内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

生成する生命の哲学 ― フランス現象学の鏡に映された西田哲学 第五章(三十七)

2014-07-02 00:00:00 | 哲学

3. 2 世界の現われ ― 生命の外化(2)

 世界の現われの第一の特質は、次のように規定される。世界の現われを出発点として、世界の内に現れるもの、そのもの特有な内容を説明することはできない。なぜか。世界の現われが〈己の外〉にあるかぎり、〈外なるもの〉の外への到来であるかぎり、世界の内に姿を見せるすべてのものは、外部として、他なるものとして、異なるものとして、外に姿を現すからである。外部としてというのは、世界の内に姿を現すものがそれによって世界に現れる脱自構造は、外部化に他ならないからである。他なるものというのは、この脱自構造は、原初の他者性の構造、つまり、私の外なるものは私ではない、己の外なるものは己ではない、ということをもたらす構造だからである。異なるものとしてというのは、この脱自構造は、差異化そのもの、つまり、世界という地平に距離を置くことによって現れるものすべてを、この距離を置くことそのことによって、己と異なったものする作用だからである(voir Incarnation, op. cit., p. 59)。