きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

配達員切りヤマト 「就職支援」の実態② 自社優先の日本郵便

2023-11-30 07:09:27 | 働く権利・賃金・雇用問題について
配達員切りヤマト 「就職支援」の実態② 自社優先の日本郵便
ヤマト運輸から日本郵便に業務移管される「クロネコDM便」(カタログ・チラシの投函=とうかん=サービス)と「ネコポス」(薄型荷物の投函サービス)の荷物数は年約12・1億個(2022年度実績)にのぼります。本紙が入手した日本郵便作成の資料によると、同社は両サービスの業務移管で「約1300億円規模の収益拡大」を見込んでいます。

責任どう考える
他方、日本郵便への業務移管は配達員約2万5千人が職を失う原因となっています。その社会的責任をどう考えるのか―。本紙が尋ねたところ、日本郵便は次のように突き放しました。
「ヤマト運輸様で仕分け・配達等に従事してきた個人事業主等への対応に関しては、ヤマト運輸様でご対応いただくものと認識しています」
ヤマト運輸からの業務移管に伴う増員についても、「当社リソースで仕分け・配達することを前提に、要員が不足する場合には募集を行い、応募いただいた方の能力や適性を見て採用の判断をしてまいります」と回答。自社の都合を優先する姿勢を示しました。
定年については「当社において時給制契約社員の定年(雇い止め)年齢は65歳」であり、それ以上の雇用更新は「例外」だと強調。高年齢者雇用安定法が事業主の努力義務としている70歳までの就業確保措置については、今後「全社員を対象に制度を検討すべきもの」と、先送りする考えを示しました。



ヤマト運輸の再就職「支援サイト」に添付された人材派遣会社パソナ作成の“お説教動画”


軽貨物ユニオンのホームページで相談を受け付けています

両社取り決めを
建交労軽貨物ユニオンの高橋英晴執行委員長は、ヤマト運輸と日本郵便の対応を批判します。
「ヤマト運輸の長尾裕社長は、契約解除後の『次のキャリアをどうつくっていくか、全力でサポートしていく』と発言したと報道されています。そうであれば、ヤマト運輸から契約解除される人々が日本郵便で同等の労働条件で働けるように両社で取り決めを行うべきです。ところが、ヤマト運輸が提供する支援サイトはよくある転職サイトと変わらず、『再就職活動の心構え』などの動画に至っては働く人の尊厳を傷つける内容です。日本郵便も無責任な態度に終始しています」
両社に加え、政府が責任を果たすべきだと高橋氏は話します。
「日本郵便の親会社である日本郵政の株式の34・8%を財務相が所有して筆頭株主になっているのですから、政府は日本郵政に働きかけるべきです。少なくとも、ヤマト運輸から契約解除された人々を日本郵便が優先して採用し、高年齢でも複数年の雇用を確保することが求められます」
(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年11月29日付掲載


日本郵便への業務移管は配達員約2万5千人が職を失う原因となっています。その社会的責任をどう考えるのか―。本紙が尋ねたところ、日本郵便は次のように突き放しました。
「ヤマト運輸様で仕分け・配達等に従事してきた個人事業主等への対応に関しては、ヤマト運輸様でご対応いただくものと認識しています」と。
建交労軽貨物ユニオンの高橋英晴執行委員長は、ヤマト運輸と日本郵便の対応を批判。
「ヤマト運輸の長尾裕社長は、契約解除後の『次のキャリアをどうつくっていくか、全力でサポートしていく』と発言したと報道。そうであれば、ヤマト運輸から契約解除される人々が日本郵便で同等の労働条件で働けるように両社で取り決めを行うべき。

配達員切りヤマト 「就職支援」の実態① パソナ社員がお説教

2023-11-29 07:11:54 | 働く権利・賃金・雇用問題について
配達員切りヤマト 「就職支援」の実態① パソナ社員がお説教
宅配大手のヤマト運輸が「クロネコDM便」の配達業務を委託してきた個人事業主との契約を2024年1月31日に打ち切ろうとしている問題で、同社が個人事業主に提供し始めた再就職「支援サイト」の実態が判明しました。支援サイトを利用してみた69歳の配達員は「結局、高齢者は切り捨てるということだ」と憤っています。
(杉本恒如)

