きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

原発以上に未熟で危険 青森・六ケ所村再処理工場

2011-05-29 23:34:24 | 原子力発電・放射能汚染・自然エネルギー
原発以上に未熟で危険 青森・六ケ所村再処理工場

 東日本大震災で東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)が深刻な事態に陥る中、技術が未熟で原発以上に危険といわれる日本原燃再処理工場(青森県六ケ所村)問題が青森県知事選(6月5日投票)の重大な争点となっています。再処理工場とは何か、どんな危険があるのでしょうか。






放射能を大量に放出
 再処理工場は、原発の使用済み核燃料から、燃え残りのウランと、新たに生成したプルトニウムを取り出す施設です。東京ドーム約81個分の約380万平方メートルの敷地に、使用済み核燃料貯蔵プールや、再処理を行うさまざまな設備が入った建物が並んでいます。強い酸性の液体や燃えやすい油性の溶媒、大量の放射性物質を扱うことから「放射能化学工場」とも呼ばれます。
再処理の工程は、次のとおりです(図参照)。



【クリックすると大きい画面で開きます】


 ジルコニウム合金製の被覆管に入っている使用済み核燃料棒を数センチの長さに切断します。出てきた使用済み核燃料は硝酸で溶かし、溶媒でウランとプルトニウムを抽出し、二つを分離します。それぞれの純度を高め、硝酸を蒸発させ、最終的にウラン酸化物とウラン・プルトニウム混合酸化物をつくります。
 使用済み核燃料棒の中には、原発の運転中に発生したさまざまな種類の放射性物質(死の灰)が閉じ込められています。
 切断の際に、揮発性の放射性物質(主にクリプトン、トリチウム、ヨウ素)が外部に放出されます。
 それ以外の死の灰は、高レベル放射性廃棄物としてガラスと混ぜてステンレス製の容器に入れた「ガラス固化体」に加工。30~50年間専用の施設で冷却した後、地中の深いところに埋める「地層処分」を行うとしています。しかし、どこに埋めるかなどの見通しはたっていません。

臨界・爆発事故多発
 この再処理の方法はピューレックス法と呼ばれ、もともと核兵器の材料のプルトニウムを取り出すために開発されました。この方法を使った海外の再処理工場では、ウランやプルトニウムが連鎖的に核分裂する臨界事故や、爆発事故が多発しています。
 ロシアの軍事秘密都市「トムスク7」の再処理工場では1993年に、分離したウランの溶液を貯蔵しておくタンクに硝酸を加えたときに爆発しました。工場内だけでなく、周辺の広い範囲が汚染されました。
 英国のセラフィールド再処理工場は、長期にわたって大量の放射性物質を海へ垂れ流していました。英国の科学誌に発表,された論文によると、1987年までに放出されたプルトニウムの量は、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故で放出された量の7倍を上回っていたといいます。

 茨城県東海村にある旧動燃(現日本原子力研究開発機構=原研機構)の再処理工場では、1997年に爆発・火災事故が発生しました。作業員37人が被ばくし、放射性物質が施設外に放出されました。
 国内外の再処理工場でこれまで起こった数々の事故は、使用済み核燃料の再処理が未熟で危険なものであることを示しています。

核燃料を大量に貯蔵
 六ケ所再処理工場の建設着工は1993年、完成予定は1997年でした。大幅遅れで2001年から各種の試験を始め、2006年には使用済み核燃料を用いる「アクティブ試験」を開始しました。しかし、試験のたびに事故やトラブルが続出しています。
 通水試験の段階では1300キロにも達する配管などに300近い不良溶接箇所が見つかりました。最大で1万体以上の使用済み核燃料集合体を入れることになっている使用済み核燃料貯蔵プールから水が漏れだす事態となりました。
 アクティブ試験が始まってからも、放射性物質を含む廃液が漏れたり、作業員が体内被ばくする事故が次々発生。使用済み核燃料を受け入れる装置の耐震設計にミスがあったことなども発覚しました。2008年12月には、高レベル放射性廃棄物の「ガラス固化体」をつくる溶融炉内に入れた、かくはん用の金属の棒が抜けなくなり、それ以後試験は中断しています。





