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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

新興感染症へのそなえ(下) 新たな感染症が発生した時、再び「医療崩壊」を招きかねない

2024-08-18 07:07:31 | 医療・福祉・介護問題について
新興感染症へのそなえ(下) 新たな感染症が発生した時、再び「医療崩壊」を招きかねない
「新たな感染症が発生した時、再び『医療崩壊』を招きかねない」と警鐘を鳴らす、愛知県社保協地域医療委員会委員・全医労愛知地区協議会書記長の長尾実さんに、政府が進める新興感染症行動計画について聞きました。(吉岡淳一)


愛知県社保協地域医療委員会委員・全医労愛知地区協議会書記長 長尾実さんに聞く

新型コロナ感染者が国内で確認された最初の年の2020年11月、愛知県では早くも感染者のトリアージ(治療の優先度の決定)が行われていました。当時は、医師の判断で入院の必要がない人は原則宿泊療養としていました。全国平均で見ると、コロナ陽性者のうち入院は44%、宿泊療養は24%、自宅療養は22%でした。ところが愛知県は、自宅療養者の割合が45%と突出して多かったのです。
その理由を県は明らかにしませんでしたが、背景に感染症病床が大幅に減らされたことを含む医療体制の縮小があるのは間違いありません。
国は25年の医療需要推計をもとにした「地域医療構想」で全国で15万床過剰になると予測し、大掛かりな病院・病床減らしを計画しましたが、進みませんでした。19年9月、全国の公立・公的病院424病院を名指しで再編・合理化の検証対象とするよう求め大問題になりましたが、その中に感染症指定医療機関が24病院含まれていました。判断するパラメーター(変数)に感染症の項目がなかったのです。

一般病床が不足
全国の都道府県は3月に第8次地域保健医療計画をまとめました。それを見ると14県で基準病床に対する一般病床の不足が明らかになりました。目標を満たしている都道府県でも医療圏ごとに見ると、全国330医療圏のうち103医療圏、3分の1で病床が不足しています。
今でもベッドが不足しているのに、「医療措置協定」で新興感染症のベッドを確保したら、一般医療の入院制限や早期退院を迫られることになるでしょう。新興感染症の流行のスタート時点から医療崩壊を招くのは明らかではないでしょうか。

従事者の増員を
政府は、都道府県の保健医療計画の状況を知りながら、6月の「骨太の方針」でコロナパンデミック前につくった「地域医療構想」への反省もなく推進に固執しています。
今後具体化される政府の新興感染症行動計画は、あれこれ必要だと思われることが書かれてはいますが、実践するために必要な医療スタッフの見積もりには一切触れていません。国の責任としての人材確保をスルーし、現場にだけ「訓練」し「育成」することを求めているのです。
感染症病床も一般病床も減らす政策を進めながら、次の感染症のためのベッドを確保しろというのは無理な話で、絵に描いた餅です。
コロナの教訓を生かすというなら、感染症患者受け入れの中心を担ってきた公立・公的医療の充実、感染症指定病床の増床など、抜本的な地域医療拡充計画へと転換する時ではないでしょうか。
(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年8月13日付掲載


新型コロナ感染者が国内で確認された最初の年の2020年11月、愛知県では早くも感染者のトリアージ(治療の優先度の決定)が。当時は、医師の判断で入院の必要がない人は原則宿泊療養としていました。全国平均で見ると、コロナ陽性者のうち入院は44%、宿泊療養は24%、自宅療養は22%でした。ところが愛知県は、自宅療養者の割合が45%と突出して多かった。
今でもベッドが不足しているのに、「医療措置協定」で新興感染症のベッドを確保したら、一般医療の入院制限や早期退院を迫られることになるでしょう。新興感染症の流行のスタート時点から医療崩壊を招くのは明らか。
コロナの教訓を生かすというなら、感染症患者受け入れの中心を担ってきた公立・公的医療の充実、感染症指定病床の増床など、抜本的な地域医療拡充計画へと転換する時。

新興感染症へのそなえ(上) 7150床も減らされた病床

2024-08-17 06:15:59 | 医療・福祉・介護問題について
新興感染症へのそなえ(上) 7150床も減らされた病床
新型コロナ感染の波がいまだ収まらない中、自公政権は次の感染症危機に備える行動計画を7月に閣議決定し、具体化の議論を進めています。政府は医療機関に対し、新たな感染症発生時の病床数を事前に約束させる一方、医療従事者増員の対策には触れず、医療関係者から「同じ過ちを繰り返すのか」との批判の声が出ています。
(吉岡淳一)