日本郵便への業務移管 ヤマトグループと日本郵政グループは6月19日に両社の協業に関する基本合意を発表。ヤマト運輸の「クロネコDM便」(カタログ・チラシの投函サービス)と「ネコポス」(薄型荷物の投函サービス)の集荷を除く業務を日本郵便に移管する計画を示しました。ヤマト運輸は本紙の取材に対し、両サービスの業務移管で契約を打ち切る予定の個人事業主は全国で「約3万人」にのぼると回答。その後、人数を「精査した」として、10月31日の発表文で「約2万5千人」に訂正しました。

ヤマト運輸は10月31日に「投函(とうかん)サービスの業務移管に伴う当社の対応について」という文書を発表。日本郵便への業務移管に伴って契約を打ち切る予定の個人事業主は全国で約2万5千人にのぼることを明らかにした上で、10月10日に支援サイトを立ち上げ、5万件を超す求人情報を個人事業主に提供していると説明しました。支援サイトを作成したのはヤマトホールディングス傘下の人材派遣会社ヤマト・スタッフ・サプライです。



ヤマト運輸の再就職「支援サイト」に添付された人材派遣会社パソナ作成の“お説教動画”

独力で開けない
「クロネコDM便」配達員の多くは高齢者です。69歳の配達員はパソコンを持っておらず、独力では支援サイトを開けませんでした。知人の援助で閲覧したところ、人材派遣会社パソナ作成の動画が数多く添付されていました。動画は「再就職活動の心構え」や「応募書類の送り方」「面接の基本」について、パソナ社員が「待ちの姿勢で考えていてはなかなかご縁には至りません」などと説教を垂れるものでした。

高圧的に迫って
支援サイトに掲載された求人情報の大半を提供しているのは日本郵便でした。69歳の配達員が居住地近辺の日本郵便の求人先に連絡をとってみると、こういわれました。
「当社の定年は65歳です。応募はできますが、半年契約となります。半年後に契約がどうなるかはわかりません」
配達員は「とても応募する気になれない」と語ります。
「ヤマト運輸はパソナの口を借りて自己責任で職を探せと高圧的に迫り、日本郵便はもし採用しても半年後には雇い止めにするということだ。こんなものが『支援』なのか。ヤマト運輸も日本郵便も人をばかにしている」
(つづく)(2回連載です)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年11月28日付掲載


「クロネコDM便」配達員の多くは高齢者です。69歳の配達員はパソコンを持っておらず、独力では支援サイトを開けませんでした。知人の援助で閲覧したところ、人材派遣会社パソナ作成の動画が数多く添付されていました。動画は「再就職活動の心構え」や「応募書類の送り方」「面接の基本」について、パソナ社員が「待ちの姿勢で考えていてはなかなかご縁には至りません」などと説教を垂れるもの。
「ヤマト運輸はパソナの口を借りて自己責任で職を探せと高圧的に迫り、日本郵便はもし採用しても半年後には雇い止めにするということだ。こんなものが『支援』なのか。ヤマト運輸も日本郵便も人をばかにしている」と。

ライドシェア推進派の正体 IT企業トップら もうけのタネに

2023-11-28 07:13:05 | 経済・産業・中小企業対策など
ライドシェア推進派の正体 IT企業トップら もうけのタネに
政府は、一般ドライバーが自家用車で有償送迎する「ライドシェア」の解禁論議を加速させています。安全性や労働条件をめぐって国民やタクシー業界の反対があるなか、政府が解禁に前のめりになるのはなぜでしょうか。表向きの理由は「タクシー不足」ですが、その背景には「ポスト岸田」をめぐる政局で存在感を示したい菅義偉前首相や、ライドシェアをもうけのタネにしたいIT企業トップらの思惑があります。

