2019年08月10日
北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二
[英国の合意なきEU離脱 漁場で人命が危機にさらされる]
”No-deal Brexit”「英国の合意なきEU離脱」により海で人命が危機にさらされる可能性が高まっていると英国インデペンデント紙が伝えた。
英国の国際漁業法の第一人者は、”Brexit”「英国のEU離脱」に対処しないと、英国とEUの漁業者の間で、漁場において経済的紛争を招き、深刻な暴力が発生する”本物のリスク”があると考えている 。
ハル大学教授 Richard Barnes は、歴史的な主張、実在する認知された不公平な扱い、法的権利に関する明確性の欠如が漁業紛争を招くと指摘している。
英国の主要な漁業団体の代表者も、今後の潜在的な問題について警告している。
10m未満の小型漁船団体の代表Jeremy Percyは、国際法の解釈の違いにより、フランスや他のEU漁船が支持されることを危惧している。
英国が禁じても、英国のEU離脱後も英国海域で漁業を継続する可能性があるからだ。
交渉が行われず、結果として漁業合意が行われない場合、Jeremy Percyは、英国の漁船と、伝統的に英国海域で漁業を行っていたヨーロッパ大陸の漁船が衝突すると懸念している。
実際に約1年前にも英国海峡でホタテをめぐる深刻な衝突があった。
2018年8月下旬、ホタテ戦争は、ノルマンディー沿岸で行われ、35隻のフランス漁船と5隻の英国漁船が衝突、ロケットフレア、ガソリン弾、石、金属物などの投げ込みが行われた。
幸い、負傷者はいなかったが、英国漁船3隻、フランス漁船3隻が損傷した。
先月(2019年7月)、フランス農業大臣Didier Guillaumeは、英国の合意なき離脱の場合でも、英国の海域で漁業を継続すると表明した。
英国が合意なき離脱をした場合、EU共通漁業政策(現在は大陸国と英国の双方の漁業者が互いの海域で操業することが許可されている)が適用されなくなるが、これを放置するということは、単に英国の海域での漁業が、すべての海事に関する主要な国際機関である国連海洋法条約(Unclos)によって主に管理されることだけを意味する。
問題は、英国の領土および排他的経済水域のすべての海域を適切に監視するのに十分な巡視船と漁業保護船がない一方で、漁業管理は事実上、主に国際交渉とその水域での合意に依存していることだ。
これらのことからRichard Barnesは、英国政府がEU離脱により英国海域の支配権を取り戻すことを公約したものの、実際には、実現不可能な約束だと考えている。