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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

加速する宇宙軍拡② 国境なき空間 情報収集

2023-02-28 07:04:23 | 平和・憲法・歴史問題について
加速する宇宙軍拡② 国境なき空間 情報収集
2月3日、東京ビッグサイトで開催された「2023国際宇宙産業展」(日刊工業新聞社主催)の会場に、高市早苗宇宙政策担当相の姿がありました。
「宇宙システムというのが経済や社会を支える基盤であると同時に経済安全保障を含む安全保障の観点からも重要性を増している」と述べ、「今年の夏をめどに宇宙の安全保障構想を策定いたします。そして民生分野や科学、探査分野も含めまして3年ぶりに宇宙基本計画を改定して宇宙政策を一層強化していく予定」と発言しました。宇宙領域の軍事利用が急ピッチで進められています。



国際宇宙産業展であいさつする高市早苗宇宙政策担当相=2月3日、東京ビッグサイト

「安全保障基盤」
防衛省が2020年2月、ある資料を公表しました。「防衛省の宇宙分野における取組」と題したこの冊子には、宇宙の軍事利用について次のように指摘していました。
「宇宙空間は国境の概念がなく、人工衛星を活用すれば、地球上のあらゆる地域の情報収集や通信、測位などが可能となるため、安全保障の基盤として死活的に重要な役割を果たしており、各国は宇宙空間を軍事作戦の基盤として利用」
国境のない宇宙空間では、平和的な国際協力こそ求められるものの、軍事利用が進めば、平和と安全が危険にさらされてしまいます。
22年4月、自民党が公表した「安全保障における宇宙利用について」は、「わが国を取り巻く脅威に対応するためには、最新の宇宙技術を適切に活用して警戒・監視能力、指揮・通信能力を強化することが必須」と明記。他国に対する監視システムを強化することを提起しました。さらに「ミサイル防衛のための宇宙システムを早急に整備する」ことを防衛省に求めました。

監視衛星の計画
防衛省は、23年度予算案に、宇宙関連予算として1844億円(契約ベース)を計上しました。22年度予算の2・3倍です。この中には、音速の5倍以上で飛ぶ極超音速滑空ミサイルを探知・追尾する技術開発のための経費として46億円(契約ベース)が盛り込まれています。さらに防衛省は、26年度までに宇宙状況の監視衛星の打ち上げを計画しています。宇宙作戦の運用基盤を強化するため、宇宙作戦指揮統制システムの整備にも注力しています。
22年4月の自民党の提言は、「国家宇宙安全保障戦略(仮称)」を策定することを提起しました。この戦略に盛り込む課題として「脅威対象や戦略目標、戦略的アプローチ、必要となる宇宙システム等を明記」することを挙げています。さらに、「同盟国・友好国にわが国の意思を明確に伝え、防衛力強化のための宇宙の活用を迅速かつ効果的に進める」ことを強調しました。
岸田文雄首相は昨年12月、「安保3文書」を閣議決定。航空自衛隊を改編して航空宇宙自衛隊にするなど宇宙軍拡が加速しています。
(おわり)(金子豊弘が担当しました)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年2月23日付掲載


最新の宇宙技術を活用して、警戒・監視能力、指揮・通信能力を強化。さらに、ミサイル防衛のための宇宙システムを早急に整備する、と。
23年度予算案には、音速の5倍以上で飛ぶ極超音速滑空ミサイルを探知・追尾する技術開発のための経費として46億円(契約ベース)が。
こちら側で、音速5倍のミサイル配備する計画に備えてってことでしょうか。まさにいたちごっこです。
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加速する宇宙軍拡① 日米連携・協力のなか

2023-02-27 07:21:33 | 平和・憲法・歴史問題について
加速する宇宙軍拡① 日米連携・協力のなか
岸田文雄内閣が閣議決定した「安保3文書」は、「宇宙の安全保障分野での対応能力を強化する」ことが強調されました。宇宙領域の軍事利用が急速に進んでいます。

1月17日、2024年度中に打ち上げられる予定の日本の準天頂衛星に搭載する米軍の観測機器が横田基地に到着しました。
この観測機器は、宇宙領域認識のための光学センサーで、運用者は米国防総省です。新型の「H3ロケット」で打ち上げる予定です。当初の計画では今年中に打ち上げられることになっていました。「H3ロケット」は、試験機の打ち上げが2月17日に「中止」に。米軍の観測機器の打ち上げの計画も延びています。