直下でM8級地震も
 日本原燃は六ケ所再処理工場の耐震安全性について、約130キロ離れた三陸沖の海底で発生するマグニチュード(M)8.3の「想定三陸沖北部の地震」と、近くを通る「出戸西方(でとせいほう)断層」が動いた場合のM6.9の地震を想定して検討した結果、問題はなかったとしています。
 日本原燃が検討したとは別に、六ケ所再処理工場に大きな被害をもたらす可能性がある活断層が存在することが研究者から指摘されています。渡辺満久・東洋大学教授らのグループが、2008年に開かれた「地球惑星科学連合」の大会で発表しました。この活断層は、下北半島の東側の海底にある長さ約84キロの大陸棚外縁断層とつながっていて、最大でM8級の地震を起こす可能性があるといいます。
 同じM8級の地震でも遠く離れた海底で起こる場合と、直下で起こる場合では揺れの強さはまったく異なります。しかし、日本原燃は指摘をまともに検討していません。


再処理方針の転換を
元日本原子力研究所研究員 市川富士夫さん
 六ケ所再処理工場を何が何でもつくろうとしているのは、原発の使用済み核燃料の受け入れ先を確保する必要があるからです。背景には、国が掲げる使用済み核燃料の全量再処理という方針があり、根本的転換が必要です。事故やトラブルが頻発しているのに、そこで何が起こっているのかほとんど聞こえてきません。技術者がものも言えない状態に置かれているのではないかと心配になります。このような状態で再処理を強行することはたいへん危険です。


青森知事選 よしまた氏「中止を」
行き詰まる核燃料サイクル

 国は、使用済み核燃料に含まれるプルトニウムを高速増殖炉という原発で燃料として使う、「核燃料サイクル」を原子力政策の基本に位置づけています。再処理工場は、その重要な柱です。
 しかし、高速増殖炉実用化のめどはたっていません。原研機構の「もんじゅ」は、1995年12月にナトリウム漏れ・火災事故を起こした後、約14年5カ月運転を停止していましたが、昨年5月に運転を再開。しかし、同年8月には原子炉内に約3.3トンの金属装置を落下させる重大な事故を起こしました。
核燃料サイクルは行き詰まっています。
 日本共産党は、プルトニウムを原発で使うことの危険性を当初から指摘し、核燃料サイクルを基本とした原子力政策の転換を求めてきました。3氏が立候補している青森県知事選では、よしまた洋候補だけが六ケ所再処理工場の稼働中止を主張しています。


【プル卜ニウム】
 原発でウランを燃やしたときなどにできる元素で、天然に。はほとんど存在しません。ウラン、けた違いに高い放射能を持っており、体内に取り込んだ場合には微量でもがんなどの原因となります。質量が異なるいくつかの種類があり、核分裂性のプルトニウム239は核燃料などとして使われます。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2011年5月27日付掲載



福島第一原発の福島県では、いままで原発を受け入れてきた知事が「原発はダメ」の意思を全国に発信しています。
遠く離れた山口県の知事も今までの態度を変えて「上関(かみのせき)原発建設の埋め立て免許失効」で事実上「建設中止」の立場に変わっています。
東海地震の震源直下の浜岡原発は津波対策のため一時的に停止されました。
宮城県の女川(おながわ)原発も再開のメドがたっていません。

津波や地震の直接の被害を受けなかったと言え、六ケ所村の再処理工場がそのまま操業を認めるわけにはいかないのではないでしょうか。
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東日本大震災と日本経済の課題 連載を終えて

2011-05-26 22:09:43 | 震災・災害・復興・地震&災害対策など
東日本大震災と日本経済の課題 連載を終えて・・・

 本紙(「しんぶん赤旗」日刊紙)4月5日付開始の連載「大震災と日本経済の課題-識者に聞く」が終了しました。この企画では17人の識者にインタビューし、被災者の生活再建から産業再生、今後の復興のあり方などについて縦横に論じていただきました。示された重要な論点をまとめてみました。



