2024年02月18日
リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[米国アラスカ水産業界 歴史的国際市場低迷 本当の意味で衰退の年になる可能性がある]
米国大手、漁業・水産加工業“トライデント・シーフーズ”(Trident Seafoods)社、“ピーターパン・シーフード”(Peter Pan Seafood)社、そして“OBIシーフーズ”(OBI Seafoods)社が、今年2024年漁期に向け、施設の一時的閉鎖、売却の計画を発表している。
この3社は、いずれも、これらの理由について、同様に歴史的国際市場の低迷に関し言及している。
業界紙のジャーナリストは、昨年2023年のスケトウダラ製品の価格下落、サケマス漁業からの原料調達コストの負担問題を指摘している。
特にスケトウダラ製品の価格下落によって、取引意欲は低下し、利益率の高かったギンダラでさえ、加工業者は原料調達にアクセスしなかった。
これは、漁業者へ支払われる原料調達価格と製品加工販売卸売価格の双方の下落を招き、双方の業界にリスクが高まり、損失を被った状態となっていることを示している。
こうなった原因のほとんどは世界市場の状況に帰着する。
インフレとパンデミックは消費者の支出習慣を根本的に変え、同時に漁業者や加工業者の経営コストを上昇させた。
高金利も加工業者に特に大きな打撃を与えている。
中国との貿易条件も変化しており、米ドル高により、伝統的に大きな買い手である日本のような市場において、アラスカ産水産物製品を販売することが困難になっている。
市場においてロシアの水産物生産量が大きな注目を集め、存在感が増していることもある。
今後の大きな関心は、アラスカの水産業が近いうちに回復する兆候はあるのかということになるが、この業界紙のジャーナリストの取材では、地元関係者はまだどん底には達しておらず、今年2024年が、本当の意味において衰退する年になると考えているように受け止めたとリポートしている。