ロシア漁業ニュースヘッドライン

北海道機船漁業協同組合連合会
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一般社団法人北洋開発協会

韓国ムン・ジェイン政権の漁業交渉能力 対ロ対日漁業委員会

2021-05-04 11:02:18 | 日記

2021年05月03日

北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二

[韓国ムン・ジェイン政権の漁業交渉能力 対ロ対日漁業委員会]

ムン・ジェイン政権になり、周辺国との漁業分野の交渉組織力が弱体化、漁業者が損害を被っているという懸念が広がっている。

韓国一般紙がリポートした。

2021年5月3日、韓国海洋水産部によると、同年4月27-29日に開かれた第30回韓国・ロシア漁業委員会で、今年の漁業交渉が妥結した。

今年、韓国漁船のロシア排他的経済水域(EEZ)での漁獲割当量は4万1,260トンとなった。

昨年より5,440トン減少した。

スケトウダラ2万8,400トン、マダラ5,050トン、イカ4,000トンなどである。

新型コロナウイルス(CV19)拡散防止対策に加え、近年の漁獲実績が低調であり、業界が漁獲割当縮小を要求したというのが海洋水産部の説明となっている。

漁獲割当の有償単価は、スケトウダラがり375ドル/トンで決まるなど全7魚種すべてが3年連続で据え置きされた。

 一部では、スケトウダラについては、有償単価を下げる機会があったとの指摘がある。

スケトウダラ価格は、ロシア現地はもちろん、国内流通価格も低下傾向が続いている。

卸売価格が低下したにもかかわらず、漁獲割当単価は据え置きで、業界としては、生産性、収益性が悪化するのは明白だ。

韓国農水産食品流通公社(aT)流通動向によると、2021年4月30日の冷凍スケトウダラの平均卸売価格は20㎏当たり4万2,900ウォンだが、前年同期は、5万3,000ウォンで、2割近く下落している。

また、直近3年間の当該製品卸売価格を見ると、2020年9月以降、価格下落が続いている。

(報告担当者 原口聖二;2019年3月の韓国のスケトウダラの平均卸売価格は20㎏当たり3万6,600ルーブルだったので、この論拠だけでは、2020年の韓国の漁業交渉は成功したことになる。)

スケトウダラは、ロシア現地価格も暴落している。

ロシア産水産物の包材等からCV19が検出され、2020年秋から、最大輸入国である中国が検疫を強化し、輸入を制限しているからだ。

中国に売れない製品在庫がかさむ一方の中、スケトウダラの漁獲は継続され価格が急落、今年3月初めの極東スケトウダラ製品の卸売価格は68ルーブル/kgで、1年前の100ルーブル/kgを上回っていた状況に比べて30%以上価格が下落している。

スケトウダラ国際価格が全体的な下落を示す状況で、今回の有償単価据え置きはロシア側に有利に交渉が行われたと見ることができる。

これに対して海洋水産部関係者は「ロシア側は、有償料収入が国家財政に入るので、この値上げを要求してきた」とし「(韓ロ漁業交渉は)韓国側が一方的に不利な立場にもかかわらず据え置きできた」としている。

海洋水産部水産政策室長キム・ジュンソクは「今年、ロシア側が大きなコストがかかる操業条件を求め合意が難ずかしい状況だった」とし「これまで両国が培ってきた友好協力関係をもとに、韓国業界の立場を積極的に説明して満足できる成果を引き出した」と述べている。

韓日漁業交渉はよりひどい。

2016年から交渉が漂流して5年目だが、両国間のこれといった交渉は進展がない状況となっている。

海洋水産部関係者は、「(韓日漁業交渉は)デッドロック」とし「2019年からの直接的対面会議はなく書簡のやりとりだけで接触している」と説明した。

韓国側は、会って協議を行うことを提案しているが、日本側は韓国側の立場に変化がなければ協議は行わないとの立場を貫いていると伝えられている。

争点は、大きく2点で、韓国のタチウオ延縄漁船の日本EEZでの操業隻数削減と東海韓日中間水域での交互操業区域の拡大が問題となっている。

韓国側はタチウオ延縄漁船について、2015年の第16回韓日漁業委員会で両国が合意した減船規模が交渉の基準にならなければならないという立場をとっている。

東海交互操業については魚種・漁場等の議論について、異なる個々の事情が内在していることが分かっている。

両国に劇的な変化がない限り、今後も交渉が遅々として進まないという見通しが支配的な現状となっている。

 

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