上からの復興でなく
 地震と津波による災害や、東京電力福島原子力発電所の事故で大きな打撃を受けた住民の暮らしや産業の基盤をどう再生させていくのか。共通して出されたのは、上からの押し付けではなく、住民や地域の意向に基づいた復興を進めるという点と国の役割や責任の明確化です。

住民本位
 奈良女子大学大学院教授の中山徹さん(4月9日付)は、住民本位の復興ビジョンが決定的に重要だとし、「地域の実情に応じたまちづくりの基本方向を、国は責任をもって住民に示す必要がある」と話します。公共事業のあり方についても、三大都市圏を中心に集中させてきたこれまでのやり方を変えるべきだと提起します。
 復興の第一義的課題は「人間の復興」だと話すのは京都大学大学院教授の岡田知弘さん(5月19日付)。大型開発が優先され、住宅など住民の生活再建が後景に追いやられ、「7割復興」と呼ばれた阪神・淡路大震災の教訓を忘れてはならないと呼びかけます。
 中央大学名誉教授の今宮謙二さん(4月8日付)は、「住宅、暮らし、仕事などに国が責任をもって直接補償することが必要」だと述べた上で、地域経済の再建に向けては、「地元の商店や中小企業、農林漁業などの再建を含め、新しいまちづくりをどう進めるかが大事」と話します。
 東京工科大学教授の工藤昌宏さん(4月5日付)は、日本の食料供給を支え、自動車など基幹産業の部品・素材の供給基地となってきた東北地方の経済停滞は、地方の金融機関の経営悪化をもたらし、日本経済を長期に停滞させる可能性があると指摘。「地方経済の再生こそ日本経済の再生にとって不可欠になっている」と強調します。

「住まい」
 被災者の生活再建の要となるのが住宅の復興です。国民の住まいを守る全国連絡会代表幹事の坂庭国晴さん(4月13日付)は、基本的な考え方として3点を示します。第一に「新たな地域・まちづくりをめざすという発想の転換」、第二に「住まいは人権。人間生活と福祉の基盤であるという考え方として復興の太い流れとして貫くこと」、第三に「住宅の再建をまちづくりと一体に、住民が主人公の立場で進めることです」。

応能負担
 復興の財源をどうするのか。暮らしと経済研究室主宰の山家悠紀夫さん(4月22日付)は、ダムや港湾など大型公共事業の見直しや軍事費の削減、歳入面でも法人税減税の中止などで財源は生まれると主張。大企業の内部留保を活用する「震災復興国債」の発行を提起します。
 立正大学客員教授の浦野広明さん(5月10日付)も、復興財源は当面、特別国債などを発行してまかなうべきだといいます。「財源は応能負担で行うべきだ」として、法人の所得や資産に応じて法人税に上乗せする法人臨時特別税の実施を提案します。
 駒沢大学教授の小栗崇資さん(4月14日付)は、大企業の余剰資金への一時的な課税を提唱します。内部留保の主要部分である利益剰余金は143兆円、「手元資金」は約64兆円にのぼります。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2011年5月25日付



憲法の精神を貫いて
 壊滅的な打撃を受けた農林漁業。再生のために何が必要でしょうか。
 愛媛大学教授の村田武さん(4月23日付)は、財界などから東北全体を「復興特区」にという声があがっていることに対し「大企業を優遇し農地から被災農家を追い出すもの」と批判。大規模化や効率優先のやり方ではなく、地元が望んで、いるのは家族経営型農業の再生だと説きます。
 東北大学大学院教授の片山知史さん(4月26日付)は、漁船の確保や港の機能の復旧を急ぐと同時に、加工業など関連産業の再建も大切になっていると強調。「海でこそ生きる」と願う漁業者が再び漁に出て生活していけるように国が責任をもって支援するべきだと訴えます。





