原発審査業務 残業規制の除外通知廃止
衆院予算委 共産・高橋氏に厚労相答弁
塩崎恭久厚労相は27日の衆院予算委員会で、原発再稼働審査のための電力会社の業務を残業時間の規制適用除外とした通達について「今年度限りで廃止すべく考えている」と述べました。日本共産党の高橋千鶴子議員に答えたもの。同通達は昨年10月の衆院予算委員会で高橋氏が指摘し、日本共産党が一貫して廃止を求めてきました。
高橋氏は、塩崎厚労相の答弁を「一歩前進」としつつ、安倍内閣の「働き方改革」では残業の上限規制に新たな抜け穴ができるとして、「誰に対しても『死ぬまで働くな』といえるルールをつくるべきだ」と強調しました。
質問する高橋千鶴子議員=2月27日、衆院予算委
厚労省は残業の上限を大臣告示で「月45時間」「年360時間」と定めています。「公益上の必要」があれば適用を除外し、「臨時的な特別な事情」があれば労使協定により上限を超えた残業を認めるなど、さまざまな抜け穴があります。
高橋氏は、全国の原発の三六協定(残業時間に関する労使協定)を提示し(関連記事に表)、残業時間の上限が一日16時間で、所定労働時間と合わせると24時間を超える勤務を可能としている原発があることを指摘。山越敬一労働基準局長は、一日の上限がないことを認めました。
野党共同提出の「長時間労働規制法案」では、始業後24時間以内に一定の休息時間を保障するインターバル規制を義務づけています。高橋氏は「この実現が必要」と求めました。
大臣告示について高橋氏は、医学的知見をもとに労働者が健康に働くために定められた「原則」であることを指摘。政府の「働き方改革実現会議」に大臣告示の2倍の「年720時間(月平均60時間)」の上限が出ていることに対し、高橋氏は「毎月60時間の残業も認められ、大臣告示が意味のないものになってしまう。『原則』と書いたそばから『例外』を設けては、過労死はなくせない」とただしました。
塩崎厚労相は「実態を見すえて、実効性のあがる結論が(働き方改革の)実行計画に明記できるよう取り組む」と答弁しました。
残業規制適用除外の根拠崩壊 「抜け穴」許されない
高橋議員質問に厚労相
塩崎恭久厚労相が27日、日本共産党の高橋千鶴子衆院議員の質問に対して、原発再稼働審査のための電力会社の業務を残業時間規制の適用除外としている通達を3月末で廃止すると表明しました。
昨年10月に高橋氏が「過労死するほど働かせて再稼働を強行するなど許されない」と初めて取り上げ、倉林明子参院議員、真島省三衆院議員と日本共産党が連続追及してきた成果です。
現行法は、「公益上の必要」があると労働基準局長が指定した業務については、月45時間、年360時間という残業時間の限度基準を適用除外できるとされています。
しかし、再稼働審査は、原子力規制委員会が「期限はない」(田中俊一委員長)と高橋氏の質問に認めるなど、時間規制を外してまで急ぐ公益などないことが明らかになりました。
倉林氏の質問では、電力会社からの要望もないのに適用除外とする通達を出していたことが判明。真島氏の質問では、適用除外期間が終了しても限度基準を超える残業が横行するなど、「モラルハザード(倫理欠如)」まで生んでおり、適用除外の根拠は完全に崩壊しました。
電力会社での無法な適用除外を廃止に追い込んだことは、労働者の健康を守り、再稼働を許さない上でも重要な成果です。
一方で安倍内閣は「働き方改革」の名で残業時間の限度基準の骨抜きをねらっています。政府案では、「臨時的な特別な事情がある場合」、限度基準の2倍となる年720時間まで容認。月の上限も過労死ラインである80~100時間まで可能にする考えです。
限度基準は、月45時間を超えると過労死のリスクが高まるとの医学的知見に基づき、国が設定したものです。背信的な「抜け穴」づくりはやめて、限度基準を法定化し、次の勤務までの休息時間を保障する「インターバル規制」の導入こそ必要です。(深山直人)
原子力発電所が三六協定で結んでいる残業時間の上限
※1カ月の項目のうち( )の数字は2カ月または3カ月の協定
※時間外労働時間はいずれも各社が結んだ協定、電力会社からの聴取のうち最長のもの
「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年2月28日付掲載
原子力発電所の三六協定。1日の残業時間は定時の時間と合わせると、なんと24時間になる原発も。
徹夜の作業をして、そのまま次の日も働けってことか!
