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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

検証 財界主導の大学改革② 公費負担による無償化こそ

2024-07-04 07:17:38 | 政治・社会問題について
検証 財界主導の大学改革② 公費負担による無償化こそ

自民党の教育・人材力強化調査会の提言(5月23日)は、「人への投資」の拡充を強調し、「教育コストの増加を踏まえて、国立大学の授業料の適正化」を求めています。その狙いは、文部科学省の中央教育審議会が今年度中に出す高等教育の在り方に関する答申で新自由主義的な「受益者負担主義」を強め、国立大学の授業料を値上げし、私立大学の学費値上げを誘導することにあります。

学費値上げ限界
しかし学費値上げは限界に達し、国民世論はむしろ教育無償化を求めています。政府の「こども未来戦略」(2023年12月22日閣議決定)が強調しているように、夫婦が理想のこども数を持たない理由で最も高いのは「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」です。「日経」アンケートでも、少子化対策の1位は「大学までの学費無償化」でした(6月6日付電子版)。
自民党の提言は、「我が国は、人口減少問題という最大の課題に直面している」として少子化対策を強調しているのに、授業料の無償化は、“授業料を家計負担から公費負担としているにすぎない”とし、家計負担が異常に重くなっていることを不問にして教育無償化を否定しています。
そもそも「受益者負担」といって、学生に教育費を負担させる道理はありません。教育を受けることは、憲法で保障された国民の権利であって、憲法は教育を「個人的な投資」とはとらえていません。学生は、教育を受けることによって人格を完成させ、人間として全面的に発達する可能性を得ることができます。だからこそ、教育は社会権の重要な一つとして、国民に保障されているのです。この権利を保障することは、社会全体に利益をもたらします。欧州では、社会人が仕事から離れて大学で学ぶことは、社会全体の利益をもたらすので、教育費を公費で負担する無償教育が当たり前になっています。




私学支援強化を
今、日本で求められているのは、大学生の8割近くを擁する私大が果たす公共的役割にふさわしく、私学への国の支援を抜本的に強め、私学の学費を下げることです。学生の学ぶ権利を保障する高等教育機関としては、国立と私立に差異はありません。私大にも国公立大と同様に公費を支出する「公費負担」の原則を確立すべきです。
同時に、無償化に向かうためには、私学助成を増額するとともに、国立大の学費を下げ、私大の学費値下げを誘導する必要があります。国が直接大学の学費を決められるのは国立大の入学料・授業料の標準額だけだからです。東京大学など国立大の学費値上げは、国民が求める教育無償化への逆行であり、なんとしても回避しなければなりません。
自民党は提言で、26年度から授業料後払い制度の本格導入をめざすとしました。後払い制は、卒業後に所得に応じて授業料を支払うもので、「受益者負担主義」にもとついています。入学するときに負担感がなく学費値上げが容易になります。英国では後払い制の導入と同時に授業料が値上げされました。授業料の支払いが結婚、子育て期に重なるため「少子化対策」としても逆行しています。
日本政府は、12年に国際人権規約の高等教育の漸進的無償化条項の留保を撤回し、国際社会に対して高等教育を段階的に無償化すると公約しました。中教審は、今こそ「受益者負担主義」の誤りを認め、高等教育の段階的無償化の実現を盛り込むべきです。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年7月3日付掲載


しかし学費値上げは限界に達し、国民世論はむしろ教育無償化を求めています。政府の「こども未来戦略」(2023年12月22日閣議決定)が強調しているように、夫婦が理想のこども数を持たない理由で最も高いのは「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」。「日経」アンケートでも、少子化対策の1位は「大学までの学費無償化」。
今、日本で求められているのは、大学生の8割近くを擁する私大が果たす公共的役割にふさわしく、私学への国の支援を抜本的に強め、私学の学費を下げることです。学生の学ぶ権利を保障する高等教育機関としては、国立と私立に差異はありません。私大にも国公立大と同様に公費を支出する「公費負担」の原則を確立すべき。

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