中小企業
 日本の「ものづくり」を支えてきた中小企業。大震災で直面した危機にどう対応すべきでしょうか。
 桜美林大学教授の藤田実さん(4月20日付)は、「今ほど大企業が下請け企業を支えることが求められているときはない」と指摘。代替先を求め海外へ拠点を移そうとする大企業を国内にとどめるためにも、「政治が『ものづくり』企業を支え、早急に生産が回復できるようにしないといけない」と話します。
 労働運動総合研究所常任理事の佐々木昭三さん(5月11日付)は、支えられてきた大企業が社会的責任として、被災した下請け企業や業者を全面的に支援することだと論じます。

雇用悪化
 今回の震災では被災地で一時、ガソリン・燃料が欠乏し、復旧・救援に支障をきたしました。
 駒沢大学教授の吉田敬一さん(4月19日付)は、市場原理主義経済システムの矛盾が背景にあると指摘。
 「水や燃料、医療など国民の命を守る基盤の分野まで市場原理まかせにしていいのかが問われている」と警鐘を鳴らします。
 失業の増加や内定取り消しなど、雇用悪化が懸念されています。
 労働運動総合研究所顧問の大木一訓さん(5月12日付)は、震災によって雇用保険など従来の失業保障ではカバーされない長期失業の発生が続いていることに注意を喚起。対策として復興事業と結びつけた「公的就労事業」を創設することを呼びかけます。
 金融評論家の桜田氾さん(5月21日付)は、地域経済の復興に向け「企業と金融機関の両方の再生が迫られている」と指摘。そのための新たな金融措置を求めるとともに、地域の協同組織金融機関である信用金庫・信用組合の力の発揮に期待を表明しました。

たたかい
 復興をめぐり憲法の精神を貫くことの大切さも浮き彫りになりました。
 「憲法第25条の生存権保障の視点に立った国の責任を明確にする必要がある」と説くのは、神戸大学教授の二宮厚美さん(4月6日付)です。具体的には住居や学校、病院などの再建は、国のナショナルミニマム(責任を負う最低基準)を明らかにすること、自治体が主体的に取り組む再興プランを国が行財政両面にわたり支援するなどの考えを示しました。
 「復興はたたかい」と神戸女学院大学教授の石川康宏さん(5月17日付)はいいます。国民の幸福追求権を「国政の上で、最大の尊重を必要とする」ものと定めた憲法13条に注目。「被災者の幸福の追求を、国政は全力をあげて追求しなければなりません。全国民がそれを求めるべきです」
(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2011年5月26日付掲載



僕がブログに書いたようなコメントがされていますね。
できたら資料もつけて冊子で発行されたらいいなと思います。

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上関原発 山口県知事、「埋め立て失効」検討

2011-05-25 23:18:00 | 原子力発電・放射能汚染・自然エネルギー
上関原発 山口県知事、「埋め立て失効」検討

中国電力・上関原発建設計画 揺れる
 中国電力が山口県上関(かみのせき)町で建設をすすめる上関原発について、東京電力福島第1原発の事故後、建設中止を求める声が広がっています。山口県の二井関成知事は、建設予定地の公有水面埋め立て免許を失効させることも含めて検討していると表明し、注目されています。




 知事は5月19日、福島第1原発の事故を受け菅首相が示した国のエネルギー政策の見直しの動向を注視し、中国電力が延長申請してきた場合に県の裁量がどこまでおよぶのかを確認しながら6月22日から始まる議会で方針を示したいと語りました。
 上関原発は、中国電力が瀬戸内海の長島に33万平方メートルのうち海面を約14万平方メートル埋め立て、出力137万3千キロワットの改良沸騰水型軽水炉2基を建設する計画。1号機は2012年6月に本体工事着工し、2018年3月の運転開始を予定しています。
 県は、2008年に埋め立て免許を交付しましたが、建設反対の抗議活動や福島第1原発事故後に二井知事が中国電力に「慎重な対応」を求めたこともあり、埋め立て工事は中断しています。免許は来年10月が期限となっており、県が延長を許可しなければ免許は失効します。




