2020年05月29日
北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[拘束が求められているアレッグ・カンが海外からインタァヴューにこたえる]
2010年にウラヂオストクで殺害された同業他者ワレリイ・プヒデンコ事件への関与、カニ製品輸出の際の脱税の疑いがあり、拘束が求められている、漁業会社モネロンとクリリスキー・ユニヴァサリヌイ・コンプレクスの創業者アレッグ・カンが、海外からヴェドモスチ紙のインタァヴューにこたえた。
現在、東南アジアの某国に滞在しているとした。
アレッグ・カンは、刑事事件となっている自身へのロシア調査委員会の捜査、訴えは公正なものではないと主張、一連の出来事が、オリガルヒ(新興財閥)ゲナジー・チムチェンコの義理の息子グレブ・フランクとの対立の後に始まったと言及した。
スケトウダラを年間30万トン以上生産するロシア漁業最大手“”ルスカヤ・ルイボァプロムシェレンナヤ・カンパニヤ”(「ロシア漁業会社」)は、昨年2019年、系列企業”ルスキー・クラブ”(「ロシアのカニ」)が出資する子会社を通じてカニ漁獲割当オークションに参加、極東海域の上場落札ロットの約4割を獲得し、大規模進出を果たした。
「ロシア漁業会社」は2011年、”ルスコエモーレ・ダブイチャ”(「ロシアの海:生産」後に社名変更)として、石油トレーダーで大統領プーチンの盟友ゲナジー・チムチェンコ、現国防大臣ショイグが非常事態大臣を務めていた時代の同第1副大臣だったユーリ・ヴォロビヨフの息子マキシム・ヴォロビヨフ、そして1998年から2004年まで運輸大臣だったセルゲイ・フランクの息子グレブ・フランク(ゲナジー・チムチェンコの義理の息子でもある)により設立された。
2018年2月には、主要株主だったマキシム・ヴォロビヨフが、それをグレブ・フランクに譲渡、現在、支配的主要株主はグレブ・フランクとなっている。
アレッグ・カンは、背景のすべてがカニの漁獲割当配分に関する闘争だと指摘した。
オークション導入にあたり、アレッグ・カンは、戦略的パートナーを求めるグレブ・フランクと、韓国、中国、そしてロシアで約10回ほど会合、双方の事業の売買について話し合ったが、これが破談になったことを機に、アレッグ・カンを追い込む一連のメディアを利用したプロパガンダ、不公正な捜査等が始まったと言及した。
これらのことから、アレッグ・カンはオークションに全面的に参加することが出来ず、漁獲割当のシェアを縮小せざるを得ないこととなった。
またアレッグ・カンは、2020年3月、元大統領候補・女優でテレビ番組のキャスターを務めるなど、マルチな成功者となったクセーナ・ソブチャクに、グループ企業が株式の40%を売却した件について話した。
アレッグ・カンは現在、現役を退いているが、自身の息子、過去の同僚がモネロンとクリリスキー・ユニヴァサリヌイ・コンプレクスを管理している。
国営石油会社ロスネフチの元副代表イーゴリ・ソグラエフが、カニ事業に参加することをクセーナ・ソブチャクに提案、彼女はこれに興味をもったとし、売り手としても、著名なジャーナリストでもある彼女が、当該事業が合法で透明性があること、さらには社会福祉に貢献する事業を行っていること等を広く正確に伝えるためにプラスになると考えたと加えた。
しかし、現在、裁判所の決定により、企業資産は差し押さえ状態で、契約による財産の移転は保留されている。
なお、グレブ・フランクは、メディア等への圧力については、これを否定している。