2021年05月01日
北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[第30回ロ韓漁業委員会合意内容]
第30回ロシア・韓国漁業委員会が2021年4月27日-29日、通信を利用して開催され、交渉が妥結した。
ロシア側代表をロシア漁業庁長官シェスタコフ、韓国側代表を韓国海洋水産部水産政策室長キム・ジュンソクが務めた。
今年2021年の韓国漁船のためのロシアEEZでの漁獲割当は4万1,260トンで、前年比マイナス5,440トンとなる。
魚種別漁獲割当(括弧内前年)と有償単価(全て前年同)は次のとおり。
スケトウダラ 2万8,400トン(2万8,800トン)-400トン 375.0ドル/トン
マダラ 5,050トン(4,880トン)+170トン 436.2ドル/トン
サンマ 3,000トン(7,500トン)-4,500トン 106.0ドル/トン
イカ 4,000トン(4,700トン)-700トン 110.0ドル/トン
その他 810トン(820トン)-10トン ニシン110.0ドル/トン エイ173.0ドル/トン フグ90.0/トン
計 4万1,260トン(4万6,700トン)-5,440トン
操業隻数と期間
スケトウダラ操業 北洋トロール漁船3隻 5月16日-12月31日
マダラ操業 北洋延縄漁船2隻 5月1日-12月31日
サンマ操業 サンマ棒受漁船10隻 7月15日-11月20日
イカ操業 沖合イカ釣り漁船60隻 6月1日-11月30日
計 4漁業種 75隻
近年の総漁獲割当の推移
(’18)4万50トン→(’19)4万2,470トン→(’20)4万6,700トン→(’21)4万1,260トン
韓国業界は、新型コロナウイルス(CV19)拡散防止対策、近年の低調な漁獲実績等を考慮し、今年2021年の漁獲割当を消化可能なレヴェルまで下げることを要望していた。
有償単価は全7魚種すべて、3年連続で据え置きとなった。
ロシア側は、スケトウダラ漁船への通訳の乗船、イカ釣り漁船への電子検量機器の設備等の義務付けを要求したが、CV19による韓国業界の困窮等を考慮し、今回は適用を猶予することで合意された。
このほか、今回の漁業委員会が、ロシア側の事情で、昨年より遅く開催され、韓国漁船の操業準備に支障をきたす可能性があることから、事前の漁船位置システム発信テスト、許可申請手続きの円滑化等が確認された。
2021年04月30日
北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[ロシア漁業庁 第30回ロ韓漁業員会の完了を発表]
記念となった第30回ロシア・韓国漁業委員会を完了したと2021年4月30日、ロシア漁業庁が発表した。
ロシア側代表をロシア漁業庁長官シェスタコフ、韓国側代表を韓国海洋水産部水産政策室長キム・ジュンソクが務めた。
双方は、漁業、科学研究、資源保護・管理等、様々な分野の協力、IUU漁業(密漁密輸)防止の取り組み、ロシア極東への投資プロジェクトの実行状況を確認した。
また双方は、2020年の韓国漁船によるロシアEEZでの操業結果について情報を交換し、今年2021年の操業にあたっては、当該船主、船長が、外国人漁業のためのロシアの法令規則を遵守する必要があることを指摘した。
シェスタコフは、新型コロナウイルス(CV19)拡散防止対策のための作業調整の必要性を指摘、韓国側はロシアEEZ操業前に韓国漁船の乗組員の役割リストとCV19にかかるPCR検査結果を
ロシアへ通報することとなった。
ロシア側は”南極の海洋生物資源の保存に関する委員会”CCAMLR海域でオキアミ漁業を再開する意思があり、ロシアでの4つセクションによるモジュラー造船でのオキアミ漁船の建造プロジェクトへの参加について韓国海洋機器協会と協議を開始したことを紹介、韓国側はこの進捗を支持した。
ロシア側はIUU漁業防止に関する協力の結果を高く評価しており、韓国側は自国の港でのロシア船の漁獲物の陸揚げと検査に関する信頼できる情報を提供していることを指摘した。
また韓国側は、ロシア産のカニと同様に、輸入されたエビの合法性を確認するための国内手続きが完了したと通報、取り扱いの速度を上げるために、ロシア側はエビの種とその製品のラテン語名、およびТНВЭД(HS)コードに関する情報を速やかに通報することとした。
2009年12月22日付IUU漁業防止協定に基づき、ロシアは、2020年、韓国に輸入された活、冷蔵、および冷凍のカニ、その他の製品の原産地の合法性を確認する1,146件の証明書を発給、認定されていないカニ製品の荷降ろしの事例は確認されなかった。
双方は、さらに、第三国の船舶からのロシア産のカニの陸揚げ等に関する情報を交換することに合意した。
また、ロシア側は、韓国の輸入されるロシア起源のすべての種類の水棲生物資源の原産地の合法性の認証システムを導入することを提案した。
韓国側は、ロシアのエビとその製品の原産地証明書を発行するシステムの導入を完了した後、この問題を検討する旨回答した。
CV19パンデミックにもかかわらず、双方は、科学技術協力の計画が首尾よく完了した。
ロシアと韓国は、無脊椎動物と藻類の水産養殖の分野における協力拡大の問題について詳細に議論し、無脊椎動物、魚類、哺乳類に関する共同研究を継続することに合意した。
会議の結び、シェスタコフは、2021年7月6日から同8日に開催される第4回国際漁業フォーラムと同年9月2日から同4日まで行われる第6回東方経済フォーラムに、韓国側代表団を招待すると表明、韓国側の参加の希望を確認したが、最終的な決定はCV19の状況を考慮して行われることとなった。