まさに殺人的。
厚労省がこんな三六協定を認める通知を廃止するってことは当然です。
衆院予算委 共産・高橋氏に厚労相答弁
塩崎恭久厚労相は27日の衆院予算委員会で、原発再稼働審査のための電力会社の業務を残業時間の規制適用除外とした通達について「今年度限りで廃止すべく考えている」と述べました。日本共産党の高橋千鶴子議員に答えたもの。同通達は昨年10月の衆院予算委員会で高橋氏が指摘し、日本共産党が一貫して廃止を求めてきました。
高橋氏は、塩崎厚労相の答弁を「一歩前進」としつつ、安倍内閣の「働き方改革」では残業の上限規制に新たな抜け穴ができるとして、「誰に対しても『死ぬまで働くな』といえるルールをつくるべきだ」と強調しました。
質問する高橋千鶴子議員=2月27日、衆院予算委
厚労省は残業の上限を大臣告示で「月45時間」「年360時間」と定めています。「公益上の必要」があれば適用を除外し、「臨時的な特別な事情」があれば労使協定により上限を超えた残業を認めるなど、さまざまな抜け穴があります。
高橋氏は、全国の原発の三六協定(残業時間に関する労使協定)を提示し(関連記事に表)、残業時間の上限が一日16時間で、所定労働時間と合わせると24時間を超える勤務を可能としている原発があることを指摘。山越敬一労働基準局長は、一日の上限がないことを認めました。
野党共同提出の「長時間労働規制法案」では、始業後24時間以内に一定の休息時間を保障するインターバル規制を義務づけています。高橋氏は「この実現が必要」と求めました。
大臣告示について高橋氏は、医学的知見をもとに労働者が健康に働くために定められた「原則」であることを指摘。政府の「働き方改革実現会議」に大臣告示の2倍の「年720時間(月平均60時間)」の上限が出ていることに対し、高橋氏は「毎月60時間の残業も認められ、大臣告示が意味のないものになってしまう。『原則』と書いたそばから『例外』を設けては、過労死はなくせない」とただしました。
塩崎厚労相は「実態を見すえて、実効性のあがる結論が(働き方改革の)実行計画に明記できるよう取り組む」と答弁しました。
残業規制適用除外の根拠崩壊 「抜け穴」許されない
高橋議員質問に厚労相
塩崎恭久厚労相が27日、日本共産党の高橋千鶴子衆院議員の質問に対して、原発再稼働審査のための電力会社の業務を残業時間規制の適用除外としている通達を3月末で廃止すると表明しました。
昨年10月に高橋氏が「過労死するほど働かせて再稼働を強行するなど許されない」と初めて取り上げ、倉林明子参院議員、真島省三衆院議員と日本共産党が連続追及してきた成果です。
現行法は、「公益上の必要」があると労働基準局長が指定した業務については、月45時間、年360時間という残業時間の限度基準を適用除外できるとされています。
しかし、再稼働審査は、原子力規制委員会が「期限はない」(田中俊一委員長)と高橋氏の質問に認めるなど、時間規制を外してまで急ぐ公益などないことが明らかになりました。
倉林氏の質問では、電力会社からの要望もないのに適用除外とする通達を出していたことが判明。真島氏の質問では、適用除外期間が終了しても限度基準を超える残業が横行するなど、「モラルハザード(倫理欠如)」まで生んでおり、適用除外の根拠は完全に崩壊しました。
電力会社での無法な適用除外を廃止に追い込んだことは、労働者の健康を守り、再稼働を許さない上でも重要な成果です。
一方で安倍内閣は「働き方改革」の名で残業時間の限度基準の骨抜きをねらっています。政府案では、「臨時的な特別な事情がある場合」、限度基準の2倍となる年720時間まで容認。月の上限も過労死ラインである80~100時間まで可能にする考えです。
限度基準は、月45時間を超えると過労死のリスクが高まるとの医学的知見に基づき、国が設定したものです。背信的な「抜け穴」づくりはやめて、限度基準を法定化し、次の勤務までの休息時間を保障する「インターバル規制」の導入こそ必要です。(深山直人)
原子力発電所が三六協定で結んでいる残業時間の上限
電力会社 | 原子力発電所 | 延長することができる時間 | ||
1日 | 1カ月 (2ヵ月または3ヵ月) | 1年 | ||
北海道電力 | 泊 | 16 | (150) ※2ヵ月 | 1200 |
東北電力 | 東通 | 14 | 100 | 780 |
女川 | 14 | (300) ※3ヵ月 | 1200 | |
東京電力 | 福島第1 | フレックスタイム制につき定めなし | 100 | 1000 |
福島第2 | フレックスタイム制につき定めなし | 100 | 800 | |
柏崎刈羽 | 翌始業時刻までを限度 | 80 | 990 | |
中部電力 | 浜岡 | 14 | 95 | 680 |
北陸電力 | 志賀 | 15 | 120 | 800 |
関西電力 | 美浜 | 14時間20分 | 120 | 960 |
高浜 | 14時間20分 | 100 | 600 | |
大飯 | 15時間20分 | 150 | 960 | |
中国電力 | 島根 | 14 | 150 | 900 |
四国電力 | 伊方 | 12 | 150 | 900 |
九州電力 | 玄海 | 13 | 120 | 800 |
川内 | 15 | 170 | 1000 | |
日本原電 | 東海第2 | 12 | 160 | 800 |
敦賀 | 12 | 160 | 800 | |
電源開発 | 大間 | 10時間40分 | 100 | 1080 |
※時間外労働時間はいずれも各社が結んだ協定、電力会社からの聴取のうち最長のもの
「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年2月28日付掲載
原子力発電所の三六協定。1日の残業時間は定時の時間と合わせると、なんと24時間になる原発も。
徹夜の作業をして、そのまま次の日も働けってことか!
まさに殺人的。
厚労省がこんな三六協定を認める通知を廃止するってことは当然です。