 「上関原発をつくらせない山口県民の会」の吉井啓介事務局長は「福島原発の事故を見れば、中電は免許の延長申請をするべきではない。県民のいのちと暮らしを守る責任を負っている知事は、原発建設に反対すべきだ」と語りました。
 日本共産党は上関原発計画に最初から反対をかかげてきました。藤本一規県議団長は「日本共産党は3月17日に知事に対して公有水面埋め立て免許の取り消しを求めました。県の担当者は、現行法では法律違反等がなければ取り消すことはできない規定であるが、法解釈について国に照会したいと答えました。6月議会では、知事が延長を認めないよう追及していきたい」と語りました。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2011年5月25日付掲載



東日本大震災が発生する2日前の3月9日に上関原発反対の運動についてブログに書きました。
【奇跡の海を守れ! 山口・上関原発建設を許すな!】

その時は、「脱原発」の運動にはなかなか広まりが見られませんでしたが・・・。

福島第一原発の事故をうけて、世界的には脱原発の動きが広まっています。原発依存を続けてきた日本でも地方から「脱原発」の声が上がっているんですね。
二井知事は元々は原発推進の立場だったんですが、それが考えを改めているのです。
日本の政治情勢は、その根底を揺るがす方向へと変化しつつあるのですね。



同じく原発を受け入れてきた福島県の知事も、原発事故に際して、テレビ取材に3月16日、「その前に言いたいことがある。これは決して福島県のだけの問題ではない。日本全国に原発はある。福島県だけが大変だと思わないで、日本全国のことと思いを共有してほしい」、「原発の避難指示で行方不明者の捜索もできない。この思いを理解してほしい」と訴えました。
【福島第一原発 放射能漏れ被害に対応する・・・】


日本共産党が党内向けに、古典と綱領の連続教室を開催しています。
いっせい地方選挙後再開した古典教室で5月10日、不破さんがその半分を割いて『「科学の目」で原発災害を考える』と講演しました。
「しんぶん赤旗」日刊紙の5月14日付に全文が掲載され、一部マスコミでも取り上げられ「出色」と言われ注目されています。

パンフレットも発行されます。
【「科学の目」で原発災害を考える】


福島第一原発の事故は、福島県民だけでなく茨城や千葉、宮城、埼玉などの近隣の自治体に被害を広げ、塗炭の苦しみをもたらしています。
東電の責任は最後まで追求し、最後の一人まで、最後の一日まで補償させていかないといけません。

それと同時に、これを機会に自然エネルギーへの転換を本気で追求しなければいけないのではないでしょうか。
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東日本大津波発生の仕組み 深部から浅部へ滑りを誘発

2011-05-23 23:36:17 | 科学だいすき
東日本大津波発生の仕組み
深部から浅部へ滑りを誘発



 マグニチュード(M)9・0だった東日本大震災の地震は、プレート(岩板)境界の深い部分が滑って大きな揺れが生じ、浅い部分が静かに大きく滑ることで大津波が起きた可能性が高いことが分かりました。
 東京大大学院理学系研究科の井出哲准教授が米スタンフォード大と世界各地に伝わった地震波を解析し、米科学誌『サイエンス』電子版(5月19日付)に発表しました。
 この二面性は今後の地震発生パターンを予測する上で重要で、深部の滑りが浅部の滑りを誘発した可能性があるといいます。




 プレート境界で起きる地震は、海洋プレートの沈み込みにともなって蓄積したひずみが限界に達すると一気に滑って跳ね返り、地震や津波を起こすと一般的に考えられています。
 しかし、井出准教授らが大震災の地震を詳細に解析すると、①3秒の初期滑り②約40秒のプレート境界深部の滑り③約60秒の浅部の静かで大きな滑り④約90秒の深部滑り―という4段階で起きていたことがわかりました。
 このうち③では、陸側プレートがひずみを解消する分だけ滑ったのではなく、それ以上に大きく滑る「動的過剰滑り(ダイナミックオーバーシュート)」と呼ばれる現象が起き、大津波となったといいます。

