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2024年12月11日
リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[ロシア独占禁止庁 韓国合弁スケトウダラ漁業にメスを入れる]
2000年代初めからこれまで韓国の冷凍スケトウダラ市場は、韓国漁業会社がロシアと合弁企業(資本:ロシア51%以上/韓国49%以下)を設立、漁船をロシアにリフラッキングさせ、ロシアEEZの漁獲割当をロシア漁船として確保、製品を輸入する際、免税特権(非課税)を受ける所謂”合弁操業”が約20万トンと、韓ロ政府間協定に基づく韓国フラッグでのロシアEEZにおける”GG操業”(3隻)の2万トン-2万5,000トンで構成されてきた。
ロシア独占禁止庁は、前者、合弁操業について2023年5月-6月、”国防・安全保障戦略産業に対する外国人投資手続法”(外国人投資法)に基づき調査を行い、今年2024年11月、8社が外国人資本の支配下にあると認定する結論を発表した。
外国人資本により不正に行われる漁業、水棲生物資源の漁獲割当は強制的に停止させられることになる。
当該8社は次のとおりとされている。
“オリオン”(Орион)、“ダリトランス・フロート”(Дальтрансфлот)、“シリウス” (Сириус)、“ヤンタール”(Янтарь)、“ハブルイバ”(Хабрыба)、“ミッコル”(Миккор)、“アリナイ”(Аринай)。
ロシア独占禁止庁は、2012年、ロシア漁業会社を実質支配し、ロシア海域のスケトウダラの漁獲枠を管理しているとされた中国企業“パシフィックアンデス” (PacificAndes International Holdings)を追い詰め、これを排除した。
同社が株主向けに、多数のロシア極東漁業会社を実質管理して、ロシア海域のスケトウダラの60%を支配している旨の報告をしたことに端を発した。
ロシア独占禁止庁は、執拗な調査活動と強硬な訴えにより、“パシフィックアンデス”に対し外国投資政府委員会によるロシア漁業資産の売却命令の決定が下されるまでに至らしめた。
ロシア独占禁止庁は、“パシフィックアンデス”の極東における活動は合法的ではないと指摘、中国同社は違法に取得したロシア漁業資産を売却し、ロシアから退去しなければならないと主張した。
また、ロシアにおいて漁業は戦略的産業分野に位置付けられていて、法律の下では、外国投資管理のための政府委員会の承認を受けてのみ、その投資活動が許されるが、この時点において同社はその許可を得ておらず、また、ロシア政府も同社によるロシア漁船等資産購入のための許可を与えていないと指摘した。
一方、その後、大統領プーチンの盟友とされるオリガルヒのチムチェンコらが主要株主だったロシア水産投資企業グループ“ルスコエモーレ”「ロシアの海」(Русское море)の"ルスコエモーレダブイチャ(Русское море добыча:現「ロシア漁業会社」)が、“パシフィックアンデス”が関与していたとされる“トウルニフ”(ТУРНИФ)、“イントラロス”(Интрарос)、“ヴォストークルイブプロム”(Востокрыбпром)“ソフガバニルイバ”(Совгаваньрыба)、"バルトスタルホールデイング"(Балтстар холдинг)、"マリックス"(Маликс)等を、低くなった資産価値で次々と買収、2013年に、ロシア海域スケトウダラの最大のクオータ・ホルダーとなったことから、一つのデザインされた行動だったのではないかとの分析もされるところとなった。