東京・横田基地に到着した日本の準天頂衛星に積み込む米宇宙軍の貨物=1月17日(米国防総省映像情報配信サービスDVIDS)

米宇宙軍と覚書
米軍の観測機器を日本の衛星に搭載して打ち上げることは、19年4月19日に開催された日米安全保障協議委員会(2プラス2)で確認されていたことでした。
翌20年8月27日、ジョン・レイモンド米宇宙軍作戦部長(宇宙軍大将)が安倍晋三元首相を表敬訪問。この席で、安倍元首相が「日米同盟の抑止力・対処力の強化に向け、宇宙分野をはじめ、連携と協力を深めたい」と意欲を示していました。
そして20年12月、日本の宇宙開発戦略推進事務局と米宇宙軍による覚書調印によって正式に決定しました。

「回答は控える」
この観測機器の目的はどのようなものでしょうか。
担当する内閣府は「スペースデブリ(宇宙ゴミ)の増加をはじめとする宇宙空間の混雑化による衛星衝突などのリスクに対応し、宇宙空間の安定利用を確保する観点から、スペースデブリなどの宇宙物体を宇宙空間から観測するためのもの」と言います。
では収集した情報は、どのように利用されるのでしょうか。これについては、内閣府は「外交上のやり取りにかかわることであることから、回答は差し控える」としています。
宇宙を「戦闘領域」と位置付ける米国は、宇宙軍の創設など宇宙の軍事利用を進めています。今回の観測機器の打ち上げにより、米軍にとっては、アジア周辺地域での宇宙領域把握機能を強化することが狙いとみられます。
日米が一体となった敵基地攻撃を行うには、標的の正確な位置の把握が必要です。情報収集、通信、測位の機能は宇宙空間から提供されることになります。宇宙領域での「脅威」を監視する対策も課題となっています。
(つづく)(2回連載です)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年2月22日付掲載


1月17日、2024年度中に打ち上げられる予定の日本の準天頂衛星に搭載する米軍の観測機器が横田基地に到着。
この観測機器は、宇宙領域認識のための光学センサーで、運用者は米国防総省。
名目は、スペースデブリ(宇宙ゴミ)の観測ってことですが、本音は、アジア周辺地域での宇宙領域把握機能を強化することが狙いってことでしょうか。
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粉飾された賃金抑制策⑤ 社会的責任とらせる春闘に

2023-02-26 07:13:36 | 働く権利・賃金・雇用問題について
粉飾された賃金抑制策⑤ 社会的責任とらせる春闘に
日本福祉大学名誉教授 大木一訓さん

ここで問題になるのが、経団連の社会的責任の問題である。筆者の知る限り、労働組合が賃上げ闘争を組織しようとするたびに、経営者団体が意見表明し、それを「報告」にまとめて全国津々浦々の企業経営者のもとに届けて意見統一をはかる、といった事業が行われている国は世界中どこにもない。
わが国の労働法制でも、言論の自由があるとはいえ、使用者の意見表明が組合の自主的な運営や方針決定を損なうような影響をあたえる場合、それは支配介入の不当労働行為とみなされる。直接的な労使関係をもたない経団連ではあるが、「経済界・企業」の代表を自認する以上、広い意味での使用者責任を担っており、その活動が支配介入の違法行為となる危険も少なくないはずである。経団連会館へのデモ隊の増加はそれを裏付けていると見てよいであろう。中小企業経営への介入や政党政治への介入問題もある。われわれは日本の民主主義との関連で、経団連のはたしている役割とその社会的責任について集中的に明らかにする必要がある。

