2024年11月13日
北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二
[#105 洋上風力発電と漁業 海外の経験 独/西 タービン・メーカ S.ガメサ 通期2,850億円の損失計上]
①洋上風力発電が本当にCO2削減に貢献するのか、②洋上風力発電事業自体が再エネ賦課金だのみの不採算事業であり漁業分野を含め満足な補償等に対応がなされるのか、③政府が責任をもったMSP(海洋空間計画)を設定すべきではないのか、④政府がベースラインをしっかり作るような漁業影響調査を指導すべきではないのか。
日本での先行する欧米の洋上風力発電の漁業分野との共栄、相乗効果等の成功体験は、ほとんどが開発事業者による切り抜き発信で、実際に漁業分野の情報にアクセスしていくと様々な問題が報告されている。
世界中の漁業者は共通に、洋上風力発電プロジェクトについて、自らが知らない間に選定地が決まって唐突に説明会が始まり、漁業当局に十分なヒアリングを行うことなく、他の部局が主導する地方自治体の前傾姿勢による拙速な取り組みが行われ、事業開発者から漁業分野の科学的知見を理解しようとしない姿勢を感じていると指摘している。
一方、新型コロナウイルスのパンデミックを発端とするサプライチェーンの混乱は、ウクライナ紛争で一段と深刻化しており、輸送コストや原材料費の高騰、金利の上昇、そして、インフレにより、風力発電事業者の利益が圧迫され、内容が悪化しており、このような環境で、漁業分野を含め満足な補償等に対応がなされるのか、はなはだ疑問な状況が伝えられている。
スペインの風力タービン・メーカのシーメンス・ガメサ(Siemens Gamesa)社が、陸上風力タービンの品質問題に関連したコスト増加、ならびに洋上風力部門における製品コストの上昇と立ち上げの課題に直面し、年次会計年度2023年10月から2024年9月末までの12カ月間通期で17億3,400万ユーロ(2,850億円)の損失を計上したと“WIND POWER MONTHLY”が伝えている。
ガメサは、2023年1月から、ドイツ・バイエルン州ミュンヘンに本拠を置く、エネルギー企業シーメンス・エナジー(Siemens Energy AG)社の一部門となっており、風力タービンの供給、風力発電所の開発・管理・販売を行っている。
次は、“WIND POWER MONTHLY”の原文となる。
Wind turbine maker Siemens Gamesa posts €1.7 billion full-year loss
By Craig Richard, 13 November 2024
Siemens Gamesa recorded a €1.7 billion loss in its full financial year after facing higher costs related to quality issues with its onshore wind turbines, as well as increased product costs and ramp-up challenges in its offshore segment.