ロシア漁業ニュースヘッドライン

北海道機船漁業協同組合連合会
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一般社団法人北洋開発協会

スケトウダラ資源 個体重量情報管理の提言に関する課題等

2021-05-12 12:37:14 | 日記

 

2021年05月12日

北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二

[スケトウダラ資源 個体重量情報管理の提言に関する課題等]

ロシア漁業最大手“ルスカヤ・ルイボァプロムシェレンナヤ・カンパニヤ「ロシア漁業会社」(Русскаярыбопромышленнаякомпания:代表グレブ・フランク*著名な新興財閥“オリガルヒ”)が会員となる”ロシア漁船船主協会”は、スケトウダラ資源保護・管理と合理的利用を目的に、漁獲後の計量時の個体重量のモニターの義務付けをロシア農業省に提案、2021年9月1日に発効する極東漁業規則に盛り込むことを求めたが、これに対する課題等が内在している点をロシア経済紙“カメルサント”が伝えた。

商業対象とならないスケトウダラの幼魚は、漁業規則に対応するため、一部、海中投棄されている現実があると伝えられている。

沿海地方大手”ドブロフロート”(Доброфлот)グループ代表エフレモフは、”ロシア漁船船主協会”の主張は正しいが、現実的にこの計量に対応する技術的能力があるのは”ロシア漁業会社”の所属船1隻のみで、当該措置を導入した場合、生産は中断され、現存の200隻以上の漁獲割当の開発を危機に晒すことになると指摘、業界関係者が実現可能となるタイミングが重要だとしている。

また、”ロシアスケトウダラ漁業者協会”会長ブグラクは、漁業規則において、幼魚の混獲の海中投棄は禁止されていると指摘、混獲の問題は、漁具の選択性を高めることによってのみ解決されると語った。

ブグラクは、2002年以来、極東海域でのスケトウダラ操業には、幼魚を選別し、逃がす中層トロール網が使用されており、これにより、幼魚の混獲は30%-50%低減が可能となっていると加えた。

ロシア漁業庁は、”ロシア漁船船主協会”の提言は本質的に正しいとするものの、各漁船の漁具の仕立ては異なり、現在のトロール網の漁獲量を計量するための単一のアルゴリズムはないと指摘、非商業対象魚(34cm以下)の漁獲の取扱いを変更する場合、TAC設定手順全体を変更しなくてはならない大きな問題が発生するとし、現在、スケトウダラの資源は増加傾向を示していて、これまでの資源管理、システムの有効性の表れだと、これを説明している。

なお、このほか、環境保護団体は、ロシア漁業においてスケトウダラの幼魚が海中投棄されていると強調した上で、船内へのカメラの設置、オブザーバ制度の導入等も提言している。

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