生活状態に触れず
以上、経団連の2023「報告」の検討から浮かび上がってくるのは、経団連が21世紀における大企業の社会的責任について、おどろくほど無自覚だということである。地球環境問題は、経済団体の関わる問題ではないという認識からか、何も出てこない。日本資本主義が直面する死活的困難についてもまったく関心がないかのようである。
女性問題は取り上げているが、「持続的な成長の実現」のために必要なかぎりでのことである。国連「ビジネスと人権に関する指導原則」の問題は外国人労働者への対応に関連してわずかに顔を出すだけで、21世紀の企業がすべての労働者の人権を守るうえで担っている大きな社会的責任については一言もない。
そして何より気になるのは、賃上げについての「報告」であるにもかかわらず、労働者・住民の生活状態については一言もふれていないことである。「報告」作成に参加した46人の財界人はいったいどんな生活をしているのだろうか。

暮らし守る賃上げ
とまれ。ないものねだりはやめよう。賃上げを求める国民的要求の高まりのもとで、経団連は春闘をたたかう労働者たちに一つの「贈り物」を差し出した。経団連が「賃上げは経済界・企業の社会的責務である」と言明したのである。暮らしを守る賃上げにウソやごまかしは許されない。この言明に社会的責任をとらせる必要がある。
(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年2月25日付掲載


経団連の2023「報告」の検討から浮かび上がってくるのは、経団連が21世紀における大企業の社会的責任について、おどろくほど無自覚だということ。地球環境問題は、経済団体の関わる問題ではないという認識からか、何も出てこない。日本資本主義が直面する死活的困難についてもまったく関心がないかのよう。
そして何より気になるのは、賃上げについての「報告」であるにもかかわらず、労働者・住民の生活状態については一言もふれていないこと。
経済界・企業は労働者の賃金を上げる責務がある。
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粉飾された賃金抑制策「経労委報告」を読む④ 問われる経団連の介入

2023-02-24 07:10:44 | 働く権利・賃金・雇用問題について
粉飾された賃金抑制策「経労委報告」を読む④ 問われる経団連の介入
日本福祉大学名誉教授 大木一訓さん

「報告」は、春闘はもはや過去のものになったと見ている。連合の「2023春季生活闘争方針」を見ても「基本的な考え方や方向性、問題意識」など多くが経団連のそれと一致している、今日の「春闘」は、「経営のパートナー」となった労働組合と経営側との話し合いの場になっている、そうした実態を「世の中に正しく理解して」もらいたい、と「報告」はいう。
そこで最近の大企業労働組合の「実態」を見てみると、そこでは①組合員の職場討議や要求集約が行われない②労働者の要求にもとつく団体交渉が消失して、組合活動の大半が生産性向上などの経営課題についての協議によって占められる③賃上げの要求内容や妥結結果が対外的にも組合員に対してさえも隠蔽(いんぺい)される④産業別の統一した要求や運動から離脱して企業別の活動に終始する―等々の動向が見られる。



「物価高騰からくらし守ろう」「すべての労働者の賃上げを」と訴える全労連の人たち=2月15日、東京・有楽町イトシア前

労使関係を空洞化
大企業組合の変質はたしかに進んでいるようである。変質する労働組合をさらに企業の翼賛団体へと転換させることをめざしてか、「報告」は新たに労使委員会や労使協議会などの場を設定し、年間をつうじて労使で議論していくことも提唱している。
だが、春闘は消失したであろうか。大企業組合などにみる深刻な実態をわれわれは直視し、さらに調査研究しなければならないが、しかし連合傘下でもなお春闘をたたかっている組合があること、国民春闘共闘に結集する諸組合が例年にも増してエネルギッシュなたたかいを展開している事実を見失ってはなるまい。「春闘終焉(しゅうえん)」はプロパガンダである。
ところで「報告」は、「春闘の終焉」や労働組合の翼賛化だけではまだ満足しない。労働者という言葉を避けて「働き手」と言い、「闘争」「団体交渉」という用語を封印して「交渉・協議」という言い方に固執するなど、「労働者」も対立的な「労使関係」も存在しない日本社会の実現を目指している。憲法や労働法で保障されてきた労使関係を空洞化させ、事実上否定する動きに出ているのである。

軍国主義の再来か
経団連はこうした政策を、政府の掲げる「新しい資本主義」と軌を一にする「サスティナブルな資本主義」の実践として位置づけ取り組んでいく、という。そこで組織される労使協調に「未来への協創」という新語をあてているが、どんなに言葉を飾ろうと、その本質が職場労働者に対する大資本の専制支配強化に導くものであることは明らかである。敗戦後、侵略への加担と国民に対する強権支配の廉(かど)で戦争責任を問われ、真摯(しんし)な反省をしたはずの財界であるが、経団連はいままた狂気の軍国主義化をすすめる岸田内閣と一緒になって、同じ道を歩もうというのであろうか。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年2月23日付掲載


