2024年08月20日
日刊水産経済新聞【札幌】
[イカ情報 韓国、24年度スルメイカTAC2割減 西岸側が半分近く]
北海道機船連によると、韓国海洋水産部はこのほど、2024年度(24年7月~25年6月)のスルメイカの漁獲可能量(TAC)を設定した。試験操業枠を含めた総計は、前年TAC比22%減の6万3091トンとなった。
韓国での近年のスルメイカのTAC消化率は2~5割にとどまっているため、24年度の減枠の影響は限定的。
23年度もTAC約8万1000トンに対し、実際の漁獲は2万500トン、TAC消化率は25%にとどまった。
24年度のTACは07年度の制導入以降最少となった。
最少更新は2年連続。
漁業種別にみると、主力の沖合漁業はいずれも前年から26%削減され、沖合イカ釣り1万7435トン、大型トロール1万3621トン、東海中型トロール8172トン、大型まき網2724トン、西海トロール8172トンとなった。
沖合漁業の合計は5万124トン。
近海網は23%減の4359トン、試験枠の西南海区中型トロールは唯一前年より増え、26%増の2608トンとなった。
韓国では近年、西岸側(黄海)での漁獲が増えており、西岸側を漁場とする大型トロール、西海トロール、西南海区中型トロール、近海網(主漁場が西岸側)のTACを合算すると、全体のほぼ半分、46%に達する。
道機船連の原口聖二常務は、日本の科学研究機関がこれまで韓国のスルメイカ漁獲に占める黄海での漁獲比率(2017~2022年)を1%未満~19%と推定し、23年度から冬季発生系群の資源評価のための情報から除外したことを指摘。
実際には黄海での漁獲比率は17年度以降、4割から23年は8割に達したとの推計を示し、この情報を無視することで資源評価の正確性が損なわれると、問題提起している。