ストップ 生活保護改悪 申請に書類が必要なのは問題
修正でも申請に書類添付が基本~命にかかわる人も
生活保護の申請に、書類の添付を義務付けるという今回の生活保護法改悪法案は大変な問題です。なぜならば、生死にかかわる人たちもいるからです。
私たち「立川なんでも相談村」は市民のボランティアで、街頭相談会や駅周辺の夜回り、河川敷訪問などをつづけ、生活困窮者やホームレスの方の支援を行っています。その中では、切羽詰まった事態に直面することもあります。

東京・「立川なんでも相談村」事務局長 三井亨さん
食べ物買えず
糖尿病が悪化して仕事を失い、家賃が払えずホームレスになっていた40代の男性もその一人です。バッグにインスリン注射を大切に持っていましたが、食べ物を買うお金がなく、空腹状態で注射をすると危険なため、出会つたときは20日間も注射を打っていませんでした。
なんとか土日をしのぎ、月曜の朝一番に市の福祉事務所に行き、口頭で保護を申請。お昼には無料低額宿泊所に入所でき、治療も再開できました。後に本人が「あの時に差し入れてくれたバナナで命を救われた」と話していましたが、まさに命の瀬戸際にありました。
現在は口頭で申請できるのに、書類の添付を義務付けるという改悪案への世論の厳しい批判にたいし、与野党4党が「特別な事情のある場合はこの限りでない」とのただし書きをつける修正で合意したと報じられています。しかし、「特別な事情」が何かは不明で、基本が添付ですから変わりません。一人で役所に行き「申請には書類が必要だ」といわれればそこであきらめてしまう人も少なくないと思います。
70代のホームレスの男性は、認知症を自覚して不安になり、生活保護を受けたいと支援者に話しました。すぐに福祉事務所に行き、保護を口頭で申請、その日のうちに無料低額宿泊所に入所し、後日、介護施設に入ることができました。
広範な調査
私たちが出会う多くの人は、さまざまな困難な事情を抱え、保護の申請に必要な書類をすぐにそろえられるような環境や条件にありません。口頭でも申請できること、機敏に対応する役所の姿勢によって、困窮する人たちの命が救われています。
法改悪で扶養義務者に対し、収入や資産など広範な調査ができるようにするというのも大問題です。
最近も、30代の男性が公衆電話から助けを求めてきました。所持金は千円。20歳で家を出て働いていましたが失業し、「ネットカフェ難民」でした。
男性は、「こんな状態で田舎に帰れない」と、生活保護を受けて生活の足場をつくり、自立しようとしています。
扶養義務者への「通知」を義務づけ、扶養を保護の事実上の要件とする今回の法改悪は、自立へのはし乙を外すことです。「結局、自分は一人でやっていけない」と追い詰める事態になりかねません。選択肢を失い絶望した時にどうなるか。痛切に危ぐしています。
(西口友紀恵)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2013年5月31日付掲載
「「特別な事情のある場合はこの限りでない」とのただし書き」は、ほとんど空手形。意味を持ちません。
今でも「水際作戦」で生活保護を受給できない人がたくさんいるのに…。
これ以上「狭き門」にすることは許されません!
修正でも申請に書類添付が基本~命にかかわる人も
生活保護の申請に、書類の添付を義務付けるという今回の生活保護法改悪法案は大変な問題です。なぜならば、生死にかかわる人たちもいるからです。
私たち「立川なんでも相談村」は市民のボランティアで、街頭相談会や駅周辺の夜回り、河川敷訪問などをつづけ、生活困窮者やホームレスの方の支援を行っています。その中では、切羽詰まった事態に直面することもあります。

東京・「立川なんでも相談村」事務局長 三井亨さん
食べ物買えず
糖尿病が悪化して仕事を失い、家賃が払えずホームレスになっていた40代の男性もその一人です。バッグにインスリン注射を大切に持っていましたが、食べ物を買うお金がなく、空腹状態で注射をすると危険なため、出会つたときは20日間も注射を打っていませんでした。
なんとか土日をしのぎ、月曜の朝一番に市の福祉事務所に行き、口頭で保護を申請。お昼には無料低額宿泊所に入所でき、治療も再開できました。後に本人が「あの時に差し入れてくれたバナナで命を救われた」と話していましたが、まさに命の瀬戸際にありました。
現在は口頭で申請できるのに、書類の添付を義務付けるという改悪案への世論の厳しい批判にたいし、与野党4党が「特別な事情のある場合はこの限りでない」とのただし書きをつける修正で合意したと報じられています。しかし、「特別な事情」が何かは不明で、基本が添付ですから変わりません。一人で役所に行き「申請には書類が必要だ」といわれればそこであきらめてしまう人も少なくないと思います。
70代のホームレスの男性は、認知症を自覚して不安になり、生活保護を受けたいと支援者に話しました。すぐに福祉事務所に行き、保護を口頭で申請、その日のうちに無料低額宿泊所に入所し、後日、介護施設に入ることができました。
広範な調査
私たちが出会う多くの人は、さまざまな困難な事情を抱え、保護の申請に必要な書類をすぐにそろえられるような環境や条件にありません。口頭でも申請できること、機敏に対応する役所の姿勢によって、困窮する人たちの命が救われています。
法改悪で扶養義務者に対し、収入や資産など広範な調査ができるようにするというのも大問題です。
最近も、30代の男性が公衆電話から助けを求めてきました。所持金は千円。20歳で家を出て働いていましたが失業し、「ネットカフェ難民」でした。
男性は、「こんな状態で田舎に帰れない」と、生活保護を受けて生活の足場をつくり、自立しようとしています。
扶養義務者への「通知」を義務づけ、扶養を保護の事実上の要件とする今回の法改悪は、自立へのはし乙を外すことです。「結局、自分は一人でやっていけない」と追い詰める事態になりかねません。選択肢を失い絶望した時にどうなるか。痛切に危ぐしています。
(西口友紀恵)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2013年5月31日付掲載
「「特別な事情のある場合はこの限りでない」とのただし書き」は、ほとんど空手形。意味を持ちません。
今でも「水際作戦」で生活保護を受給できない人がたくさんいるのに…。
これ以上「狭き門」にすることは許されません!