「報告」は、「春闘の終焉」や労働組合の翼賛化だけではまだ満足しない。労働者という言葉を避けて「働き手」と言い、「闘争」「団体交渉」という用語を封印して「交渉・協議」という言い方に固執するなど、「労働者」も対立的な「労使関係」も存在しない日本社会の実現を目指している。憲法や労働法で保障されてきた労使関係を空洞化させ、事実上否定する動きに出ている。
「サスティナブル(持続可能)な資本主義」といっても、中身は労使協調で現場労働者への資本家の専制支配そのもの。
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粉飾された賃金抑制策「経労委報告」を読む③ 財界が望む「労働移動」

2023-02-23 07:08:44 | 働く権利・賃金・雇用問題について
粉飾された賃金抑制策「経労委報告」を読む③ 財界が望む「労働移動」
日本福祉大学名誉教授 大木一訓さん
第四に注目されるのは、「報告」が「エンゲージメント」向上とむすびつけて、「円滑な労働移動」の実現を提唱していることである。

非現実的な言い分
具体的には、①日常的なコンサルタントとの面談、副業・兼業の経験、出向の実施などを通じ、主体的なキャリア形成意識の醸成をすすめる②社内での異動や転職も「一層適した魅力的な仕事に就くための機会」として前向きに捉えるようにさせる③転職など社外への労働移動も自身のキャリアとして主体的に考え、自らの職業能力の再開発・再教育をつうじて再就職の可能性を高めるようにする④こうして離職・転職などの労働移動に対する意識を社会全体で肯定的なものに変えていく―といった政策である。
「報告」はいう。「従業員には『エンゲージメント』を高めながら能力を最大限発揮してもらうことで生産性向上にもつながる」「成長産業・分野等への円滑な労働移動をつうじて、わが国全体の生産性を高めていく」と。
非現実的かつ身勝手な言い分である。「円滑な移動」というが、誰にとって「円滑」だというのか。
詳論の余裕はないが、経団連は、不当な差別や解雇にどれほど多くの労働者が傷つき苦しんでいるかを知るべきである。また、わが国の雇用セーフティーネットが「失業予防、雇用維持策として十分に機能し」ているなどという幻想を拡散すべきではない。21世紀にふさわしい公的な職業技術教育の必要さえ提起しえない経団連に、労働移動がわが国の生産性を高めるなどと、どうして言えるのだろうか。




強権的体質強まる
「報告」の「エンゲージメント」や労働移動の政策は、戦前以来わが国の財界がもつ、労働者に対して抑圧的かつ強権的な体質が、経済停滞と円安の危機のもとで再び強められようとしていることを示している。
それらの政策が強行されるなら、日本の産業の中にわずかに残されている、自由な発想と創造への自発的な意欲は押しつぶされ、民衆は経済再生どころか出口のない経済破綻にながく苦しむことになろう。
しかし、たとえそうなっても、巨大企業の覇権と高収益を確保していくことはできる、と考えているのではなかろうか。不況下に①莫大(ばくだい)な内部留保・株主配当の積み増し②低賃金のまん延―を両立させる点で、日本資本主義は傑出しているからである。
とはいえ、民衆の不満が高まるなかで、今後とも内外巨大企業の利権追求が許されるかどうか―その有力な鍵を握るのが労働組合の動向だ、と経団連は考えているのであろう。「報告」は、日本ではいまや労働組合の解体がすすみつつあると見て、その翼賛化に「未来」を見いだしているのである。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年2月22日付掲載


「円滑な移動」というが、誰にとって「円滑」だというのか。
要するに、生産を縮小したい業種から拡大したい業種への労働者の移動だ。新しい業種に飛ばされて、ついてこれない労働者は振り落とされる。
そこまで自己責任が追及されるってことになる。
いつまでも、巨大企業の利潤追求の好き勝手にさせておくわけには行かないではないではないでしょうか。


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