富裕層・大企業に応分の負担とは③ 所得課税 最高税率を98年水準に
日本共産党が発表した「社会保障充実と財政危機打開の提言」では所得税・住民税の最高税率の引き上げで7000億~8000億円の増収を見込んでいます。

■段階的下げ
現在の最高税率は所得税が40%、住民税が所得にかかわらず10%です。しかも所得税の最高税率が適用される課税所得は年間1800万円超であり、たとえ10億円の所得を得ている人でも、2000万円の人と同じ税率が適用されています。
【1970年代以降の所得税と住民税の税率の推移】
これを1998年の最高税率(所得税50%、住民税15%)に戻します。98年段階で最高税率の対象となる課税所得は所得税で3000万円超、住民税で700万円超です。
別表「1970年代以降の所得税と住民税の推移」(上のリンク先)のように歴代自民党政権によって所得税、住民税の最高税率は段階的に引き下げられ、税率の刻みも少なくなりました。最高税率が適用される課税所得も引き下げられ、結果として高額所得者・大資産家が優遇されています。
所得課税はもともと超過累進税率という仕組みです。これは、課税所得が一定額を超えると、一定額を超えた部分のみに高い税率をかけるやり方です。例えば2000万円の課税所得の場合、現行税制では195万円までは5%、195万円から330万円までは10%…と課税していき、40%がかかるのは1800万円を超える200万円分だけです。所得による応分の負担を求め、税による再分配機能を発揮させることができます。
「社会保障・税一体改革」素案では「これまで累次の(税制)改正により、高い所得階層を中心として負担が大きく軽減されてきており、結果として、所得再分配機能が低下している」と述べ、「課税所得5000万円超について(5%引き上げて)45%の税率を設ける」としました。
しかしこれでは到底間尺に合いません。課税所得が8000万円の場合、98年の水準に比べ832万円も減税されています。最高税率を45%に引き上げたところで、増税額は150万円にとどまるのです。
■お茶濁すな
問題点を認識しているのであれば、5%引き上げでお茶を濁すのではなく、せめて98年時点の税率に戻すべきです。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2012年2月24日付掲載
「高額所得者の税率が高いのを見直せ」「税率が高いと勤労意欲が失われる」と、かつてよく言われたものです。
今は、「外国との競争力のため税率を下げよ」と・・・。
といっても、日本の所得税の仕組みは1970年代も今も、1億円稼いでいる人も、200万円以下のワーキングプアも、たとえば195万円以下は税率5%なんです。1億円稼いでいる人でも、税率40%が課せられるのは、1800万円以上の8200万に対してで、それ以下は33%、23%、20%の税率です。1億円稼いでいる人にも、一般的に最低限度の生活費とみなされる330万円以下の部分については税率10%なんです。
正確には、この330万円は所得控除などを差し引いたあとの課税所得のことなので、本当の意味での「生活費」とは違いますが・・・
たくさん稼いでいる生活費以外の余裕部分に、その負担能力に応じて課税しても問題ないと思います。
日本共産党が発表した「社会保障充実と財政危機打開の提言」では所得税・住民税の最高税率の引き上げで7000億~8000億円の増収を見込んでいます。

■段階的下げ
現在の最高税率は所得税が40%、住民税が所得にかかわらず10%です。しかも所得税の最高税率が適用される課税所得は年間1800万円超であり、たとえ10億円の所得を得ている人でも、2000万円の人と同じ税率が適用されています。
【1970年代以降の所得税と住民税の税率の推移】
これを1998年の最高税率(所得税50%、住民税15%)に戻します。98年段階で最高税率の対象となる課税所得は所得税で3000万円超、住民税で700万円超です。
別表「1970年代以降の所得税と住民税の推移」(上のリンク先)のように歴代自民党政権によって所得税、住民税の最高税率は段階的に引き下げられ、税率の刻みも少なくなりました。最高税率が適用される課税所得も引き下げられ、結果として高額所得者・大資産家が優遇されています。
所得課税はもともと超過累進税率という仕組みです。これは、課税所得が一定額を超えると、一定額を超えた部分のみに高い税率をかけるやり方です。例えば2000万円の課税所得の場合、現行税制では195万円までは5%、195万円から330万円までは10%…と課税していき、40%がかかるのは1800万円を超える200万円分だけです。所得による応分の負担を求め、税による再分配機能を発揮させることができます。
「社会保障・税一体改革」素案では「これまで累次の(税制)改正により、高い所得階層を中心として負担が大きく軽減されてきており、結果として、所得再分配機能が低下している」と述べ、「課税所得5000万円超について(5%引き上げて)45%の税率を設ける」としました。
しかしこれでは到底間尺に合いません。課税所得が8000万円の場合、98年の水準に比べ832万円も減税されています。最高税率を45%に引き上げたところで、増税額は150万円にとどまるのです。
■お茶濁すな
問題点を認識しているのであれば、5%引き上げでお茶を濁すのではなく、せめて98年時点の税率に戻すべきです。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2012年2月24日付掲載
「高額所得者の税率が高いのを見直せ」「税率が高いと勤労意欲が失われる」と、かつてよく言われたものです。
今は、「外国との競争力のため税率を下げよ」と・・・。
といっても、日本の所得税の仕組みは1970年代も今も、1億円稼いでいる人も、200万円以下のワーキングプアも、たとえば195万円以下は税率5%なんです。1億円稼いでいる人でも、税率40%が課せられるのは、1800万円以上の8200万に対してで、それ以下は33%、23%、20%の税率です。1億円稼いでいる人にも、一般的に最低限度の生活費とみなされる330万円以下の部分については税率10%なんです。
正確には、この330万円は所得控除などを差し引いたあとの課税所得のことなので、本当の意味での「生活費」とは違いますが・・・
たくさん稼いでいる生活費以外の余裕部分に、その負担能力に応じて課税しても問題ないと思います。