってきたことだけでも成功だと言えるが、それに花を添えることになった。
 今回の成功で、日本の惑星探査は、世界にリードを広げた。世界中の小天体探査計画が加速するだろう。
 試料を持ち帰った後の作業は、サイズが想定より小さくてたいへんな苦労だったと思うが、よくがんばった。
 小惑星についてどれだけのことがわかるかは、今後の分析の腕にかかっている。今回は(石質の)S型小惑星だが、(炭素質の)C型小惑星の試料回収をはやぶさ2に託すことになる。期待したい。

【イトカワ】
地球と火星の間で1998年に発見された小惑星で、長さ535メートル、直径最大294メートル。日本のロケット開発の“父”といわれる糸川英夫博士にちなんで命名されました。



地球・生命の起源へ一歩
はやぶさ 「イトカワ」の砂回収
 満身創痍となりながら、探査機「はやぶさ」が人類史上初めて小惑星「イトカワ」の砂粒を持ち帰るという偉業を成し遂げたことに関係者から喜びや期待の声があがりました。




 「波乱万丈だった。はやぶさは、ハラハラドキドキさせて、最後にうまくいく…」
微粒子の回収作業チームの責任者、藤村彰夫JAXA教授は16日の記者会見で、7月の試料容器開封以来の苫労を振り返りました。
 試料容器を開封した瞬間、何も見えず「すっと汗がひいて真っ青になった」。その後、顕微鏡で数十個の粒子を確認しましたが、地球外物質とはっきりわかるものはありませんでした。さらに容器の内壁をヘラでなでて電子顕微鏡で観察すると、普通の顕微鏡では見えない微小な岩石質の粒子が約1500個見つかりました。
 微粒子は、かんらん石、輝石、斜長石、硫化鉄などの鉱物で、地球に落下した隈石の特徴と一致。さらに成分分析の結果、鉱物中の鉄・マグネシウムの比率が、はやぶさがイトカワ近傍から観測した表面物質のデータとぴったり合いました。
また、はやぶさが打ち上げられた鹿児島県種子島に近い桜島の火山灰が混入した形跡がなかったことから、微粒子が、地球物質ではなくイトカワの物質だと判断されました。






 作業チームの中村智樹東北大学准教授は「最初にかんらん石を見たとき、地球のものとも宇宙のものとも断言できなかったがうれしかった」。野口高明茨城大学教授は「ニッケルを含む金属鉄が確認されたとき、イトカワの物質だと確信した」と話しました。
 今後も、試料容器のうち未開封のもう1室からの回収作業などを進め、来年1月以降には、微量分析が可能な大型放射光施設「スプリング8」(兵庫県)など複数の研究機関による「初期分析」に回され、同位体組成などを詳しく調べます。
初期分析チーム責任者の土山明大阪大学教授は「待ちに待ったものだ。こんなにたくさん入っているとは思わなかった。粒子サイズは小さいが、(すい星のちりを回収した)スターダスト計画でも経験があるので、分析に自信はある。地球物質とどう違うか、予期しない物質がないか、調べたい」と意気揚々です。

“太陽系の化石”で新学問
【解説】
 小惑星は。約46億年前に太陽系が誕生した当時の状態をよくとどめているため“太陽系の化石”とも言われています。鉱物の組成や有機物の存在などを調べることで、太陽系の過去の様子や惑星の成り立ちを解く手がかりが得られると期待されています。
約40年前、アポロやルナ計画で持ちかえった月の石は、かつて火山活動があったことを明らかにしました。06年にすい星のちりを回収したスターダスト探査機は、太陽系の誕生当時に固体粒子が外縁部にまで広がっていた証拠を見つけました。これまで小惑星帯から地球に飛来したとされる隕石は数多く研究されてきましたが、小惑星と隕石の関係を明らかにする物質的な証拠を人類が手にしたのは今回が初めてです。
 試料は、どの天体のどの領域で採取されたものかが明らかで、地球大気による変質がありません。藤村教授は「限石学でわかってきたことを凌駕する、新しい学問を進歩させる材料を手にすることができた」と言います。
地球に落ちてくる隕石と、限石の故郷とされる小惑星の色が違うという、天文学者たちを長年悩ませてきた謎を解くための、有力な物的証拠になると注目されています。
 試料は、鉱物組成などを調べてデータベースがつくられた後、世界の研究者による分析にかけられます。
 現在、計画が進んでいる「はやぶさ2」は、イトカワ(S型)とは違うタイプのC型小惑星を狙います。有機物や水を含んだ鉱物に富んでおり、太陽系初期の状態をよりよくとどめています。生命の材料物質である有機物がどのような状態で存在していたのか、惑星の材料である鉱物、海の材料である水(氷)とどんな相互作用をしていたのかを調べます。
今回の成果は、地球・海・生命の材料物質がどう進化してきたのかを解明する大きな第一歩です。(中村秀生)



