2024年04月15日
北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二
[#80 洋上風力発電と漁業 海外の経験 欧州 レポ”風力発電の美辞麗句と現実“せたな町2基とも停止]
日本での先行する欧米の洋上風力発電の漁業分野との共栄、相乗効果等の成功体験は、ほとんどが開発事業者による切り抜き発信で、実際に漁業分野の情報にアクセスしていくと様々な問題が報告されている。
世界中の漁業者は共通に、洋上風力発電プロジェクトについて、自らが知らない間に選定地が決まって唐突に説明会が始まり、漁業当局に十分なヒアリングを行うことなく、他の部局が主導する地方自治体の前傾姿勢による拙速な取り組みが行われ、事業開発者から漁業分野の科学的知見を理解しようとしない姿勢を感じていると指摘している。
一方、新型コロナウイルスのパンデミックを発端とするサプライチェーンの混乱は、ウクライナ紛争で一段と深刻化しており、輸送コストや原材料費の高騰、金利の上昇、そして、インフレにより、風力発電事業者の利益が圧迫され、内容が悪化しており、このような環境で、漁業分野を含め満足な補償等に対応がなされるのか、はなはだ疑問な状況が伝えられている。
2014年4月14日付“朝日DIGITAL”(日浦統様)は、稼働から20年を迎えた北海道せたな町の日本初の洋上風車「風海鳥」が当月、稼働開始から20年を迎えたが、耐用年数を超え、2基とも故障し、停止中だと伝えた。
1基は部品を交換して再稼働する計画だが、もう1基の修理は難しく、「取り壊すしかない」(高橋貞光町長)とのことだ。
近年、風力発電は住民への悪影響を減らすため、陸上から洋上へとシフトが進んでいる中、北海道がその「最適地」として期待が高いものの、将来の解体廃棄という難題が見えてきたと報告している。
英国の再生可能エネルギー財団“Renewable Energy Foundation”は、2020年11月、レポート“風力発電の経済-レトリック(美辞麗句)と現実”を発表している。
洋上風力発電プロジェクトのコストの予測は、押しなべて規模の拡大と経験効果によって、設置容量の増加にともない平均コストが低下すると説明されているが、現実には、容量が増加するたびに発電コストは上昇しており、その重要な要因の一つに、予想以上に早期に多発する故障にあると指摘している。
2020年08月19日 北海道新聞様から転載
[折れた羽根 修理中 せたな町「風海鳥」 国内初の洋上風車]
檜山管内せたな町は、ブレード(羽根)の破損で2018年12月から運用を停止している国内初の洋上風車「風海鳥(かざみどり)」2号機を修理している。
風車は瀬棚港の沖合約700メートルにそびえ、支柱の高さは約40メートル。
04年、旧瀬棚町が2基設置し、運営。
長さ約23メートルのブレード3枚のうち、1枚の先端部分約1メートルが折れた。
落雷が原因とみられ、安全面から停止した。
町は、デンマークの製造元ベスタス社の関連会社から部品と作業員2人を手配。
7月下旬、失ったブレードの先端部分を接合する作業に着手した。