海外企業に出資
ライドシェア解禁が議論になったのは、今回が初めてではありません。2010年代後半、IT企業を中心に解禁を求める声が挙がりました。
ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長は18年7月、「いま日本ではライドシェアが法律で禁止されている。こんなばかな国がいまだにあるということは、ぼくには信じられない」と指摘。楽天グループの三木谷浩史社長も19年8月、ライドシェアの導入が「日本の発展にとって極めて重要だ」と述べました。
ソフトバンクや楽天は、日本でのライドシェア解禁を要求しただけではありません。海外のライドシェア市場の急速な拡大を見て、ライドシェア企業に出資し、もうけのタネにしようとしました。
20年度のソフトバンクグループの有価証券報告書によると、ライドシェア企業大手のウーバーには64億ドルを出資しています(現在は売却)。楽天グループも15年3月、ライドシェア企業のリフトに3億ドルを出資し、三木谷氏が取締役に就任しました(20年に退任)。


だれが「ライドシェア」の解禁を求めているのか
竹中平蔵・元経済再生担当相ライドシェア産業は過去5年間、世界の中で最も成長した産業だ。ウーバーは8年間で企業価値7兆円だから、メガバンクを超えた。しかし日本ではまだ実現していない。(第17回未来投資会議、2018年6月)
孫正義・ソフトバンクグルーフ会長兼社長いま日本ではライドシェアが法律で禁止されている。こんなばかな国がいまだにあるということは、ぼくには信じられない。政府が未来の進化を自分で止めている。(「Softbank Wrld2018」基調講演、2018年7月)
三木谷浩史・楽天グルーフ社長世界中でライドシェアは一般的に使われている。経験したことのない人にはわからないが、世界はそのように動いている。(「Rakuten Optimism」ビジネスカンファレンス、2019年8月)


菅氏の鶴の一声
彼らの猛攻にもかかわらず、日本のライドシェア全面解禁は挫折。国会は20年、改定地域公共交通活性化法の付帯決議(衆院)で、「いわゆる『ライドシェア』は引き続き導入を認めないこと」との一文を明記したのです。
ところが、この政府方針は今年8月、菅前首相の鶴の一声で覆りました。
「現実問題として(タクシーが)足りない。これだけ(運転手の)人手不足になってきたら、ライドシェア導入に向けた議論も必要だ」(8月19日)
これを受けて、国では河野太郎デジタル相の主導で、ライドシェア解禁の議論を開始。岸田文雄首相も通常国会の所信表明で、「ライドシェアの課題に取り組む」と解禁論議を容認しました。
一方、地方では「活力ある地方を創る首長の会」(会長・田中幹夫富山県南砺市長)がライドシェア解禁の旗振り役を担いました。同会は10月16日にライドシェアの規制緩和を求める提言を国交省に提出しています。
同会は20年10月に菅政権(当時)を支持する88自治体の知事、市町村長で発足。同政権が進める地方創生や規制改革を率先して取り組む有志の団体です。11月17日現在の会員数は253人。「神奈川版ライドシェア」を打ち出した黒岩祐治神奈川県知事は、同会の「会長代行」です。
同会の11月1日現在の役員名簿によると、「相談役」にはデジタル庁の参事官補佐、「政策参与」には同庁の河野大臣付参与が就任。国と地方一体でライドシェアのゴリ押しが行われています。



「ライドシェア」解禁に前のめりの岸田首相と河野デジタル相=10月3日、東京都千代田区

無権利労働拡大
ライドシェア推進派の筆頭は、竹中平蔵元経済再生相。新自由主義の規制緩和路線により、30年にわたる「コストカット型経済」を後押しした中心人物です。第2次安倍政権下の「未来投資会議」(16~20年)では一貫してライドシェア解禁を主張していました。
ライドシェアの運転手は、雇用された労働者ではなく仕事を請け負う個人事業者・自営業者だとされます。しかし、実際には企業から仲介された乗客を乗せる以外には仕事ができず、運賃も完全に会社の支配下に置かれます。こうした労働者が増えれば、低賃金で無権利な働き方が社会全体に広がる危険性があります。
岸田首相は「コストカット型の経済から30年ぶりに歴史的転換を図る」と豪語しましたが、ライドシェアの解禁は「コストカット型経済」を拡大してしまうものです。
(森糸信)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年11月27日付掲載