新型コロナでは、医師から入院が必要だと診断されても自宅や高齢者施設などに留め置かれて亡くなった人が相次ぎました。必要な人に必要な医療体制を整備するという政府の責任を果たせなかったのです。

国の責任触れず
4月施行の改定感染症法で、医療機関は都道府県と「医療措置協定」を結ぶことが定められました。9月中に協定締結を終える予定です。
同協定は、新たな感染症発生・まん延時に▽感染症向け病床数▽発熱外来設置▽自宅療養者への医療提供▽感染症以外の患者受け入れ(後方支援)▽感染症対応の医療機関への人材派遣iを事前に取り決めます。
慢性的な人手不足のもとで感染症対応の人材の「養成」「研修」を医療機関に強いる一方、医療人材「増員」への国の責任には=言も触れていません。
全国の協足締結状況(6月1日時点)は、ベッド数が目標4万5148床に対し締結数は3万6918床(82%)。発熱外来設置数は、目標4万1228機関に対し同2万2276機関(54%)にとどまっています。



感染症病床をもつ東京都内の病院

自民政治のもと
感染症対応の病床は自民党政治のもとで大幅に削減されました。
現行感染症法の前身「伝染病予防法」時の1998年に伝染病指定病床は全国に9060床ありました。99年4月に感染症法に移行し、新型コロナ発生時の2020年の感染症指定病床は1904床へと約7150床も削減されてしまいました。
厚生労働省は新型コロナ発生直後の20年3月、コロナ流行時の入院患者数・重症者数・外来受診数を推計する計算式を都道府県に通知していました。それによると入院患者数は全国22・5万人と推計され、感染症指定病床の約118倍にもなります。削減後の感染症病床では対応しきれず、一般病床にもコロナ患者を入院させる必要に迫られました。
慢性的な医療人材不足に手をこまねいてきたこととも相まって、医療崩壊は社会保障費を抑制する政府の誤った政策が招いた事態だと言わざるを得ません。
厚労省の直近のデータ(23年4月)でも感染症指定病床は1874床にとどまっています。
新型コロナの経験を踏まえたとする政府の新興感染症行動計画の具体化のためのガイドラインを審議する厚労省内の部会で、国立病院機構の委員から「新型コロナの国家としての総括がないのではないか」と疑問を呈する声が出ています。
愛知県社保協地域医療委員会委員の長尾実氏は指摘します。「新興感染症のための医療措置協定を結んでも、政府はそれを実行する人員増のことには一言も触れない。これでは絵に描いた餅だ」
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年8月12日付掲載


現行感染症法の前身「伝染病予防法」時の1998年に伝染病指定病床は全国に9060床ありました。99年4月に感染症法に移行し、新型コロナ発生時の2020年の感染症指定病床は1904床へと約7150床も削減。
厚生労働省は新型コロナ発生直後の20年3月、コロナ流行時の入院患者数・重症者数・外来受診数を推計する計算式を都道府県に通知していました。それによると入院患者数は全国22・5万人と推計され、感染症指定病床の約118倍にもなります。削減後の感染症病床では対応しきれず、一般病床にもコロナ患者を入院させる必要に。
愛知県社保協地域医療委員会委員の長尾実氏は指摘。「新興感染症のための医療措置協定を結んでも、政府はそれを実行する人員増のことには一言も触れない。これでは絵に描いた餅だ」

生活保護利用者 泣く泣く車処分 行政が一番大事なもの奪う

2023-12-03 07:00:50 | 医療・福祉・介護問題について
生活保護利用者 泣く泣く車処分 行政が一番大事なもの奪う
過疎化が進み、公共交通機関のバスが1時間に1本という地域で、泣く泣く車を手放した夫婦がいます。数年前から生活保護を利用しているこの夫婦は、行政から保有していた車を処分するよう迫られていました。支援団体は、行政が生活に必要な車を奪ったと批判しています。
(小酒井自由)




田園風景が広がる千葉県九十九里町。「困った人を支える行政になってほしい」。鈴木和子さん(69)=仮名=は、何度もその言葉を口にしました。約6年前から生活保護を利用しています。
同町に鉄道は通っていません。最寄りの駅まで行くにはバスを利用。ただ、バス停までは徒歩で約1時間かかります。道中は、草に覆われている歩道や歩道がない道路を歩かねばなりません。スーパーは、さらに遠い。
このバス停には、JR東金(とおがね)駅(東金市)行きと千葉駅(千葉市)行きのバスが止まります。各方面ともに、ほぼ1時間に1本しか来ません。午前、午後で2時間に1本という時間帯も。地域住民は、「車がないと生活できない」と言います。
肺がんを患う鈴木さんは、「少し歩けば息切れする」。がん治療で月2回、千葉市内の大学病院に通います。その他、数カ所通院しています。通院時は、近所に住む息子や姉が車で送迎してくれます。スーパーへは、友人が誘ってくれる時だけ行きます。「送迎をいつまで頼れるか分からない。車が必要だ」と訴えます。
夫婦が生活保護を利用し始めたのは、鈴木さんの心臓が急に悪くなったためです。それまで介護施設で働いていましたが、手術が必要になり、働けなくなりました。8年前に夫は自営業をたたみました。家計は鈴木さんが支えていました。



