2024年02月27日
北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[繰り返えされるオークション また不成立 利用者がでない深海カニ資源利用契約切れ対象漁獲割当]
ロシア漁業庁は、利用者がでない深海カニ資源利用契約切れ対象漁獲割当のオークションを繰り返しており、今回、2024年2月28日に設定したが、参加申請期限となっていた同年2月26日までに応札希望者がなく、またも不成立となった。
資源利用契約が終了した深海カニの残枠4ロットを対象とするカニ漁獲割当オークション第1弾の追加として、前回、2023年12月19日、当該オークションが実施される予定だったが、参加申込期限までに応札申請者がなく、不成立となっていた。
それより先の2023年11月22日にも、当該オークションが実施される予定だったが、同様に応札申請者がなく、やはり、不成立となっていた。
上場が発表されたのは、沿海地方海域と西サハリン海域のベニズワイガニ、北部オホーツク海域と東サハリン海域のトゲズワイガニ、それぞれTACの16.666%、計4ロットだった。
規則では、再オークションの場合、スタート・プライスを下げて上場することが可能となっている。
前回、ロシア漁業庁はこれを利用せず、前々回と同じ5億717万7,000ルーブルとしていたが、今回は4億5,650万ルーブルに下げ、インセンティブを与えていたが、この結果となった。
オークションの漁獲割当落札者にはロシア国内造船所において全長50m以上のカニ漁船の建造が義務付けされることとなっている。
オークションが設定された背景には、沿海地方のテフィダ(Тефида)社が、“国防•安全保障戦略産業に対する外国人投資手続法” (外国人投資法)に抵触し、ロシア漁業庁から資源利用契約が打ち切られ、残枠が発生した。
2020年10月30日に開催された当該第1弾のオークションで、テフィダ(Тефида)社が深海ガニ4ロットに応札申請、他に応札者がなく、規則に基づき、スタート・プライスでこれらを獲得していた。
しかし、2022年3月、ロシア独占禁止庁が、同社が米国資本により不当に管理されていると認定、その後、訴訟判決結果等、一連の経緯を受け、ロシア漁業庁は、2023年7月、資源利用契約を打ち切った経緯がある。
ロシアでは2022年10月7日付連邦法No.389-FZで、外国人投資法が改正され、漁業活動への外国人資本参加が完全事前承認制となっており、これは漁獲割当配分を受ける漁労事業ばかりでなく、加工、積替え、荷揚、輸送、保管等、漁業活動にかかるすべてを対象としている。
これより先の2021年7月にも、やはり“外国人投資法”の改正が行われており、漁業分野の外国人資本参加の事前承認の義務付け上限を、50%から25%とする規制強化がなされていた。
なお、テフィダ”社は、オークションの停止を含め、不服として、当該措置を無効とするよう訴えを続けているが、モスクワ仲裁裁判所が2024年1月にもこれを退ける判決を下している。