東日本大震災の地震は4段階で起き、プレート境界の浅い部分の大きな滑りが大津波を引き起こした(井出哲東京大准教授提供)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2011年5月21日付掲載



プレート間で起こる地震は、阪神淡路などの内陸部の断層による地震と違って複雑な動きをするんですね。プレート深部での破壊(滑り)のエネルギーが海底付近(海溝)まで伝搬する。そこでは横方向だけでなく縦方向にも動きが解放されて海水を持ち上げて津波を起こすんですね。
岩盤を破壊するのは高周波、津波を起こすのは低周波の振動なのですね。
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東日本大震災と日本経済の課題⑰

2011-05-22 20:58:41 | 震災・災害・復興・地震&災害対策など
東日本大震災と日本経済の課題⑰

地域密着の金融再生を
金融評論家 桜田氾(ひろむ)さん


 東日本大震災によって、被災地域の金融機関は大きな被害を受けました。震災直後には、東北6県と茨城県の全2700店舗のうち1割強にのぼる280店が閉鎖されました。
 そのうち信用金庫(信金)と信用組合(信組)は、銀行などと比べ最も大きな被害を受けました。

せめてゼロから
 地域の協同組織金融機関である信金・信組は、営業地域が限定されていて狭く、小規模です。その上、主要な貸出先だった漁業や水産加工業が甚大な被害を受けました。
 被災地では、震災を機に、他の金融機関から信金・信組に預金を預け変えた人たちもいました。信金・信組は、地域と一心同体の機関として頼られ親近感を持たれているのです。
 こういう地域の復興は、大企業・大銀行中心の方策ではダメなのです。
 信金・信組の貸出先は、長期にわたる構造的不況の下で既存の借り入れ負担も小さくありませんでした。その上、今回の震災で生活手段も生産手段も破壊された貸出先も少なくありません。被災地の中小企業から、「(過去の負債の負担をなくし)せめてゼロからのスタートをさせてほしい」との声があがるのも当然といえるでしょう。
 かといって、現在の金融制度では、返済できない債権を持ち続けると、金融機関自体が持ちこたえられません。金融機関の再生と企業の再生の両方を行う必要に迫られているのです。

旧勘定凍結して
 私は、その手だてはあると思います。金融機関の帳簿上、震災で激しく傷んだ貸し付けを別勘定として切り分け、預かっておき、貸付先に新たな融資をして、新事業が軌道に乗って余裕が出てきたら、過去の借金を返すようにするという方法です。
 これは、私の創作ではありません。第2次世界大戦後、金融機関が膨大な不良債権を抱える中で、政府がとった金融措置です。当時を知る人には周知の施策でしょう。
 政府は、戦争で傷んだ旧勘定を、戦後の新たな事業のための貸し付け(新勘定)と区分して管理し、旧勘定を棚上げ・凍結しました。
 別勘定にした債権は、金融機関自身がもち続けるか、日本共産党の大門実紀史参院議員が13日の国会で提案したように、何らかの機構をつくってそこで預かってもいいでしょう。
 この支援は、あくまでも貸出先を生かし、この人たちが再出発しようと思うものにしなくてはなりません。
金融庁は5月13日、震災で資産が傷んだ金融機関が国からの資本注入を受けやすくするため、金融機能強化法を改正すると表明しました。しかし、これが地元中小企業の倒産や中小金融機関の整理再編を促進するようなものになってはなりません。
 地域に信頼され、地域企業とともに歩む組織である小規模金融機関の力が発揮されてこそ、復興は成し遂げられるのです。
(聞き手 大小島美和子)(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2011年5月21日付掲載



被災した地元の農業・漁業・中小企業を支えてきたのは地域の金融機関。その農業・漁業・中小企業が再生しないと金融機関も潰れてしまいます。
共倒れになっては元も子もありません。

「旧勘定を凍結」というのは、地元の業者が再建の希望を持てるようにするためにも、地域の金融機関の健全化のためにも有効な施策なんですね。

「東日本大震災と日本経済の課題」のシリーズは、これでとりあえず終わりです。
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