【専門家 喜びの声】
詳しい分析楽しみ
東京大学の永原裕子教授(惑星科学)の話

 本当によかった。公表されたデータを見ると、限石の特徴とぴったり一致する。
地球や月の物質ではわからない太陽系初期のリアルなものを手にしたことは、惑星や生命がどうやってできたのかをつきとめる第一段階といえる。
 試料を年代分析すれば、太陽系でどれくらいの時間をかけて天体ができてきたのかが調べられる。また、太陽系の物質の最大の謎といわれる、酸素の同位体の不均質性についても重要な証拠が得られるだろう。詳しい分析結果が出てくるのが楽しみだ。

未開封部分も期待
国立天文台の渡部潤一教授の話

 米国がほうき星のかんらん石を採取しており、はやぶさが小惑星から持ち帰ったことで、起源がはっきりしているものを二つ手に入れた。例えば、南極の氷に入っているかんらん石は、どちらが起源なのかがわかる。非常に重要なステップだ。イトカワに1回着地しただけの部分を調べてこれだけの成果があった。もう一つの未開封の部分はさらに期待できる。
「しんぶん赤旗」日刊紙 2010年11月17日付掲載


これからの精密な検査に大いに期待したいですね。生命の起源についても原子レベルから解明されていくでしょう!

水抜いて生き物消え 水田②

2010-11-16 22:33:42 | 環境問題・気候変動・地球温暖化について
水抜いて生き物消え 水田②

 多様な生き物をはぐくむ場として重要な役割を果たしている、水田を中心とした農村がいま、大きく変化しています。前回(10月25日付)に続き、山本勝利・農業環境技術研究所上席研究員に現状と、今後どうしたらよいかを聞きました(間宮利夫)

 水田を中心とした農村の風景が大きく変わってしまった原因の一つは「圃場整備」と呼ばれる、水田の改変です。一枚の田んぼを大きく、四角くしてトラクターなどの大型機械による耕作をしやすくすることを目的に全国各地で進められました。


乾田化進み
 水田に大型機械を入れるには、水がたまっていてはだめなので、イネを刈り取る時期には水を抜けるようにしました。乾田化です。そのために、用水路と排水路を分けるという方法が取られました。
 かつて、メダカやドジョウは、水路と水田を自由に行き来して生きていました。しかし、用水路と排水路を分離したために水が一方向にしか流れなくなり、メダカやドジョウは水路から水田に上がれなくなりました。
 乾田化で、耕作時期以外は水田から水を抜いてしまうようになったため、春先の水を利用して生きていたアカガエルなどの生き物も姿を消しました。その結果、カエルなどを捕まえて生きているサシバなどもすめなくなっています。



 機械化と平行して、それまで田起こしや運搬などになくてはならなかったウシやウマが必要なくなりました。ウシやウマの餌の草がいらなくなってしまったため、草原をはじめとした里山が衰退してしまったのです。その結果、秋の里山を彩るキキョウやオミナエシなどの植物があちこちで見られなくなってしまいました。
 草原にすむチョウもだいぶ減っています。もともと、人間が手入れすることで成り立っていた里地里山の環境は、人間が手入れをしなくなった結果、さまざまな生き物がすめる場所ではなくなってしまいました。
 このような状況にたいして、魚が水田と水路を行き来できるよう魚道をつくるとか、乾田化せず水田に水をためておくなどの試みが行われています。しかし、農業者の高齢化が進み、水田の耕作放棄や、里山の放置が進むことが懸念されます。




地域ごとに
 そこで、一つの考え方として、水田や雑木林、草原などを手入れすることに対して公的支援をしていくということが考えられます。ヨーロッパでは、手入れの結果、生き物が増えるなどの効果があったかどうかきちんと評価する検証のしくみをつくったうえで実施されています。
 また、ウシを放牧することで、里地里山の景観を守るというやり方が一部の農家によって実践されています。農家にとって、餌代の節約になりますし、放牧することで雑木林の下草や、耕作放一棄地の草をきれいにして一くれるなどの利点があります。この方法で生物多様性がどのように変わるかなどを研究しています。
 もう一つは、里地里山の草や木をバイオマス資源として利用することで、手入れを進めようというものです。サトウキビなど食べられるものでバイオエタノールをつくることにはさまざまな批判がありますが、稲藁とか間伐材などを利用すれば、そうした問題は生じません。




 ただ、大型の工場をつくって遠くから稲藁や間伐材を運んでいたのでは成り立つはずがありませんから、小型のもの、できれば自動車に積んで、稲藁や間伐材が出る場所へ行って加工できるようなものをつくる必要があります。それをめざして、研究が進められています。
 現在、どの方法がいいといえる段階ではありませんが、それぞれの地域にあった方法を組み合わせることで展望が開けるのではないかと考えています。里地里山を生き返らせることで、若い人たちの働く場が生まれ、そこに住む人たちによって生物多様性が守られていく、それが大切だと考えています。(写真は山本さん提供)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2010年11月1日付掲載


一度整備した用水路をワンドなど自然の形に戻すことで自然が帰ってくる。里山近くの林を整備することでバイオマス燃料と合わせてイノシシや鹿・熊などの鳥獣被害を抑えることにつながると思います。
大いに取り組んで欲しいですね!