2016年01月13日
ウラヂオストク発
[外国資本問題でダリモレプロドクトの操業許可が停止する]
ロシア最大級の漁業会社の一つ“Дальморепродукт”(ダリモレプロドクト)の船団のオホーツク海における今年2016年の操業許可がロシア漁業庁地域管理局から発給されていない。
ダリモレプロドクトの船団は昨年2015年12月下旬、ウラヂオストクへ帰港したまま係船状態となっている。
同社はスケトウダラ7万トン、ニシン4万トンの年間漁獲割当の権利を有していた。
操業許可が発給されていない理由として、漁業者が外国資本によって支配されていることが指摘されている。
先にロシア漁業庁は水棲生物資源を漁獲するための申請手続きおよびその様式について、漁業者が外国資本に支配されていないかを確認する目的でこれを変更すると発表していた。
2014年1月、ダリモレプロドクトの株式をシンガポール企業DVS-R PTE.LTD社が72%以上を取得したとロシア水産業界紙が伝えた経緯にある。
シンガポール企業が最も大きな株式を買った相手は、極東漁業界で最もコネクションを利用して影響力のある人物の一人、ドミトリー・ドレムリュガで43.29%、これに、その他からの取得株29.39%を合わせ、この時、実質的な経営権を握ったとされている。
(関連過去情報)
2014年01月21日 モスクワ発
[ダリモレプロドクトの主要株主がシンガポール企業となる]
ロシア水産業界紙は、ホールディングカンパニー“Дальморепродукт”(ダリモレプロドクト)の株式をシンガポール企業DVS-R PTE.LTD社が72%以上を取得したと伝えた。
シンガポール企業が最も大きな株式を買った相手は、極東漁業界で最もコネクションを利用して影響力のある人物の一人、ドミトリー・ドレムリュガで43.29%、これに、その他からの取得株29.39%を合わせ、実質的な経営権を握ったことになる。
(報告担当者 原口聖二: 既報の“中国企業パシフィックアンデス操業”“韓国合弁操業” で問題となっている外国人による漁業分野への投資の手続きに関する指摘は原文にない。)
2013年11月21日 ウラヂオストク発
[ダリモレプロドクトは長かった破産手続きを終えることになる]
ホールディングカンパニー“Дальморепродукт”(ダリモレプロドクト)の倒産整理開始から10年が経ち、いよいよ、その手続きを終えることとなる。
先週(2013年11月10日からの週)、年末に外部管理を終える同社の代表として、デニス・ドレムリュガ(Денис ДРЕМЛЮГА *報告担当者 原口聖二: 極東漁業界で最もコネクションを利用して影響力のある人物の一人、ドミトリー・ドレムリュガ Дмитрий ДРЕМЛЮГА ロシア極東漁業者連合代表との関係についての情報は現在持ち合わせていない)を選出した。
通常、倒産処理は1年から2年で完了するが、約10年間、そのままの状態が続き、今年2013年12月末まで、完了が延長されていた。
手続きの完了とともに、“新会社ダリモレプロドクト”がスタートすることになる。
“ダリモレプロドクト”の船団は、2008年に、スケトウダラ5万2,000トン、ニシン1万2,000トン等の大型漁獲割当を、向こう10年間配分されている。
2013年08月15日 ウラヂオストク発
[ダリモレプロドクトは所属母船を手放すことになる]
“Дальморепродукт”(ダリモレプロドクト)社の倒産整理開始から10年が経ち、保持してきた漁獲枠は手放さざるを得なく、所属母船はスクラップ向けに売却されることになるだろう。
この判断は、老朽化による修繕費の問題等、現在の管理運営者の判断によるものとされる。
スクラップ向けに売却が計画されているのは”Содружество”(ソドルジェストヴァ)で、ウラヂオストクを根拠にしており、2万6,000トンクラス、カニやその他の水産物、魚卵を缶詰にする等、多様な加工が可能で、乗組員は260名に及ぶ。
しかし、この整理で乗組員260名は、職業を失うことになるだろう。
”Содружество”にはエピソードがある。
2010年12月30日、他の9隻の船とともに、サハリン湾で氷に閉じ込められ、極東海運会社FESCOが手配した砕氷船等の救助を受け、翌年の2011年1月31日、ようやく脱出を完了した。
情報によると、この脱出のための救助費用は500万ドルとされる。
同様のタイプの母船は、1988年から1989年にかけ、フィンランドの造船所で3隻建造された。
それは、この”Содружество”ПЗ-2301、Петр Житников”(ペテル・ジチニコフ) ПЗ-2302、そして”Всеволод Сибирцев”(フセヴォロド・シビルツェフ) ПЗ-2303だ。
この内、”Всеволод Сибирцев”は、2011年12月以降、ギリシャ登記の会社が、リベリア船籍、船名を*”HAINAN BAOSHA 001”にして管理運航している。
このことから、現在、ロシアにこのクラスの母船は、Содружество”の他に、やはり同社所属の”Петр Житников”しか存在しない。
(*報告担当者 原口: ”HAINAN BAOSHA 001”は、昨年2012年から中国漁業に投入されており、衛星情報によると、2013年8月15日、シンガポール沖合に位置している。)
2012年05月07日
台湾発
[中国は南シナ海に大型加工母船”HAINAN BAOSHA 001”を配備する]
中国は、近隣諸国との間で領土紛争が激化する中、南シナ海の漁船団へ大型加工母船”HAINAN BAOSHA 001”を投入して、支援体制を強化する。
”HAINAN BAOSHA 001”は3万2,000トンクラス、世界に存在する大型加工母船4隻の内の一つで、14の製品加工ラインが設備され、水産物を1日あたり2,100トンまで処理する能力をもち、600名の乗組員を収容できる。
これまで、中国の漁船団は、漁獲物処理設備が不足していて、漁場に長く滞在することができなかったが、 ”HAINAN BAOSHA 001”の投入で、最大9ヶ月間、漁船団は漁場にとどまり、操業を継続することが可能になる。