2025年02月08日
リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[ロシア中央銀行 極東漁業会社の財務内容の悪化を報告]
ロシア中央銀行は、最新の報告書“地域経済”において、昨年2024年の極東漁業会社の財務内容の悪化をリポートした。
全ロシア漁業者水産物輸出者協会ヴァルペ(ВАРПЭ)は、昨年2024年12月5日、ロシア漁業の財務内容の悪化への対応、規制上の負担軽減のための措置等、中小企業に対する政府の支援策を求め、ロシア産業企業家同盟(РСПП:日本の経団連に相当)の会合で、これらの問題を提起した。
この5年-6年、ロシア漁業は投資目的漁獲割当の設定により、漁船・運搬船建造、水産加工場・物流複合施設建設など160件以上のプロジェクトを実施、あるいは計画しており、高次加工製品の生産も増加している。
製品輸出の可能性は2030年までに1.5倍以上、最大88億5,000万ドルに達すると推定されている。
しかし、ロシア漁業者による“自発的・強制的”投資は、長期にわたる莫大な信用資金にアクセスできない中小企業の場合、実際の運転能力を上回っている。
2017年から2024年8月までに、ロシア漁業の負債総額は4.4倍に増加し、1兆ルーブルを超えた。
これは、2024年1月-8月の漁業者の売上を34%上回っている。
同期利益は2023年と比較して26%減少、600億ルーブルとなった。
現在、40%以上の漁業者が不採算であり、その割合は2017年と比較し26.3%増加している。
ロシア漁業の財務状況が急速に悪化していることは明らかなものとなっている。
業界の独自調査で、2024年10月1日時点において、投資目的漁獲割当確保、漁船建造プロジェクト義務等により金融債務が1兆1,000億ルーブルに達していることが分かっている。
今都市2025年のロシア漁業の金利支払いは850億ルーブルで、元本返済も求められる。
一方で制裁措置に加え、ロシア政府が、2023年9月21日付決定No.1538により、水産物製品を含めた広範な商品の輸出関税を、ルーブルとドルの為替レートに連動させて設定、同年10月1日からこれを施行し、輸出の足かせも増えている。
2023年、ロシア漁業・水産加工業の売上は1兆ルーブルに達したが、スケトウダラ業界の純利益率は7.6%で、2019年の28.8%からの低下が著しくなっている。
この会合で業界は、国家による漁業分野への財政的支援措置を改めて訴え、輸出関税設定から水産物製品を除外、経済的要因を考慮したTAC設定の迅速な調整、漁獲割当消化閾値70%規則の撤廃等を求める提案を行った。
これに参加したロシア漁業庁長官シェスタコフは、国家予算にも限りがあり、追加的金融支援策はハードルが高く、主に規制緩和の問題に取り組むことで支援策としたい旨を発言、理解を求めた経緯がある。
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