1時間に1本というバス停前で、通り過ぎる車を見つめる鈴木和子さん=11月、千葉県山武郡九十九里町(一部画像加工)

職場復帰は頓挫
国は、生活保護利用者が車を持つことを原則的に認めていません。一方で、▽公共交通機関の利用が著しく困難な場合の通勤や通院▽概(おおむ)ね6カ月以内に就労が見込まれる―など、一定の条件を満たせば保有を認めています。
九十九里町で生活保護を担当する部署は、隣接する東金市内にある同県山武健康福祉センターです。
同センターは当初、鈴木さんが職場復帰することを条件に、車の保有を認めました。しかし、復帰は頓挫します。心臓の手術後隅数カ月たってから肺がんが見つかり、また手術しなければならなかったからです。術後は回復し、職場復帰を考えていたところ、今度は夫が脳梗塞で倒れてしまいます。夫は現在、車いすを使っています。さらに、鈴木さんのがんが再発。現在に至ります。
担当のケースワーカーは、職場復帰できなくなった鈴木さんに対し、数年にわたり、車を処分するよう迫り続けたといいます。最後は、「処分しなければ保護を停止する」と告げたといいます。
鈴木さんは通院に使っていた車を2年前に処分。当時を振り返り、「思い出したくもない。ノイローゼになった」と悔しさをにじませます。
現在、鈴木さんを支援する「山武郡生活と健康を守る会」の小川征四郎会長は、「鈴木さんは、車の保有条件を満たしている」と指摘。県の対応を「暮らしの一番大事なものを奪った」と批判します。

通達の見直しを
事実関係について山武健康福祉センターは、「個別事案には回答できない」としています。
「生活保護問題対策全国会議」事務局長の小久保哲郎弁護士は、「地方に暮らす人や障害者ほど車の必要性は高く、保有を認める余地はあったはず」といいます。問題の根本に、保有条件を限定した厚生労働省の通達があると指摘。生活用品としてテレビが持てるのと同じように、「車も生活用品として扱う時代に入っています。厚労省通達を見直す必要があります」と述べています。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年12月2日付掲載


バス停までは徒歩で約1時間かかります。道中は、草に覆われている歩道や歩道がない道路を歩かねばなりません。スーパーは、さらに遠い。各方面ともに、ほぼ1時間に1本しか来ません。午前、午後で2時間に1本という時間帯も。
肺がんを患う鈴木さんは、「少し歩けば息切れする」。がん治療で月2回、千葉市内の大学病院に通います。その他、数カ所通院。通院時は、近所に住む息子や姉が車で送迎。スーパーへは、友人が誘ってくれる時だけ行きます。「送迎をいつまで頼れるか分からない。車が必要だ」と。
国は、生活保護利用者が車を持つことを原則的に認めていません。一方で、▽公共交通機関の利用が著しく困難な場合の通勤や通院▽概(おおむ)ね6カ月以内に就労が見込まれる―など、一定の条件を満たせば保有を認めています。
問題の根本に、保有条件を限定した厚生労働省の通達。生活用品としてテレビが持てるのと同じように、「車も生活用品として扱う時代に入っています。厚労省通達を見直す必要があります」
遊びに使う車ではなく、通院やお買い物に使う車なので保有を認めるべき。


医療費負担割合 マイナカードに記載なし 誤登録 気づけない 紙の保険証存続は必須

2023-08-15 04:43:47 | 医療・福祉・介護問題について
医療費負担割合 マイナカードに記載なし 誤登録 気づけない 紙の保険証存続は必須
年齢や所得により1~3割に区分される70歳以上の医療費の窓口負担割合が、紙の保険証と、マイナンバーカードなどを使ったオンライン資格確認に相違のある事例が全国各地で相次いでいます。保険証と一体になったマイナンバーカードには負担割合は書かれておらず、従来の保険証が廃止されると、オンライン資格確認に誤った情報が登録されていても分からず正されないまま保険給付が続いてしまいます。従来の保険証存続は必須です。(内藤真己子)

