2025年02月15日
北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[ロシア 北部海域(バレンツ海)カニ漁獲割当オークション第2弾 第4回目 3/5ロット資源利用契約へ]
ロシア漁業庁は、2022年に用意された後、開催が延期されていた北部海域(バレンツ海)カニ漁獲割当オークション第2弾の実施を試み、第1回目を2024年11月13日に設定するも応札申請がなく不成立、スタート・プライスを下げ、第2回目を2024年11月28日に設定したが同様に失敗に終わったことを受け、これをさらに引き下げ第3回目を年明け2025年1月23日に設定したものの、やはり、受付期限の1月20日までに応札申請がなく不成立となった。
これを受け、同庁はスタート・プライスを更に引下げ、第4回目を2025年2月18日に実施すると発表、参加申請受付期限は同じ14日までとなっていた。
当該申請を期限までに、それぞれムルマンスクの“ポリャルヌイ・ロソスィ”(Полярный лосось)社が2ロット、“アークチスキー・ロソスィ”(Арктический лосось)社1ロット、計3ロットを提出、他に応札申請がなく、規則に従い無競争、スタート・プライス93億ルーブルで資源利用契約されることになった。
上場されたのは向う15年間のタラバガニ漁獲割当5ロットで、3ロットは全長50m以上のカニ漁船建造、2ロットは大規模物流複合施設建設のそれぞれ付帯プロジェクトの実行が義務付けされていた。
スタート・プライスは第1回目の128億ルーブル、第2回目の115億ルーブル、第3回目は104億ルーブル、そして今回が93億ルーブルだった。
今回、資源利用契約された3ロットの対象はいずれも漁船建造プロジェクトで、大規模物流複合施設建設プロジェクトの2ロットが残った形となる。
2019年の第1弾では、バレンツ海のタラバガニTAC設定の50%、5ロットが上場され、スタート・プライスが44億ルーブル、落札者は、計308億ルーブルを支払うこととなった。
また、同様に漁船建造プロジェクトが付帯義務となった。
14の漁業会社によって年間1万トンのタラバガニと7,100トンのズワイガニ(オピリオ)、そして4万5,000トンの魚類等を生産するロシア”北西漁業コンソーシアムSZRK”(Северо-Западный Рыбопромышленный Консорциум”СЗРК”)の代表セルゲイ・ネスヴェトフは、当該オークションの第1弾でさえ、莫大な金融債務を抱えている中、第2弾の設定は法外であり、タラバガニの需要を過大評価していると言及、オークションへの参加は経営的に成立しない可能性があると指摘していた。
従前、バレンツ海のロシア産カニの主要市場は米国と欧州で、製品は冷凍だったが、現在は、これらが制裁措置により封鎖されている。