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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

経済政策総点検 骨太方針と成長戦略 ③ 大企業支援 経済安保を表看板に

2024-07-23 07:16:08 | 予算・税金・消費税・社会保障など
経済政策総点検 骨太方針と成長戦略 ③ 大企業支援 経済安保を表看板に

この30年間、大企業が利益優先でコストカットに奔走した結果、設備投資も賃金も増えず、日本は国際的にも稀有(けう)な「成長できない国」に転落しました。大企業は自らリスクをとって新事業を開拓するという企業なら当たり前のことを忌避し、経団連は、「(国家が)新規分野等への積極的な投資や取り組みを促すことが重要」(提言「産業技術立国への再挑戦」2022年10月11日) などと政府依存を恥ずかしげもなく公言しています。
岸田文雄政権の成長戦略(「新しい資本主義実行計画」)はこうした要求を丸のみし、大企業への桁違いの補助金投入と減税を進めるものです。
既に先端半導体メーカー、台湾積体電路製造(TSMC)の熊本県での工場建設に1兆2000億円余の補助金投入を決めています。また、最先端半導体の国産化をめざすラピダスの北海道での工場建設には1兆円規模の補助金を投入します。



TSMCがソニーと共同出資したJasmの工場=3月、熊本県菊陽町(小林久美子党町議撮影)

リスクを国民に
ラピダスにはトヨタ自動車、ソフトバンクなどの大企業8社が名を連ねながら出資額はわずか73億円のみ。さらに骨太方針はラピダスへの金融機関の融資に政府保証を行う内容の法案を検討するとの方向を示しています。高いリスクを国民に肩代わりさせる狙いです。
こうした大企業支援の表看板が「経済安全保障」です。成長戦略は半導体投資に関して「成長けん引領域」という定義を持ち出しました。
「成長けん引領域」はラピダスと米国企業などとの連携への支援で、日米首脳会談(22年5月23日)や第2回日米経済政策協議委員会(経済版2プラス2、23年11月14日)が「同盟国や有志国」での最先端半導体の開発協力と利用拡大を確認したことの具体化です。半導体産業を「経済安全保障」と直結させて日米同盟にいっそう組み込む狙いです。
桁違いなのは補助金だけではありません。5月に成立した改定「産業競争力強化法(産競法)」に盛り込まれた「戦略分野国内生産促進税制」は電気自動車1台当たり40万円、半導体1枚当たり1・6万円など、製品を作れば作るほど法人税が減税される異例の税制です。対象となるのは名だたる大企業ばかりです。さらに骨太方針は、このうち「GX分野に該当する物資」について予算・税制で支援する法案を来年の通常国会に提出するとしています。

破綻済みの政策
岸田政権は「新しい資本主義」とうそぶきますが、一握りの大企業への支援は自民党政権が続けてきて破綻した政策です。1999年の「産業活力再生特別措置法(産活法)」では「三つの過剰」(債務・設備・雇用)の解消を掲げ、大企業のリストラを支援しました。さらに産競法で規制緩和や優遇税制を推し進めた結果、大企業は巨額の内部留保を蓄積した一方、国内には貧困と格差拡大がもたらされました。
今年4月19日の衆院経済産業委員会で日本共産党の笠井亮議員が「産競法を推し進めた結果が今日の失われた30年ではないか」と転換を迫っても、斎藤健経産椙は「国内投資促進策を強力に講じていく」などと大企業支援一本やりの姿勢に終始しました。
自民党は大企業からの企業・団体献金を受け取り続けています。5月30日の参院経産委で日本共産党の岩渕友議員は自民党の国民政治協会への過去10年間の企業献金額を示して、「献金と政策が関係ないとはいえない」と追及し、企業・団体献金の禁止を求めました。
経済停滞をもたらした反省もなく、大企業からの献金の見返りに、破綻した"大企業のための成長戦略"に固執するのが岸田政権の「新しい資本主義」なのです。(日本共産党国会議員団事務局中平智之)(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年7月20日付掲載


岸田文雄政権の成長戦略(「新しい資本主義実行計画」)はこうした要求を丸のみし、大企業への桁違いの補助金投入と減税を進める。
既に先端半導体メーカー、台湾積体電路製造(TSMC)の熊本県での工場建設に1兆2000億円余の補助金投入。また、最先端半導体の国産化をめざすラピダスの北海道での工場建設には1兆円規模の補助金を投入。
桁違いなのは補助金だけではありません。5月に成立した改定「産業競争力強化法(産競法)」に盛り込まれた「戦略分野国内生産促進税制」は電気自動車1台当たり40万円、半導体1枚当たり1・6万円など、製品を作れば作るほど法人税が減税される異例の税制。

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