全国保険医団体連合会(保団連)が9日公表した「オンライン資格確認のトラブル実態調査」結果では、19都府県の370医療機関で、従来の保険証とオンライン資格の照会に負担割合の相違があったことが分かりました(回答数2780医療機関)。一つの医療機関で10件、15件発生している場合もありました。
「患者さんが出した保険証は1割負担なのにオンライン資格は2割」(岩手県)、「3割の人が(オンラインで)2割と表示が数名いる」(神奈川県)、「オンライン1割、保険証3割」(静岡県)、「保険証は1割が資格確認は2割」(山口県)など、全国に広がっています。

登録誤り認める
従来の保険証とオンライン資格確認の負担割合の相違は本紙が千葉市国民健康保険の事例を告発。報道後、千葉市はオンライン資格確認システムに誤った負担割合が登録されていたと認めました。
市が加入者の負担割合を入力した際、3割とすべきところを2割と入力。その日のうちに誤りに気づき入力し直しましたが、誤った情報を消去(無効化)しませんでした。そのため、正しい3割負担と誤った2割負担の両方の情報が都道府県国保連合会のシステム(国保情報集約システム)に送られました。
ところが国保連のシステムは、プログラムに従って誤った2割負担の情報を正しいものとして処理し、登録してしまいました。その情報がオンライン資格確認システムにも送られました。
一方、千葉市が発行した保険証には正しい負担割合が記載されています。
重大なことは、保険証が廃止されれば、こうしたオンライン資格確認への誤った負担割合の登録が、医療機関の窓口で発見できなくなってしまうことです。保険証と一体化したマイナンバーカードには負担割合は書かれておらず、医療機関はオンライン資格確認の負担割合に沿って窓口負担を徴収し、残りを保険請求することになるからです。



患者負担割合が記された高齢受給者証とセットになった国民健康保険証(画像の一部を加工)

運用停止求める
そのうえ本紙の取材で、いったん誤った情報が登録されてしまえば、医療機関による診療報酬の請求や国保連による審査支払いのどの過程でも誤りが発見されないことが分かりました。負担割合などの確認は、オンライン資格確認に登録された情報と照合する仕組みになっているからです。
こうした事態をうけ全国保団連の住江憲勇会長は9日の会見で、「全容解明のための運用停止と保険証の存続」を強く求めました。


情報一元化が誤りうむ
マイナンバー問題に詳しい自治体情報政策研究所代表の黒田充さんの話
岸田政権が進めるデジタル改革の狙いは、国民の個人情報を集約し、大企業のもうけや、社会保障給付の削減に利活用することです。保険証を廃止し、国民全員にマイナンバーカードを持たせようとするのも、そうした利活用を進めるためです。
日本の医療保険制度は、健保組合や協会けんぽなど多数の保険者によって業務が行われています。自治体の国保も、それぞれが持つ情報処理システムで業務を行っていますが、システムは自治体ごとに異なります。保険者が多数あり、システムもバラバラなもと、情報を集め一元化しようとするなら、誤りを避けるのは難しいでしょう。
国保や後期高齢者医療の患者負担割合は、行政が被保険者の年齢や所得に応じて決定する行政処分であり重いものです。それが一元化のための情報処理・連携によって誤って登録されるというのは制度の根幹を揺るがす重大な問題です。
しかも保険証が廃止さ れれば誰も誤りに気付け、ないというのは極めて深刻です。保険証廃止方針は撤回するしかありません。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年8月13日付掲載


「患者さんが出した保険証は1割負担なのにオンライン資格は2割」(岩手県)、「3割の人が(オンラインで)2割と表示が数名いる」(神奈川県)、「オンライン1割、保険証3割」(静岡県)、「保険証は1割が資格確認は2割」(山口県)など、全国に。まさに、支離滅裂ですね。
重大なことは、保険証が廃止されれば、こうしたオンライン資格確認への誤った負担割合の登録が、医療機関の窓口で発見できなくなってしまうこと。
岸田政権が進めるデジタル改革の狙いは、国民の個人情報を集約し、大企業のもうけや、社会保障給付の削減に利活用すること。しかし、健保組合、協会けんぽ、国民健康保険など別々のシステムを一元化するってことに無理がある。
集約した個人情報に誤りがあったら、何のためのデジタル化ってことにもなる。

