2024年08月15日
リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[日本EEZ“またがり資源”韓国近海スルメイカ操業2024年度管理期間漁業種別TAC設定完了]
韓国海洋水産部は自国EEZでの新年度2024年度漁期(管理期間2024年7月-2025年6月)のスルメイカの漁業種別TAC設定を今般完了した。
大型トロール、西海トロール、そして西南海区中型二艘引き(実証試験枠)の操業が、東経128度以西に限定されており、かつ、これまで、近海網漁船の操業規制に関する情報がなく、海域利用の実態が不明だったが、先に、専門家の情報により、主漁場が西岸沖合であることが分かっている。
この中にあって、新年度2024年度漁期のTAC設定は、実証試験枠、留保枠をすべて含めると、前年度2023年度漁期の77.8%相当となる6万3,091トンで、韓国の東西沿岸沖合の比率は、ほぼ半々となっている。
一方、日本の科学研究機関は、これらの情報に目を向けず、更には遂に、2023年度漁期から、韓国西岸沖合での漁獲量情報を資源評価のために利用することなく完全に除外してしまった。
日本の科学研究機関は、西岸沖合での漁獲量を2022年度漁期まで1%未満-20%と推定していた。
しかし、韓国管理機関の情報をもとにすると、2017年度漁期から2023年度漁期までの間、西岸沖合での漁獲量のシェアは38.2%-79.4%で推移している。
これは、日本の科学研究機関が韓国のスルメイカの月別漁獲量を4月-10月が秋季発生群、12月-3月を冬季発生群、11月を半々と分類していたことによる不具合の発生と推察されるが、明確な説明は現時点で確認されていない。
*日本の自国EEZの2022年度-2024年度のTACは、漁獲シェアが高かった2007年当時のデータを参照し生物学的許容漁獲量(ABC)中60%を日本1国で獲れるとの前提で算定した値として、7万9,200トンが設定されているが、最終年度となる2024年度については、この間の資源悪化と、その対応としてのリスク低減を理由に、当初配分を2万9,000トン、残る5万200トンを国が留保することとなった。
韓国近海漁業 イカ 2023年度漁期(2024年7月-2025年6月)漁業種別TAC設定(単位:kg)
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漁業種
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隻数
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2024年度漁期(A)
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2023年度漁期(B)
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増減(A/B)
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2024年7月1日-
2025年6月30日
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2023年7月1日-
2024年6月30日
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大型トロール
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40
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13,621,000
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18,500,000
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73.6%
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沖合イカ釣り
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401
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17,435,000
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23,553,751
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74.0%
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中型トロール
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35
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8,172,000
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11,100,000
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73.6%
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大型巻き網
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18
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2,724,000
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3,700,000
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73.6%
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西海トロール(二艘引き)
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36
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8,172,000
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11,100,000
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73.6%
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近海網(小規模漁業)
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382
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4,359,000
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6,046,249
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72.1%
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留保枠
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6,000,000
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5,000,000
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120.0%
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正式TAC計
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912
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60,483,000
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79,000,000
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76.6%
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西南海区中型二艘引き実証試験枠
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9
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2,608,000
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2,075,000
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125.7%
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正式TAC+試験枠計
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921
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63,091,000
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81,075,000
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77.8%
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2024年8月15日 作成 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
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(参考)韓国スルメイカ2023年度漁期(管理期間2023年7月-2024年6月)漁獲実績
2023年度漁期(管理期間2023年7月-2024年6月)の韓国のスルメイカのTAC管理漁獲量は1万8,950トンで、前年度同期比68%、TAC設定7万9,000トン(実証試験枠を除く)に対する開発率は24%にとどまった。
主要漁業沖合イカ釣りの漁獲量は3,760トン、前年度同期比44%、TAC開発率が16%で終わった。
2020年度漁期から近海網漁船(小規模漁業)にもイカのTAC管理が導入されている。
近海網漁業は、2023年度漁期開始から報告日までに、前年度を11%上回る4,550トンを生産、主要漁業沖合イカ釣りを上回り、西海トロールに次いで韓国近海イカ漁業を牽引する存在となった。
2023年度漁期から西南海区中型二艘引きのTAC実証試験が開始されており、1,580トンを生産した。
これを正式TAC管理漁業種と合算すると生産量は2万530トンで、前年度同期比76%となった。
大型トロール、西海トロール、そして西南海区中型二艘引きが、東経128度以西に限定されている操業海域で約1万1,710トン、さらに近海網が4,360トンを漁獲しており、韓国スルメイカ漁業の実に8割の生産を西岸沖合漁場が占める実績を示した。