ソフトバンクや楽天は、日本でのライドシェア解禁を要求しただけではありません。海外のライドシェア市場の急速な拡大を見て、ライドシェア企業に出資し、もうけのタネにしようと。
ライドシェア推進派の筆頭は、竹中平蔵元経済再生相。新自由主義の規制緩和路線により、30年にわたる「コストカット型経済」を後押しした中心人物。
ライドシェアの運転手は、雇用された労働者ではなく仕事を請け負う個人事業者・自営業者。しかし、実際には企業から仲介された乗客を乗せる以外には仕事ができず、運賃も完全に会社の支配下に。
「ライドシェア」と言えば、田舎で交通な不便なところの交通手段って思われがちですが…。IT企業は都市部で、安かろうと悪かろうとの戦略でしょうね。
一般ドライバーが参画するための、デバイス提供にも儲け口があります。

2023年度 補正予算案の問題点③ 青天井の大企業支援

2023-11-27 10:43:49 | 予算・税金・消費税・社会保障など
2023年度 補正予算案の問題点③ 青天井の大企業支援

岸田文雄首相は総合経済対策で「供給力の強化」を最も重要な柱に位置付けました。その具体化となる2023年度補正予算案では、「成長力の強化・高度化に資する国内投資を促進する」として3兆4375億円を計上。そのうち半導体関連予算は特別会計分を含め1兆8251億円に上っています。半導体関連予算は半導体企業などへの補助金用の基金に使われます。同基金は、22年度第2次補正予算までに計1・8兆円を積み上げていました。23年度補正予算案によって基金全体の枠が倍加することになります。

上限がない制度
基金は、企業の要求に応じて税金を投入できることが重大です。基金の仕組みを規定するのは、特定高度情報通信技術活用システム開発供給導入促進法(5G促進法)や、新エネルギー・産業技術総合開発機構法(NEDO法)です。両法は21年12月の改定で巨額の税金をわずか数社の半導体企業に投入することが可能になりました。事業者が作成した施設整備計画を経済産業相が認定し、NEDOに設置された基金から補助率2分の1などで経費を補助します。
日本共産党は両法の改定に反対。笠井亮議員は同12月15日の衆院経済産業委員会の質疑で、補助金の上限の定めがないことを明らかにし、事業者の要求に応じて税金の投入が膨らむ危険を指摘していました。
国はすでに基金から台湾積体電路製造(TSMC)の熊本第1工場に対し、4760億円の補助を決定。同社は第2工場の建設計画を表明しており、国は追加の補助を行う見込みです。基金からすでに3300億円の支援決定を受けている先端半導体企業ラピダスは、27年の量産開始までに2兆円の支援を国に要求しています。まさに「青天井で、歯止めなき国費投入」(笠井氏)の仕組みです。




米国と共同歩調
ラピダスの東哲郎会長は講演で「重要な部分は国防」「まずアメリカのお客に届ける」として米国の軍需への貢献を明言しました。半導体企業への支援は「安全保障」問題として軍事に使われる危険が高まっています。
岸田首相は17日、米国でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議出席後の内外記者会見で「最先端技術に関するイノベーションやサプライチェーン(供給網)の強靱(きょうじん)化は一国では達成できず、同盟国や同志国との連携が不可欠だ」と強調しました。
中国との覇権争いを強める米国は、先端半導体分野で対中包囲網を構築しています。
日本政府は、米国の要請に応じて先端半導体製造装置の輸出規制を開始しました。米国主導の新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」では対中国の供給網づくりに協力しています。米国の政策に歩調を合わせています。
(日隈広志)(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年11月25日付掲載


基金は、企業の要求に応じて税金を投入できることが重大です。基金の仕組みを規定するのは、特定高度情報通信技術活用システム開発供給導入促進法(5G促進法)や、新エネルギー・産業技術総合開発機構法(NEDO法)です。両法は21年12月の改定で巨額の税金をわずか数社の半導体企業に投入することが可能に。事業者が作成した施設整備計画を経済産業相が認定し、NEDOに設置された基金から補助率2分の1などで経費を補助。
基金からすでに3300億円の支援決定を受けている先端半導体企業ラピダスは、27年の量産開始までに2兆円の支援を国に要求。まさに「青天井で、歯止めなき国費投入」(笠井氏)の仕組み。

