2024年11月08日
北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[ロシア 北部海域(バレンツ海)カニ漁獲割当オークション第2弾 応札に不透明感]
ロシア漁業庁は、2022年に実施が用意された後、開催が延期されていた北部海域(バレンツ海)カニ漁獲割当オークション第2弾を、2024年11月13日に行うと発表した。
上場されるのは向う15年間のタラバガニ漁獲割当5ロットとなっており、3ロットは全長50m以上のカニ漁船建造、2ロットは大規模物流複合施設建設のそれぞれ付帯プロジェクトの実行が義務付けされている。
スタート・プライスは128億ルーブル以上で、参加申請期限は同年11月11日となっている。
同年12月20日までに契約を結んだ企業は、来年2025年年1月1日からタラバガニを漁獲する権利を得る。
ムルマンスクでは、カニ大手生産者グループ“アンテイ”(Антей)とロシア”北西部漁業会社SZRK-ムルマンスク“(Северо-западная рыбопромышленная компания - Мурманск)が参加する可能性があるものの、実際に応札されるか不透明な状況が伝えられている。
このカニ漁獲割当オークション第2弾のスタート・プライスが、2019年に行われた第1弾の3倍になっており、落札額は最低でも2.1倍になると見込まれ、この大規模な負荷が与える漁業経営への悪影響、当該オークションへの関心の低下が指摘されている。
バレンツ海カニ漁獲割当オークション第1弾は2019年に実施された。
2019年の第1弾では、バレンツ海のタラバガニTAC設定の50%、5ロットが上場され、スタート・プライスが44億ルーブル、落札者は、計308億ルーブルを支払うこととなった。
今年2024年の第2弾では、残りの50%、5ロットが上場され、スタート・プライスが3倍の128億2,000万ルーブルに設定されており、落札額は少なくても641億ルーブル、2.1倍になると見込まれている。
しかし、2020年のバレンツ海のTAC設定は1万940トンで、来年2025年が1万2,690トンであり、16%しか増加していない。
“SZRK-ムルマンスク”の代表者は、中央銀行の高金利と莫大な金額の金融債務の発生から、示されたオークションのプライスは非現実的だと述べ、このようなオークションを開催することは、今の時代にあって、まったく狂ったアイディアだと言及、一度、立ち止まる必要があると加えている。
落札者に義務付けされている漁船建造費は40億ルーブルであり、実質的な各ロットのコストは170億ルーブルに達することになる。
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