改定マイナンバー法 問題山積 命名権も侵害か 戸籍に「振り仮名」混乱の火種

2023-06-04 07:07:18 | 医療・福祉・介護問題について
改定マイナンバー法 問題山積 命名権も侵害か 戸籍に「振り仮名」混乱の火種
参院で成立した改定マイナンバー法には、保険証を廃止しマイナンバーカードを強要する問題のほかに、デジタル化推進を名目に戸籍への「氏名の振り仮名」を追加する戸籍法の改定が盛り込まれています。施行後1年で、国民すべての振り仮名を収集するという一大事業。マイナンバーカードをめぐるミスが続出するなか、さらなる混乱の火種になりかねません。
現在、戸籍の氏名には振り仮名は記載されていません。マイナンバーカードは戸籍情報を個人認証の基盤としており、振り仮名が追加されれば、マイナンバーカードの活用拡大にもつながります。
改定法では、戸籍の記載事項に「氏名の振り仮名」を追加します。氏名の振り仮名はコ般的に認められているもの」でなければならないとし、詳細は、法務省の通達などで示されます。
今後生まれてくる子の名は、行政が「一般的な読み方」であるかどうか審査することになります。氏名は個人の人格を象徴するもので、行政による審査は、命名権の侵害に当たりかねません。



保険証廃止法撤回求め声を上げる人たち=5月29日、衆院議員会館前

「ご入力避けられぬ」
すでに戸籍に入っている人は、改定法の施行後1年以内に、振り仮名を本籍地の市区町村に届けることができます。1年以内に届け出がなかった場合、本籍地の市区町村は住民票などの情報を参考に、戸籍に記載する振り仮名を本人に通知。それを変更したければ家庭裁判所の許可なく変更の届け出ができます。
ただし、「あらかじめ通知することが困難である場合は、この限りではない」としており、確実に本人に通知が届くとは限りません。また、通知を見逃すなど、現に使っている読み方とは異なる振り仮名が記載される可能性は否定できません。
全国民の戸籍に氏名の振り仮名を付けるという膨大な作業の中で、誤入力などのミスも懸念されます。実務を国から押し付けられる自治体の職員からは「膨大な数の振り仮名を短期間で戸籍に入力するなんてむちゃだ。誤入力は避けられない」と憤りの声があがります。
実際、医療機関では保険証の資格確認をオンラインで行う際に、保険証に記載された振り仮名と、オンライン上のデータの振り仮名が異なっていたという問題が起きでいます。「ヨと「ョ」、「ユ」と「ュ」という違いでも、健康保険情報が,「不一致」となってしまうのです。誤入力によって同様のトラブルが、銀行口座開設時の本人確認でも生じる恐れがあります。
デジタル化を名目として無理な作業を現場に押し付ければ、さらなるトラブルになりかねません。
改定戸籍法は公布から2年以内に施行されます。
(森糸信)


「10割負担」解決策なし
宮本徹氏 「保険証廃止は中止を」 衆院特別委

日本共産党の宮本徹議員は2日の衆院地域・こども・デジタル特別委員会で、健康保険証を廃止すれば、マイナ保険証による医療現場のトラブルはさらに深刻になると指摘し、「健康保険証の廃止は中止すべきだ」と迫りました。
宮本氏は、保団連の調査で、ICチップが壊れるなど本人の資格確認ができず、窓口で10割負担を求めた例が393件にのぼると指摘し、「保険料を納め、マイナ保険証を提示しているのに、さまざまな不備によって、窓口10割負担を求められるようなことはあってはならない」と迫りました。



質問する宮本徹議員=6月2日、衆院地デジ・厚労連合審査

加藤勝信厚生労働相は「弾力的に3割等の自己負担に合わせた対応が取られるよう、いま医療の関係者の方と調整をさせてもらっている」と述べました。
宮本氏は、健康保険法と規則では資格が明らかでない人は10割負担としており、医療現場からは初診の患者に未収金を覚悟で3割負担はできないと声が出ていると指摘。加藤厚労相は「そうした懸念の声があることも承知していることも踏まえ、具体的なやり方を調整させていただきたい」と述べるだけで、具体的な解決策を示しませんでした。
宮本氏は、健康保険証を廃止した場合、資格確認書の申請がない人への職権での発行は自治体の大きな負担になり、修学旅行などで健康保険証のコピーの代わりに資格確認書を持っていく場合、申請の子育て世代にも自治体にも大きな負担になると指摘。社会のさまざまな面で不便をもたらす健康保険証廃止は中止すべきだと強く求めました。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年6月3日付掲載


戸籍上の氏名の読み方。今後生まれてくる子の名は、行政が「一般的な読み方」であるかどうか審査することに。
近年、個性的な命名が増えてきています。それをすべてチェックして入力。マイナ保険証にもふりがな。土台無理なこと。
さらにマイナ保険証のICチップの不備で10割負担なんて論外だ。