2023年度補正予算案の問題点② 日米一体で宇宙軍拡

2023-11-26 07:08:54 | 予算・税金・消費税・社会保障など
2023年度補正予算案の問題点② 日米一体で宇宙軍拡


岸田文雄政権は、日米一体の宇宙軍拡を着々と推進しています。2023年度補正予算案には、日米のミサイル防衛への貢献が期待される情報収集衛星の開発費等に257億円を盛り込みました。24年度予算概算要求に盛り込まれた755億円のうち、関連費用が前倒しで計上されました。

軍事スパイ衛星
情報収集衛星は、「北朝鮮からのミサイル発射を事前に探知する」(内閣官房担当者)などミサイル防衛のための軍事スパイ衛星です。政府は現在の5基体制からの早期倍加を目指しています。
空中や地上の様子を把握する撮影機能を持つ情報収集衛星は、光学衛星とレーダー衛星があります。光学衛星はデジタルカメラと同様の光学センサーで対象を詳細に分析でき、レーダー衛星は夜間や悪天候時でも撮影可能です。
現在は地球上のある1地点を1日最大4回撮影できます。内閣衛星情報センターが、防衛省や首椙官邸の求めに応じて運用しています。衛星の基数を増やすことで撮影回数を増やし、データの即時性・即応性を高める狙いです。
政府は、23年度に光学衛星、24年度にレーダー衛星を1基ずつ打ち上げる予定。29年度までに、衛星と地上の基地局との間でデータ通信を行うデータ中継衛星1基を加え9基体制にする計画です。



IT(情報技術)と家電の展示会、CEATEC JAPANに出展された準天頂衛星システムを紹介するコーナー=10月19日、千葉・幕張メッセ

「構想」を具体化
情報収集衛星の体制強化は、岸田政権が安保3文書に基づき6月に決定した「宇宙安全保障構想」を具体化するものです。
同「構想」は、「今日、宇宙空間は、外交・防衛・経済・情報、そしてそれらを支える科学技術・イノベーションカといった国力をめぐる地政学的競争の主要な舞台」だとして、21世紀に起きた多くの紛争が「宇宙空間の利用が地球上における軍事的優位性に直結することを示した」との認識を示しました。
このもとで、「構想」は際限なき宇宙軍拡を描きだしています。敵基地攻撃能力の「スタンド・オフ防衛能力」のための探知・追尾能力や、弾道ミサイルや「極超音速滑空兵器」などへの対応力を獲得していくと指摘。防衛省・自衛隊が、米国主導の軍事通信衛星網の中で「周辺国」からの妨害行為に対応するとしました。米宇宙軍の指揮下での自衛隊の運用が想定されています。
この他、23年度補正予算案では、岸田政権が総合経済対策で掲げた「宇宙戦略基金」に3000億円を計上。同基金は10年間で総額1兆円規模。宇宙航空研究開発機構(JAXA)に設置され、「宇宙技術戦略」(今年度中に策定予定)にそって民間企業や大学への技術開発支援などに使われます。また、米軍のセンサーを搭載する準天頂衛星システムの開発加速に73億円などを盛り込みました。同衛星の衛星利用測位システム(GPS)は、スマートフォンやカーナビの位置情報などで活用されています。
(日隈広志)(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年11月23日付掲載


空中や地上の様子を把握する撮影機能を持つ情報収集衛星は、光学衛星とレーダー衛星。光学衛星はデジタルカメラと同様の光学センサーで対象を詳細に分析でき、レーダー衛星は夜間や悪天候時でも撮影可能。
「宇宙安全保障構想」は際限なき宇宙軍拡を描きだす。敵基地攻撃能力の「スタンド・オフ防衛能力」のための探知・追尾能力や、弾道ミサイルや「極超音速滑空兵器」などへの対応力を獲得していくと指摘。防衛省・自衛隊が、米国主導の軍事通信衛星網の中で「周辺国」からの妨害行為に対応。米宇宙軍の指揮下での自衛隊の運用が想定。